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篠田真貴子| エール |『LISTEN』監訳
2019年8月30日 09:34
『モモ』を久し振りに再読した。『モモ』を初めて読んだのは小6の時。中学入試の面接の待ち時間に読む本を買おうと、書店で偶然手に取ったものだ。以来約40年、大切にしてきた。今も本棚のトップポジションに置いてある。この物語の世界では、人々はゆったりと生活を楽しんでいた。世間話をし、自然に親しみ、子どもたちは空想にふけっていた。しかし、時間泥棒がいつのまにか人々の間に忍び込み、「時間を節約して貯蓄
2019年8月16日 16:15
トニ・モリスンの代表作 Beloved を読んだ。内容紹介を日本語版のAmazonページより引用させていただく。元奴隷のセサとその娘は幽霊屋敷に暮らしていた。長年怒れる霊に蹂躙されてきたが、セサはそれが彼女の死んだ赤ん坊の復讐と信じ耐え続けた。やがて、旧知の仲間が幽霊を追い払い、屋敷に平穏が訪れるかに思えた。しかし、謎の若い女「ビラヴド」の到来が、再び母娘を狂気の日々に追い込む。死んだ赤ん
2019年8月13日 21:40
読み終えた瞬間、スタンディング・オーベーションしちゃった本。家族がいて、拍手はちょっと小さくなっちゃったけど。これです。本書の主題は、レナード・バーンスタイン。音楽を、人を、人生を全力で愛した、20世紀を代表する音楽家。残した膨大な資料は、米国議会図書館に寄贈された。そこにあるのは、例えば、妻フェリシアからの手紙がフォルダー3つぶん。バースタインから妻への手紙もフォルダー3つぶん。著者は、資料
2019年8月10日 15:26
2019年8月5日、トニ・モリスンが亡くなった。1993年にノーベル文学賞を受賞した、アメリカの作家だ。黒人を主人公にした作品が多い。トニ・モリスンは、小説のほかにもエッセイや詩も書き、人種問題、人権問題について積極的に発信してきた。その発言は知性と良心とあたたかさにあふれ、「ならぬことは、ならぬものです」という強さも感じさせた。たとえば、こちら。In this country Ameri
2019年8月7日 12:16
アメリカのマンガ「They Called Us Enemy」を読んだ。ジョージ・タケイが太平洋戦争中に経験した、日系アメリカ人強制収容のことを中心にした回顧録だ。著者のジョージ・タケイは、日系アメリカ人の俳優だ。私の世代の人なら、テレビシリーズ「スタートレック」のスールーだと言えば分かるだろうか。宇宙船エンタープライズ号のパイロットだ。ウィキペディアには、日本語吹替版では役名は「カトー」になっ
2019年8月6日 12:24
『1940年体制』を読んだ流れから『日本社会のしくみ』の前半と、いったん真ん中を飛ばして終章に目を通した。これは、大好きなタイプの本だわー。Kindleでハイライトしてたら、終章なんてほとんどハイライトになってしまったじゃないか。本書の狙いは、ざっくり言うと、こういうことだ。本書が検証しているのは、雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまでを規定している「社会のしくみ
2019年8月4日 14:12
「岩田さん」とは、任天堂前社長の岩田聡さんのことだ。4年前、胆管腫瘍のため55歳の若さで亡くなった。本書は、岩田さんが生前、「ほぼ日刊イトイ新聞」に登場したコンテンツと任天堂社の「社長が訊く」から、岩田さんの語ったものを抜粋し編集したものだ。だから、内容だけで言えば、今もウェブで無料で読める。でも、この本にはお金を出す価値があるし、ウェブ記事より長く読み継がれる可能性もある。「編集」が本書の価
2019年8月2日 11:39
『1940年体制』は1995年出版。2010年に最後の11章が加筆された。1995年時点での金融制度、経済官庁の体制や税制、企業の仕組みは、どれも1940年前後につくられた戦時体制をそのまま踏襲していることを、シンプルかつ丁寧に論じた本だ。増補版の前書きに、こうある。刊行時から日本社会は大きく変貌した。経済体制についても、大きな変化が生じた。したがって、これらについて述べた本文中の記述は、