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中国語、英語で、医学を学んでいます。 身近な人が「陰謀論」に傾倒したのきっかけにnot…

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中国語、英語で、医学を学んでいます。 身近な人が「陰謀論」に傾倒したのきっかけにnoteを始めました。 ※ここでいう陰謀論は「事実を間違って理解したり、事実を軽視したり、明らかでないことに夢中になる主張」のことです。 ファクトチェックを各自でしていくことの大切さを共有したいです。

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  • 新型コロナウイルスワクチンおさらい

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  • 武漢: 最前線のドクターズボイスまとめ

    武漢で治療にあたっている医師のインタビュー。 (中国の呼吸器科専門医向けメディア『呼吸界』より)。 複製権・翻訳権の侵害にならないよう、一旦すべて翻訳した後に解体し、自分の言葉でまとめ直します。

記事一覧

中国で始まっている吸入型コロナワクチン

最近、北京、上海、杭州など多くの場所で新型コロナウイルスワクチンの吸入接種がすでに始まっています。 注射の不要なこのワクチンに対して、一般の人たちは好奇心を持つ…

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1年前
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そろそろ「デマ変異株」の話 (1)

こんばんは。今日もお疲れさまです。 コロナ禍も2年が経ち、これまでに起こった残念だった現象に名前をつけたり、検証してみることを始めます。 趣味の一環なので、自分…

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2年前
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寝室でCO2濃度を測ったらまさかの衝撃的結果

今話題の二酸化炭素測定器(CO2測定器)がけっこう安くなってきたので、なんとなく測定してみることにしました。 使ったのは、東亜産業のTOAMIT。 まず大気中のCO2濃度に…

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3年前
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中国地方都市不動産の現状2021.3

住宅売買の傾向の変化中国の地方都市の不動産事情に変化が起こってきています。 不動産会社は5、6階の物件に手を出さなくなりました。 5、6階の物件を買い上げることが…

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3年前

中国で新型コロナウイルスワクチン「5000万回接種」の真相

すでに「ワクチンオリンピック」が始まっている 中国では、2020年12月に国薬集団のワクチンが承認されて以来、現在4種類のワクチンが市場に出ています。また、春節シーズ…

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3年前
8

北京で新型コロナワクチン接種累計700万回を突破の真相

2021年3月2日(新華社) 北京市から得た情報によると、2021年1月1日に9つの主要都市を対象とした新型コロナワクチン接種が開始されて以来、3月2日現在、北京では計765万人…

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3年前
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ワクチンの副反応についておさらい

mRNAワクチンの副反応について。 ここでは、日本で使用される予定の以下のワクチンの副反応を紹介します。 ・ファイザー・ビオンテック社ワクチン(治験者数43,448人、イ…

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3年前

ワクチンの成分についておさらい

・mRNAワクチン新型コロナウイルスのmRNAワクチンの成分は、ファイザー・ビオンテック社製、モデルナ社製いずれも、次の3種類の成分からなっています。  1. mRNA(メ…

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3年前
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ワクチンの種類についておさらい

※ここでは、まず簡単に抗原抗体反応のおさらいをしてみます。小中学生も楽しく学べたと書かれていたので、ぜひ動画サイトなどで確認してみて下さい。 具体的には高校の授…

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3年前
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ワクチンについてのコミュニケーション

ワクチンについて、日本はここ数十年「こじらせてしまった」経緯があります※。 そのことに触れると、とても長くなってしまうので、ここでは新型コロナウイルスのワクチン…

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3年前
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【新型コロナ】高温多湿の環境下でも感染力は衰えない?

中国の研究チームによる分析結果が海外の医学誌「JAMA」に掲載され、江蘇省の都市の公衆浴場で感染者が他の8人に感染させた事例が報告された。 王奇龍教授は、新型コロナウ…

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4年前
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【新型コロナ】この夏に低い谷、来年に第2波のピークか。―ドイツの留学生との質疑応答

張文宏 「この夏に低い谷を迎えるが、来年の旧正月には別の小さなピークがあるかもしれない」ドイツの中国総領事館で、中国の感染症専門家の張文宏医師とオンライン講演会…

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4年前
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【医療従事者向け】武漢第一線のドクター(4)侯剛さん(後編):軽症患者の胸部CTとリスクコミュニケーションについて共有したい…

軽症患者の胸部CTについての経験を共有したい 一、肺病変は両側性多発性が多く、初期は単発で発生することもあり。周辺部への分布が顕著。 二、斑状陰影とすりガラス状陰…

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4年前
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武漢第一線のドクター(4)侯剛さん(前編):人生初、4時間で100人以上診察。コンテナ病院とは?

