【新型コロナ】この夏に低い谷、来年に第2波のピークか。―ドイツの留学生との質疑応答

張文宏 「この夏に低い谷を迎えるが、来年の旧正月には別の小さなピークがあるかもしれない」

ドイツの中国総領事館で、中国の感染症専門家の張文宏医師とオンライン講演会が行われました。張医師は、とてもわかりやすい説明と希望のある語り口で、中華圏の間で非常に信頼されている医師の一人です。

2020年03月23日13:22  河南経済ラジオより
ドイツでの流行が悪化する中、在デュッセルドルフ中国総領事館は上海市外事局の協力を得て、上海復旦大学華山病院感染科長で新型コロナウイルス肺炎治療チーム長の張文宏教授を招き、オンラインで特別講演会を開催し、海外の同胞へのアドバイスを行いました。

Q:実質的に感染がコントロールできるのはいつ頃でしょうか?

A: ほとんどの症例はこの夏にうまくコントロールされると予想され、流行は低い谷を経験するでしょう。 しかし、夏を過ぎて翌年の冬にまた広がってしまう可能性も否定できません。 夏を過ぎると患者は少なくなりますが、必ず患者が散発的に繰り返し現れ、今年の冬に持ち越され、来年の春には再び小さなスパイクが発生して、またゆっくりと下降してくることがあります。
これは反対側の南半球との交流を考慮しています。なぜなら、北半球は夏場は症例数が少ないが、南半球は冬場であり、症例をお互いに運び合うことがあるからです。1、2年続くことも普通です。 しかし、こうした疫病は人類が何度も何度も経験し、乗り越えてきたということを信じましょう。 だから今回も絶対に乗り越えることができます。必ずです。

Q: 自分が感染するリスクはどれくらい高いのでしょうか?

A:これは、今日の皆さんにとって大きな関心事です。 あなたが責任感のある人であれば、**正しくきちんと自己防衛をしていれば、感染のリスクは極めて低いと思います。 **新型コロナウイルス肺炎の感染リスクは密接な接触のみであり、濃厚接触しない場合、リスクは高くありません。

Q: ドイツではどのように流行してるのですか? ドイツの流行防止政策をどう評価しますか?

A: 私は基本的に、この流行がヨーロッパだけで短期的に終わるという考えは、今すぐにでも断ち切った方が良いと思います。 今日のドイツでの決断は非常に熟考されたものです。 現在ドイツに留学している学生さんはもちろん、多くの中国企業の方々は、事実に基づいて判断することができる、知的レベルの非常に高い方ばかりです。各国が採用している戦略は日々変化していますが、より良い傾向としては、誰もがより積極的になってきているということです。 こうしたことに加え、各国の戦略もますます積極的になってきているので、国際的な流行が最終的に抑制される効果が得られるのも時間の問題でしょう。
今年の夏の終わりなのか、今年の終わりなのか、来年の終わりなのか、実はこれらの問題はすべて、私たちが世界規模で行っている感染症予防と制御の戦略に関係しています。
ドイツは学校閉鎖などを含む、一連の措置をとっています。 ドイツの死亡率は0.5%以下で、医師のレベルとはほとんど関係がなく、主に疾病管理や医療資源の管理に依存しています。
現在中国の多くの都市で症例がなくなりましたし、このデータを疑う必要はまったくありません。
現在のドイツの状況では、比較的症例数の多いノルトライン=ヴェストファーレン州を除いて、ドイツ南部の一部の州を除いて、ほとんどの都市での症例数はそれほど多くなく、症状のある者だけを治療するという制御戦略は、現段階では科学的に健全であると考えられます。

Q:流行のピークはいつですか?

A:私は4月~5月、6月に発生のピークがあると判断しています。 夏場の方がコントロールがしやすいのですが、コントロールしたら病気が無くなるのでしょうか? これは、この感染症に対してわかっていることから判断すると、非常に難しいです。 これは、各地域での対策や国際的な流行の傾向と関係があるので、私の意見は参考としてご理解ください。

Q:これから私たちはどうすれば良いのでしょうか?

A:今日私がここに座っているのは、自分の子どもがドイツに留学している親であることを想定しています。 だから、私は親という立場で、みなさんと議論しています。みなさんと一緒に答えを探りたい。どう判断するのか、私たちはどうすれば良いのか。ドイツで学校を卒業し、そこで仕事をして、そこで生活を続けていくのか、それともまず戻ってくるのがいいのか?どのような判断が正しいのでしょうか?

