【読書感想#16】本屋大賞ノミネート!「新ミステリの女王」が描く傑作怪談ミステリ(ネタバレなし)
【概要】
作品名:火のないところに煙は
著者:芦沢央
発行所:新潮社
発行年:2018年
頁数:221頁
ジャンル:ホラー、ミステリ
【あらすじ】
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の〈私〉は驚愕する。忘れたいと封印し続けていた痛ましい喪失は、まさにその土地で起こったのだ。私は迷いながらも、真実を知るために過去の体験を執筆するが……。謎と恐怖が絡み合い、驚愕の結末を更新しながら、直視できない真相へと疾走する。読み終えたとき、怪異はもはや、他人事ではない――。
【評価】
4.5/5
【感想】
※ネタバレは含みませんのでご安心ください
2019年本屋大賞ノミネート
静岡書店大賞受賞
山本周五郎賞ノミネート
本作は、国内で数多くの受賞とランクインを果たし、テレビでも取り上げられるほど話題となった傑作ホラーミステリ。
「怖すぎる、面白すぎる」
「怖いもの見たさ、とはまさにこのこと」
「背筋が凍った」
多くの読書家と小説家を唸らせた出色の作品だ。
本作はドキュメンタリー型ホラーという形式をとっている。
ドキュメンタリー型ホラーとは、作者があたかも本当に体験したことのように物語を語る手法のことである。他作では、小野不由美の『残穢』などがある。
この形式によって、独特なリアリティと作品の中に作品があるような奥行きを生んでいた。
これほどまでに洗練されたホラー小説はないと断言出来る。
「新ミステリの女王」が描くホラーは、怪談×ミステリの味を最大限に引き出していた。
特に、終盤のJホラー特有のジメジメ感を醸し出しながら読者を徐々に蝕んでいく展開は、他の作品と一線を画す破壊力を持っている。
本作を初めて手に取る方は、まだ見ぬ恐怖を味わうことになるだろう。
ぜひ、新感覚ホラーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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