中国医科大学附属第一病院の呼吸器・集中治療医学科(RCU)主任医師の侯剛(ホウ・ガン)医師。ホウ医師は「コンテナ病院」(中国語で「方艙病院」。野戦病院、仮設病院とも…

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4年前
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【ウイルス学】全ゲノムデータに基づいた新型コロナウイルスの進化と伝播の解析

記事ソース:中国科学院西双版納熱带植物園科学技術外事所     公開時間:2020-02-20 陰謀論がだいぶ増えてきたので、その根拠の元となっている論文をリクエストに…

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4年前
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【医療従事者向け】武漢最前線のドクターの声 (5)胡紅玲さん(後編): 医師が感染したとき〜私に起きたすべてを共有したい

【診療記録】 女性 44歳 武漢某医院呼吸器・集中治療医学科(RCU)主任医師 2020-1-15 悪寒、脱力、筋肉痛を自覚、体温38.2℃、体調不良のまま当直勤務、救急科と隔離病棟…

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4年前
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中国で始まっている吸入型コロナワクチン

中国で始まっている吸入型コロナワクチン

最近、北京、上海、杭州など多くの場所で新型コロナウイルスワクチンの吸入接種がすでに始まっています。

注射の不要なこのワクチンに対して、一般の人たちは好奇心を持つと同時に、さまざまな不安を抱えています。科学的な情報を広める活動も大規模には行われていないため、一般の方はもちろん、多くの医療従事者もほとんど理解していないのが現状です。

このワクチンは安全か? 効果は? どのようなメリットがあるのか?

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そろそろ「デマ変異株」の話 (1)

そろそろ「デマ変異株」の話 (1)

こんばんは。今日もお疲れさまです。

コロナ禍も2年が経ち、これまでに起こった残念だった現象に名前をつけたり、検証してみることを始めます。

趣味の一環なので、自分の中で強烈だったできごと、人の命を奪いかねないデマについて検証してみます。

2020年6月頃のデマ

これはひどかった。
私のFBのタイムラインが「コロナウイルス?見たんかい!?」
みたいなコメントと共に、そのYouTube動画へのリ

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寝室でCO2濃度を測ったらまさかの衝撃的結果

寝室でCO2濃度を測ったらまさかの衝撃的結果

今話題の二酸化炭素測定器(CO2測定器)がけっこう安くなってきたので、なんとなく測定してみることにしました。
使ったのは、東亜産業のTOAMIT。

まず大気中のCO2濃度についておさらい。
地球温暖化の影響もありますが、2020年でだいたい420ppmくらい。

うちの6畳間の寝室はどうでしょう。

これが誰もいないときの寝室のCO2濃度です。
ほぼ大気中の濃度と同程度。いい感じ。

この寝室で

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中国地方都市不動産の現状2021.3

中国地方都市不動産の現状2021.3

住宅売買の傾向の変化中国の地方都市の不動産事情に変化が起こってきています。
不動産会社は5、6階の物件に手を出さなくなりました。
5、6階の物件を買い上げることがないので、5、6階の物件が出回ることも少なくなってきています。
以前の中国では、1階の物件が売れない、または家賃が安かったのは有名です。なぜなら、1階は治安が悪く、泥棒に入られやすかったり、強姦などの事件もあったことから、回避されてきまし

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中国で新型コロナウイルスワクチン「5000万回接種」の真相

中国で新型コロナウイルスワクチン「5000万回接種」の真相

すでに「ワクチンオリンピック」が始まっている
中国では、2020年12月に国薬集団のワクチンが承認されて以来、現在4種類のワクチンが市場に出ています。また、春節シーズン(2月中)に5000万人に接種すると計画をたてていましたが、その後どうなったのでしょうか。

結果を調べてみると、グーグルにもデータが転載されているように、3月上旬までに6000万回以上ワクチンが打たれているのは確かです。が、2月の

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北京で新型コロナワクチン接種累計700万回を突破の真相

北京で新型コロナワクチン接種累計700万回を突破の真相

2021年3月2日(新華社)
北京市から得た情報によると、2021年1月1日に9つの主要都市を対象とした新型コロナワクチン接種が開始されて以来、3月2日現在、北京では計765万人分のワクチン接種が完了し、その数は500万人を超え、そのうち264万人が2回の接種を完了したという。

北京では、私の友人たちもほとんどが2回の接種を終えています。医療従事者だけでなく、一般の人たちも含まれています。また授

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ワクチンの副反応についておさらい

ワクチンの副反応についておさらい

mRNAワクチンの副反応について。
ここでは、日本で使用される予定の以下のワクチンの副反応を紹介します。

・ファイザー・ビオンテック社ワクチン(治験者数43,448人、イスラエルでの接種者59万6,618例[文献1])
・モデルナ社ワクチン(治験者数30,420人)
について今現在の時点で分かっているデータを紹介します。

わかっているよくある副反応・ファイザー・ビオンテック社ワクチンでは、以下

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ワクチンの成分についておさらい

ワクチンの成分についておさらい

・mRNAワクチン新型コロナウイルスのmRNAワクチンの成分は、ファイザー・ビオンテック社製、モデルナ社製いずれも、次の3種類の成分からなっています。

 1. mRNA(メッセンジャーRNA。RNAはリボ核酸の意味)

RNAの核酸塩基はアデニン (A)、グアニン (G)、シトシン (C)、ウラシル (U) の4種で構成されています。この4種類の塩基で、3つのかたまり(コドン)ごとに情報を読む、

