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重力の弱い街

夜を運ばれて、終点で吐き出される乗客たちもろごとコンクリートの枠をくぐり、渋谷駅の外

人々、心細い待ち合わせの犬を中心にしてまで、まだかまだかと足踏みしたりよそ見したり、あえて心ここにあらずだったり

移動のための街、通過点としての街

暗がりのスクランブルに織りなす人々は青の横断、看板の数々はモザイク状に空間を埋めている。不快なもの、快楽のもの、速度主義者たちのポートレイト、
が、
カラフルなモザイク状をなして空間を埋めている

幻想のあかりに眩暈を覚える十字路
街角、多動症のプッシャーが虚空を睨む
虚空にあるのは人波、よせてはかえす人波

とどまることを知らない大移動

国際色豊かですらある大移動は、とっくに過程にある、腰の据わらない移動すべてが過程である、希薄な重力がたわんでいる街、すべて過程であり続けるしかない


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