ではまず、この感染症の主な感染リスクどこにあるのか?
濃厚接触である、と言えます。具体的には、第一に食事は別々にということです。

第二に、パーティーなどではマスクを着用すること。 二人が仲良くマスクをしていることに価値があります。 寮の部屋でモヤモヤして出てこないとおかしくなってしまう人もいますし、接触が少ないならばマスクをして出かけるのは問題ないでしょう。

第三に、社会的行動は最小限にとどめるべきです。ドイツでは真面目に勉強している学生が多く、期末試験は非常にストレスが多いから大変でしょうが、時間を有効に使って勉強すること。外出から帰ってきたらまず最初にすることは、手を洗うことです。

人との接触(付き合い)が少なく、マスクを着用し、熱心に手を洗うことで、感染症を大きく回避することができます。

Q:ドイツで突然、予想外のオーバーシュート(爆発的感染)が起こることはあり得るのでしょうか?

A: この可能性は、ドイツの各都市が現在ドイツで行われている措置を実施しているかどうかにかかっている。 例えば、現在ドイツで行われている娯楽施設の閉鎖、パーティーの中止、小中学校の休学などの措置は、これらの措置が実行されていれば、オーバーシュートするような事態は避けられたでしょう。北ウェールズでも数千人規模の屋内集会が発生しており、これらの社交的行事が中止されれば発生はないでしょう。

Q:ルームシェアをしている留学生が、キッチンや共同バスルームなどの日常生活の中で、どのようにして効果的に予防や自己管理をすることができますか? 一度疑わしい症状が出た場合はどうすればいいのでしょうか?

A: この場合、最善の方法はありません。より良い方法ならあると言えます。ベストな方法がないのは、条件が限られているからです。よりベターな方法を探るしかありません。

共同生活でいえば、当然のことながら、条件が叶うならば一人で生活することです。それができればリスクは小さくできます。もしできない場合は、他の人との社会的な距離を減らす必要があり、一緒にご飯を食べないことはリスクを減らします。共同生活でのリスクは、身の回りの衛生管理をしっかり行い、こまめに手を洗い、かち合わせないよう台所の使用時間をずらし、洗濯物を洗ったら完全に乾燥させれば大丈夫です。 殺菌には高温乾燥が一番です。

Q:最近、漢方薬に治療効果があると聞いたのですが、ドイツは何か特別なことをして、臨時に漢方薬の輸入を認めることができるのでしょうか?

A: 実際、ドイツでの中医薬(漢方薬)の普及に関しては、一般的に互恵主義が貫かれています。 今日のドイツの私たちの中医薬に対する態度は、西洋医学の薬を輸入している私たちと同様です。ドイツをはじめとするヨーロッパでは、中医薬の輸入規制が厳しく、医薬品は厳しい検査を受けなければなりません。 **今のところ、多くの中国の薬草は、ドイツの輸入許可の範囲内ではありません。 **そのような状況では、大量の漢方薬を短期間でドイツに持ち込むことは不可能でしょう。 

Q: ドイツでは現在、一般の人がマスクをするという取り組みがないのはなぜですか?

A:一般の人がマスクをするのは効果的かどうか?間違いなく有効ですね。効かないなら、なぜ医者はマスクをするのでしょうか?

ヨーロッパの人々は普段マスクをすることはありませんが、日本や中国の香港では、病気でなくても定期的にマスクをしている人が多いそうです。もし今のドイツで仮面をつけた人々が街中に溢れていたら、世界の終わりのように感じられ、庶民の精神に大きな負担をかけることになるでしょう。そのため、マスクを着用するかしないかの判断には、マスクを着用するかしないかの利害を判断する必要があります。

マスクのメリットが十分大きいときに、マスクをすることが必要になるでしょう。もしメリットが大きくない場合、先ほども言ったように、そもそもマスクをする目的は、自分が他人へ感染させてしまうの防ぐことです。他人があなたに感染させる確率は非常に小さく、この小さな確率のために街全体の人がマスクをしているというのは効率的でしょうか?それでも全員がマスクをする必要性はあるのでしょうか?

他人から身を守るにしても、自分が人に感染させてしまうことを防ぐにしても、マスクをすることが有効なことは確かですが、これは感染予防に対する「効率」と「習慣」の問題であると言えますね。

Q: では、中国人はここ(ドイツ)でマスクをするべきですか?

A:マスクをすることにはそれなりの意味があるとは思いますが、発病率の低い地域では、マスクの防護効果は過大評価されています。ロベルト・コッホ研究所に行ってもっとマスクをするようにと抗議をするよりも、自分自身の行動を変えることから始める方が良いでしょう。みなさんがまず、ドイツの人たちの考え方を理解しようとすることです。彼らの考え方にも理由があることを理解することです。ドイツのやり方に納得できない場合は、やはり自分の行動を変えてみるのはどうでしょうか。社交的活動を少なくする、友人と交流の距離に気をつけてみる、買い占めるためにわざわざ人混みに行かないなど、行動を変えることから始めてみましょう。

以上は質疑応答の抜粋です。下記のリンクから質疑応答の全文(中国語)も公開されています。リクエストがあれば、また改めて日本語にしてみます。


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