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ワクチンの種類についておさらい

ワクチンの種類についておさらい

※ここでは、まず簡単に抗原抗体反応のおさらいをしてみます。小中学生も楽しく学べたと書かれていたので、ぜひ動画サイトなどで確認してみて下さい。

具体的には高校の授業で習う内容です。↓「体液性免疫」(高校生物)

抗原抗体反応
ウイルスや最近などの病原体などが体内に入ると、異物と認識されます。異物は「抗原」として認識されることがあります。抗原(antigen)とは、免疫反応(異物を除去して身体を守ろ

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ワクチンについてのコミュニケーション

ワクチンについてのコミュニケーション

ワクチンについて、日本はここ数十年「こじらせてしまった」経緯があります※。

そのことに触れると、とても長くなってしまうので、ここでは新型コロナウイルスのワクチンについて少しだけ整理してみました(2021年2月17日現在)。

きっかけは、TBSラジオ「荻上チキ・Session」、特集「新型コロナウイルスのワクチン接種について考える」忽那賢志(感染症専門家)×荻上チキ×南部広美」を聞いたことでした

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【新型コロナ】高温多湿の環境下でも感染力は衰えない?

【新型コロナ】高温多湿の環境下でも感染力は衰えない?

中国の研究チームによる分析結果が海外の医学誌「JAMA」に掲載され、江蘇省の都市の公衆浴場で感染者が他の8人に感染させた事例が報告された。 王奇龍教授は、新型コロナウイルスの伝播能力は高温多湿下では有意に低下しなかったが、さらなる検証が必要であると述べた。 今後も引き続き油断せずに、狭い場所に集まらないように注意が必要である。

南京医科大学の研究チームが3月30日にJAMA Network Op

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【新型コロナ】この夏に低い谷、来年に第2波のピークか。―ドイツの留学生との質疑応答

張文宏 「この夏に低い谷を迎えるが、来年の旧正月には別の小さなピークがあるかもしれない」ドイツの中国総領事館で、中国の感染症専門家の張文宏医師とオンライン講演会が行われました。張医師は、とてもわかりやすい説明と希望のある語り口で、中華圏の間で非常に信頼されている医師の一人です。

2020年03月23日13:22  河南経済ラジオより
ドイツでの流行が悪化する中、在デュッセルドルフ中国総領事館は上

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【医療従事者向け】武漢第一線のドクター(4)侯剛さん(後編):軽症患者の胸部CTとリスクコミュニケーションについて共有したいこと

軽症患者の胸部CTについての経験を共有したい

一、肺病変は両側性多発性が多く、初期は単発で発生することもあり。周辺部への分布が顕著。
二、斑状陰影とすりガラス状陰影が見られ、halo sign、reversed halo singを伴うことがある。空洞は見られない。一部のすりガラス影/斑状影は球形または角形の変化を呈し、いわゆる「球形肺炎(spherical pneumonia)」であり、その原

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武漢第一線のドクター(4)侯剛さん(前編):人生初、4時間で100人以上診察。コンテナ病院とは?

中国医科大学附属第一病院の呼吸器・集中治療医学科(RCU)主任医師の侯剛(ホウ・ガン)医師。ホウ医師は「コンテナ病院」(中国語で「方艙病院」。野戦病院、仮設病院とも訳される「インスタント病院」。東洋経済にも财新の紹介記事がある)に支援に来たドクターで、武漢遼寧国家緊急医学救援隊の副隊長でもあります。コンテナ病院に対する漠然としたイメージから、武漢入りして1週間後、認識は大きく変わりました。4時間以

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【ウイルス学】全ゲノムデータに基づいた新型コロナウイルスの進化と伝播の解析

記事ソース:中国科学院西双版納熱带植物園科学技術外事所    
公開時間:2020-02-20

陰謀論がだいぶ増えてきたので、その根拠の元となっている論文をリクエストにお応えして訳しました。何回か通読してみての実感は「具体的なことはまだ何も言っていない」ということです。「COVID-19がどこから来たのか?」の議論は始まったばかりです。

  2019年12月に湖北省の武漢市で新型コロナウ

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【医療従事者向け】武漢最前線のドクターの声 (5)胡紅玲さん(後編): 医師が感染したとき〜私に起きたすべてを共有したい

【医療従事者向け】武漢最前線のドクターの声 (5)胡紅玲さん(後編): 医師が感染したとき〜私に起きたすべてを共有したい

【診療記録】
女性 44歳 武漢某医院呼吸器・集中治療医学科(RCU)主任医師
2020-1-15 悪寒、脱力、筋肉痛を自覚、体温38.2℃、体調不良のまま当直勤務、救急科と隔離病棟を回診、脱力と四肢関節痛の悪化を自覚。夜に胸部CT、右肺上葉にわずかにすりガラス陰影を認める。翌日当直勤務終了後に本院隔離病棟に入院。メチルプレドニゾロン40mg, qd × 4日、IgG製剤 10g, qd、リバビリ

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