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ルソー『社会契約論』を読む

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過去に執筆した記事のうち、『社会契約論』の紹介をした記事がまとめてあります。
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#大学入学共通テスト

ルソー『社会契約論』を読む(7)

ルソー『社会契約論』を読む(7)

 今回の記事では、第二篇第八章以降を扱います。この第八章、次の第九章、そしてさらに第十章は、いずれも「人民について」という同じ章立てで構成されています。まず、ルソーはこんな風に言います。

人民についてというのも、建築家と同様、法律を制定する際にも、それ自体として申し分ない完璧な法律を編纂することから始めるのではなく、あらかじめそれを与えようとしている人民が、それを支えるに相応しいかどうか吟味する

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ルソー『社会契約論』を読む(6)

ルソー『社会契約論』を読む(6)

 続々と更新中の『社会契約論』読解の記事。ついに第六弾です。おかげさまで、特に第三弾が好評を博しています。ぜひ読んでみてください。

<<< 第三弾はこちらから >>>

 さて今回は、こんなショッキング(?)な言葉から始めることにします。

死ななければならない いかがでしょうか。驚きませんか? 自由の国フランスのルソーともあろう人が、民主主義の父のようなルソーともあろう人が、こんなことを言って

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ルソー『社会契約論』を読む(4)

ルソー『社会契約論』を読む(4)

 今回からは第二篇です。さっそくどんどん読んでいきます。

 今回は、民主主義の提唱者ルソーの思想の核心に迫る、まさに「神回」です(自分で言うんかい)。

第一篇のおさらい まず、第一篇で語られた「社会契約」について、いま一度確認しておきましょう。

主権は「譲渡できない」 さて、これまでの議論から導き出されることを、ルソーは次のように語ります。

国家はそもそも、公共の福祉を目指して設立されたも

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ルソー『社会契約論』を読む(3)

ルソー『社会契約論』を読む(3)

 大好評(?)の読解企画。『社会契約論』の第三弾です。

 今日はとても重要な箇所で、実は、以前別の記事で該当箇所を紹介したことがあります。良かったらそちらの記事もご覧ください。

これまでのおさらい 統治の正当性の解明を目指した『社会契約論』は、本論に入る前に、第二章で「父権」を、第三章で「最強者の権利」を、第四章で「奴隷権」を、それぞれ批判したのでした。

社会契約とは何か 上の「これまでのお

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