武漢第一線のドクター(4)侯剛さん(前編):人生初、4時間で100人以上診察。コンテナ病院とは?

中国医科大学附属第一病院の呼吸器・集中治療医学科(RCU)主任医師の侯剛(ホウ・ガン)医師。ホウ医師は「コンテナ病院」(中国語で「方艙病院」。野戦病院、仮設病院とも訳される「インスタント病院」。東洋経済にも紹介記事がある)に支援に来たドクターで、武漢遼寧国家緊急医学救援隊の副隊長でもあります。コンテナ病院に対する漠然としたイメージから、武漢入りして1週間後、認識は大きく変わりました。4時間以内に100人余りの患者を診察する必要があります。人生初めての経験。コンテナ病院は簡単なベッド配置に見えますが、実は多くの要素が関与しています。今回の経験を日記風にまとめました。

「コンテナ病院」へ配置と知りショックを受ける

2月4日、私は遼寧省からの国家緊急医学救援隊として、先に武漢を訪れた同僚たちと合流すると思っていたが、到着してから突然「コンテナ病院に行け」と通知され、何がなんだか、面食らった。
今週になって、武昌コンテナ病院の設立準備、患者のトリアージ、医療検査などの仕事に参与してみて、このプロジェクトをようやく理解することができた。コンテナ病院で、軽症患者を隔離することと、収容病院で重症患者を治療することの2つは、この「疫病との戦い」に不可欠な方法であろう

もし重篤患者を救急治療するのが「囲い込みの戦い」ことであれば、難度も技術力の要求も高い。患者の命を救うために、我々医療関係者が昼夜を問わず戦うというのは非常に困難。また、軽症患者を隔離するのは「守るための戦い」であり、範囲が大きく、物資調達の全面的な要求も高いが、感染源をコントロールし、軽症から重症に転換することを減少するためには、政府、医療チーム、専門家チームが協力し、コンテナ病院の良好な運行を確保することが大切だ。

王辰院士の言葉にあるように「コンテナ病院を建てる最初の目的は、患者を最大限に病院に受け入れ、更に家庭とコミュニティの間の伝播を低下させることである。コンテナ病院の条件は良くないが、それは肝心な時期に実行するべき肝心な措置であり、これは至善の策ではないが、できる措置であり、現実的な策である」と言える。

シンプルに見えるが、多くの合理性がある仮設病院

チームとともに武漢に到着した。天河空港内はがらんとしており、空港勤務者、保安要員を除いては、各地から派遣された医療チームしかいなかった。
すぐに正式に防疫区に入り、私たちはリーダーと隊長の引率の下、明け方まで物資を現地のホテルに運ぶ。この間に、チームの隊員の士気が高まった。

2日目(2月5日)は、全員が感染コントロールと人員防護の理論知識、および操作実践を訓練。「医療チームゼロ感染」は私たちの基本的戦略であり、そうしてこそ私たちのチームの戦力を保障することができる。
午後、チームは洪山体育館に位置する武昌コンテナ病院に到着。コンテナ病院の設立準備会議に参加して多くのことを学ぶ。特に「統括―計画―実行―フィードバック―改善―実行」のモデルだ。洪山体育館を改造した臨時「コンテナ病院」は計800床のベッドを計画し、極めて短い時間内に完成したものであり、写真から見た簡単なベッド配置と遮断は、回路、消防安全、医療安全、感染コントロール、物品の配布、廃棄物回収、患者の生活向上、ゴミの排出などの多くの要素に関連している。現地政府の施工、改築、衛生健康委員会、医療チームと専門家は設計の合理性を評価し、感染コントロールの品質と医療の品質を確保し、専門家のフィードバックに従い、武昌区政府は再び改善する、という具合だ。

指先の血流が良くなってから測り直し、誤差を修正

最初の患者のトリアージは、2月5日の夜から2月6日の午前まで続き、上海隊、福建隊、遼寧隊、湖南隊の4つの省の緊急医学救援隊がドッキングして実施。私は午前6:00から10:00のトリアージに参加した。

小雨の朝、気温は大体4℃ぐらいで、予備検査のトリアージは私たちが作ったテントの中で行った。私たちは国の衛生健康委員会の要求に従い、確定診断された軽症の新型コロナウイルス性肺炎患者をコンテナ病院に迎え、患者の病状、胸部CT、酸素飽和度などをよく吟味して判断。重症の患者に対しては随時にスクリーニングし、そして定点病院に連絡、搬送して治療を行う。

寒さのため、一部の患者の指の末梢血の流れは少なく、指先の血液の酸素飽和度の測定に影響した。私は患者に両手を摩擦させ、指先の血流が良くなってから再び測定し、誤差を減らした。万が一、誤って「重症」と判断してしまうと、患者の心理的なストレスがぐっと増加し、同時に不必要な中継輸送や重症患者のベッドなどの資源を無駄に占有してしまう。4時間の仕事の下で、一部の隊員の指は緊張で凍えて硬くなり、防護服を脱ぐときの力も出ない。しかし我々の心の中は熱い思いでいっぱいだ。

軽症患者の胸部画像についての経験を共有したい(後編に続く)

編集後記
本日、武漢のコンテナ病院のすべての軽症患者が退院したため、コンテナ病院が閉院となりました。今後、コンテナ病院のことについても報道が少なくなると思い、急遽ご紹介いたしました。コンテナ病院は、軽症患者を隔離する施設でした。



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