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心理学の観点からみた異文化理解(3)
「異文化理解」の授業資料として作成した文章の続きです。第1回と第2回では、ホフステードの提唱する文化の違いを捉える6つの次元をみてきました。しかし、このモデルには批判もあります。ここでは、そのような批判を見た上で、最後に結びの言葉を述べたいと思います。
ホフステードモデルへの批判1. 代表性の問題
ホフステードの研究チームは1970年頃、約40ヶ国のIBMの社員からデータを収集した後、他の国で
心理学の観点からみた異文化理解(1)
このノートは2023年度の名古屋大学文学部の授業「異文化理解」の第5回の授業資料として作成したものです。講義の担当者であった夫、宇都木昭(名古屋大学)と共同で作成したものです。
はじめに:なぜ皆にとって異文化理解が必要か?皆さんは一日に何回外国人と出会いますか? 一緒に授業を受ける友人、お店の店員さん、あなたの授業を担当している先生、地下鉄の隣の席に座っていた人、その他にも街中で出会う人など、私
気候変動はどれくらい深刻なのか?専門家から子供と大人へのメッセージ
私の知人で、メルボルン大学工学部の Honorary Enterprise Professor(水資源)であり、オーストラリア気象庁の長官・CEOを歴任したロブ・ヴァーテシー博士が、2023年4月26日に名古屋インターナショナルスクールの4年生の授業で気候変動について話をしてくれた。小学生を対象とした講演だったが、その内容は大人にとっても有益だったと思う。
気候変動に対する認識については私も共同
東アジアの人々は自分の要求を抑えるのか:世界との対話における文化の違い
これは京都人について語るときによく出てくる話だ。京都では家に来た客にそろそろ帰ってほしいと思ったとき、お茶漬けを勧めるのだという。実際にそのように言う京都人がいるのかどうかはわからないが、本当の意図を直接的に言わずに全く別の表現をするということは、日本人の多くの対話の中に見られると思う。このような対話の方式は、話し手の意図を聞き手が理解してくれるだろうという期待の心理があるからこそ成り立つのだろう
もっとみる「よろしくお願いします」
2022年になって最初の月がもう終わろうとしている。新年の挨拶をするには遅いかもしれないけれど、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
日本の新年の挨拶はちょっと長い。それに、家族同士でも新年の朝には「今年もよろしくお願いします」まで言うのには、最初ちょっと驚いた。それでもいつからか、私も「よろしくお願いします」まで省略せずに言うようになった。
「よろしくお願いしま
ブックカバーの心理学
ブックカバーへの驚き
私が日本にはじめて来て、地下鉄に乗って目についたものがある。それはブックカバーだ。ブックカバーで包んだ本を車内で読んでいる人を、思わずじろじろと見てしまった。今思うと、失礼だったかもしれないけれど。
ブックカバー。私も韓国でも使ったことがある。学校に通っていた頃、新学期の初日に教科書をもらってくると、新しい教科書を汚さないようにブックカバーで包んだりした。最初のころは、家に
私が社会文化心理学者になるまで(1)フロイトというきっかけ
私は韓国人で、日本で社会文化心理学を研究している(researchmap、個人ホームページ)。私がどのようにして社会文化心理学者になったのかを、これから数回にわたって書いていきたいと思う。
私は韓国で高校に通っていた頃、実は精神科医になりたいと思っていた。小さい頃から、意識や行動が人によって違うことに興味を持っていたし、精神的に困難を抱えた人を治療して幸せにしたいと思っていたのだと思う。そんな私