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筋肉を減らさないためのインターミッテントファスティングを科学的に分析する。

前回の記事で、一日のうち8時間だけ好きに食べていい断食として「インターミッテントファスティング」を紹介しました。
できるだけ論理的な説明を心がけたつもりですが、「本当に痩せるの?」「筋肉減ったりしないの?」といった疑問が残っているかと思います。

今回は、【インターミッテントファスティングの科学的分析】として、研究論文を根拠として上記の疑問に答えていこうと思います。


●カタボリック(筋分解)とは何か

まず手始めにカタボリック(筋分解)の仕組みから説明しましょう。
トレーニーであれば、カタボリックは避けたいもの。

カタボリックの正式名称は、カタボリックシンドローム。
主に身体のエネルギー不足を避けるために、筋肉を分解してエネルギーを生成することを指します。

そもそも人間の身体では、筋肉に限らず、全ての細胞が常に合成と分解を繰り返しています。
筋合成が優位になれば筋肉が増えるし、筋分解が優位になれば筋肉が減ります。
また「老化」とは、細胞の合成よりも分解が優位にあることが原因の一つです。

カタボリックは、筋肉の合成ができないどころか筋肉が減ってしまうということで、少しでも筋肉を増やすために筋トレしている人にとってはまさに恐怖の対象。

カタボリック主な原因としては、体内のエネルギーが足りなくなること。
つまり、断食によってエネルギーが不足したら筋肉が分解されちゃうんじゃないの!?というのがトレーニーの不安要素になります。


●カタボリックに関する研究論文

結論として、少しお腹が空いた程度では筋肉は減りません

2006年の研究では、40時間程度の断食では筋肉量は落ちないことが示唆されています。

20代を中心とする6名の成人に対して、食事の3時間後・15時間後・40時間後に筋肉量と筋原性調節因子の量をそれぞれ計測したところ、優位な減少は見られませんでした。

2013年の研究では、空腹状態でトレーニングしても筋肉は減らないことが示唆されています。

イスラム教徒のボディビルダー16名に対して、通常の食事でトレーニングを行ったグループと、断食状態でトレーニングを行ったグループを比較したところ、筋肉量や除脂肪体重に優位な差は見られませんでした。

今回も、狩猟民族だった私たちの祖先のことを考えてみましょう。
食糧にしばらく恵まれず飢餓状態になっているときに、エネルギーにするべきなのは体脂肪でしょうか。それとも筋肉でしょうか。

体脂肪を残して筋肉を分解してしまうと、新たな食糧を獲るための機能までもどんどん弱まってしまい、生存確率が低くなりますよね。
逆に筋肉を残して体脂肪を分解する人のほうが、生存確率が高いと考えられます。

これは私たちの身体の仕組みと進化論を踏まえて推測しただけですが、人間の身体には、必要なものを残して不要なものを排除する機能がおそらく備わっているのではないでしょうか。

したがって、空腹や飢餓によるカタボリックは過度に恐れなくてもいいということが言えると思います。

ちなみに余談ですが、カタボリックを恐れるあまり、断食の途中でプロテインやBCAAを飲んでしまうことは、むしろ断食のメリットを消してしまうことにもなりかねないので注意が必要です。


●インターミッテントファスティングの科学的根拠

断食が筋分解を誘発するものではないことがわかったところで、インターミッテントファスティング(以下IF)で筋分解せずに体脂肪を減らすことは可能なのでしょうか。

答えは、「可能」だと考えられます。

2016年の研究では、通常の食事よりも8時間以内に食事をしたほうが、筋肉量を維持しつつ体脂肪率を減少させることができると示唆されています。

トレーニングをしている34人の男性に対して、食事時間を8時間以内(13時・16時・20時)にするグループと、食事時間を通常(8時・13時・20時)にするグループを比較しました。

その結果、食事時間を8時間以内にしたグループには体脂肪の優位な減少(-1.6kg)が見られましたが、両グループ間で除脂肪体重・腕と太ももの筋肉面積・最大筋力に優位な差は見られませんでした。

これは、「筋肉の分解を防ぐためにお腹が空く時間を減らせ!」と主張してきた従来のフィットネス界の常識と正反対の結果です。

スケジュールの問題や精神的なつらさの問題はありますが、健康のことを考えた場合、一日の食事はなるべく8時間以内に抑えたほうがいいかもしれません。

ただし、バルクアップ中のトレーニーにとって一日に必要なタンパク質量を8時間で摂取するのは現実的にかなり厳しいですし、オートファジーの問題もあるため、オススメできないかもしれません。

トレーニーではない一般の方や、減量中のトレーニーにはオススメです。


●ファスティングによるその他の効能

最後に、ファスティング(IF以外も含む)に関する興味深い研究を挙げて終わりにしようと思います。

一部ヒト臨床試験ではないものも混じっているため、「へーこんな可能性もあるんだ」くらいに捉えていただければ幸いです。

・ファスティングによって酸化ストレスと炎症が減少し、肥満を原因とした喘息に効果があるかもしれないという研究

・Ⅱ型糖尿病患者が、ファスティングをすることによって、空腹時インスリンとインスリン抵抗性の改善が見られたという研究

・腫瘍を持ったラットが、ファスティングをすることによってガン細胞の増加が抑制され、生存率が上がったという研究

・ラットがファスティングすることによって、神経細胞の新生が活発になり、脳ホルモンであるBDNFを増加させたという研究


●まとめ

・空腹によるカタボリック(筋分解)はそこまで心配しなくていい
・インターミッテントファスティングは科学的にも有効
・他にもいろいろな疾患に効果があるかも?
・バルクアップ中以外の全員にオススメできる!



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