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けがれた者達の歌 冬景

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冬の季節に書いた 冬の詩と物語の在り処 #雪ん子 #お化けの子 #妖 #柊 #白い狼
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#創作

音の無い音楽会

音の無い音楽会

人の出入りの無い
草むらの先に有る

創りの綺麗な外観の
古い洋館が
気になって
忍び込んでみた

此処はまるで
音楽堂だ

空いた窓から
風が耳を撫でる度に

鍵盤が弾かれ
管楽器が鳴り
打楽器が響き
誰かが歌っている

そんな
情景が見えてる
気がしてくるんだ

廃村

廃村

今はもう

人が居ない

人が住まう住居が

朽ちて点在するだけの廃村

どの家も

木々や草花に埋もれ

蔦に覆われた家ばかり

もう暗い時間に

此の村の道路を通ると

道路脇の家に居た

老爺の前を

何回も何回も通るんだ

陽が登るまで

此の村から

出る事が出来ない

夜になれば      #呟怖

夜になれば     #呟怖

目に見えぬ者の気配が
足元からする

影の中から
外の様子を伺いながら
何者がの息遣いが
聞こえている気がする

その気配は夜を
待っているみたいで

夜になれば

巨大な闇の者が現れ
足元に居る人間を
見下ろしている

暗い頭上から
闇の者の巨大な目が
人間を見ているのだ

マンホール

マンホール

夜道で
マンホールを
踏み越え進むと

気のせい…か?

何かの気配がした
気がして
振り返ると

マンホールから
首の長い獣が出て
涎を垂らしながら
此方を
ジッと見ている

足元からは
まだ出て来てない
獣の身体を
引き摺る様な音が聞こえている

妖精の残骸

妖精の残骸

冬籠りの時期に現れる

妖精狩り

其の身体は

余程、美味いのか?

肉片も血も無く

残るのは

骨と羽根だけだ

其の残骸が

無造作に捨て置かれている

硝子人形とテディベア  短編

硝子人形とテディベア 短編

陽がある時は
透き通る身の内に
色鮮やかな景色を纏い

月がある時は
透き通る身の内に
月明かりを纏う

綺麗な硝子人形

いつも
可憐な姿に
遠くから見惚れてた

僕は
灰色のテディベア

月明かりの夜は
眠る事をせずに

月光色の
硝子人形を見るのが
楽しみだった

ある日
同居人が増えた
キジトラ柄の猫だ

落ち着かない様子で
部屋に居たのは
気になってはいた…

月夜に事件が起きた

キジ

もっとみる
寓話的思考感覚

寓話的思考感覚

其処に有ったのは恐怖では無い

鬼も居ない

陰も無い

生も無い

始まりは白い世界

虚構と人形と

私だけ

其処から創める世界感

湿原の鬼

湿原の鬼

薄暗い山の谷間

湿原の更に奥

濃い植物の青臭さの中

湿った空気が纏わり付く

僅かな腐った不快な臭いが

動物の死骸の存在を思わせる

聞こえてくる何かの唸り声

湿原を歩いて行くと

泥土の足跡が有る

段々と深くなる湿原に足を止める

木々の隙間から

何故か泥が滴り落ちてくる

何かの低い唸り声と不気味な気配

風が吹き霧が流れる

僅かながらに見えたのは化け物

背筋に感じる悪寒と殺

もっとみる
湿原で眠る

湿原で眠る

苔生した木々の間を進み

霧が行く手を阻む

引き返すにも

足元は湿原

路は疾うに視えぬ

足元は濡れ重く冷たい

足先の感覚が無い感じだ

陽も傾き

空気も冷えてきたのか

息も白くなる

此のまま

白く深い霧と

冷たい湿原の中で眠る

弾く音

弾く音

朝の落ち込みは治った?

パチパチと
響いているよ

弾く音が
聞こえているよ

自信持ちなよ

僕なんて勝手に
あだ名を付けちゃって
歌を聞いてるんだよ

ファイヤークラッカー

虫料理         #詩

虫料理        #詩

ゲテモノが苦手な者
想像力豊かな者
食事中の者

⚠️上記に当てはまる者には
読む事を勧めません

迷子

迷子

森の妖精は顔を隠し
あやかしの子の姿に扮し
森に迷い込んだ
人間の子を揶揄う

「僕達ウサギさんだよ」
「ほら足元に蛇が居るよ」
「鬼さん、だ〜れ」
「楽しいねえ」

と、笑いながら
子供が奥に行かぬ様にする

森の奥には
目覚めの悪い
春の精霊が眠っている

春の精霊⤵️

鬼 ②

鬼 ②

甘美な毒から
抜け出せず

未だ囚われたままの
此の身では

鬼の其の心に
私の言葉は届かぬか?

物言わぬ
虚ろな瞳でも
此の身の奥には
消せぬ火を隠し持ってる

前⤵️

歩く

歩く

海辺では
青空を飛ぶ鳥をながめ
雲の流れを見て歩く様に

陽の差さぬトンネルも
風の流れと共に抜ける様に

雪が降れば
温かい珈琲を持ち
雪が落ちるのを眺め

夕方には木の幹に触れ
森の中を歩く様に

そして夜には、
ランタン片手に
夜空の月を見ながら
散歩する様に歩いて行く