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社会的弱者 その1

「こちらを確認して、下にサインをお願いします」

センター長の立場にいるMG (マネージャー)に呼び出され、おもむろに雇入通知書を渡される。

「お話しいていたことと違いますけど」

「決まったことなので」

「ボク自身納得行っていないのに事務的に進めるとはどういうことですか」

「アーサーさんがこのセンターではもう働き続けることは難しいと言っていて、異動も希望していると聴いていますのでその意向を汲んでいるんです」

「そんなにボクに辞めて欲しいんですね」

「それはアーサーさんの受け取り方です」


その雇入通知書の最下部【契約の更新は無い】にチェックが入っている。
しかも期間は翌月の15日まで。


(話しにならねぇ……)


事のあらましはこうだ。

それまで直属の上司に様々相談をしていく中で、当のMGに呼び出され、面談が始まった。

その時間4時間半。
ボクから申し出なければトイレにも立たせてもらえなかった。

その4時間半でも話しの決着が付かず、翌日、社の相談窓口のSさんに相談をした。

「通常は、目に付く部分があれば、まずは注意指導をして、それでも改善の意思や兆候が見られなければ、一定期間の様子見の期間を設ける流れになり、その際に雇用条件や業務内容の変更等がなされることになっています」

そう。
一般常識的に考えてもそうであることは認識している。
そして労務部での規定でもその様な流れになっていることも確認できた。

実はその以前に、直属の上司から、アーサーさんの話しを聴く時間を設けるねと言われ呼び出され席に着くと、
「そういう時間ではなく、雇用条件と業務内容を変更する為の話をする時間です。」
と、当のMGが言い出した、という事があった。

注意指導をすっ飛ばして、雇用条件や業務内容変更の話しを持ち出してきたのだ。

4時間半に及ぶ面談の時間の中でそれも直接訴えたが聞く耳もたず。

Sさんはこんなことも提案してくれた。

「依頼ベースになりますが、私達労務の者と、MGとGM(グループマネージャー)とアーサーさんでの4者面談の依頼を私からMGへ投げかけることもできますがいかがしますか?その時間を設けるかどうかはMGの判断となり、飽くまで私は中立の立場となりますが…」

労務のSさんはボクの力になってくれようとしてくれていることがよく伝わったのもあり、お願いをした。

しかし、MGはその必要はないと一蹴し、当の書類へのサインをボクに求めてきたのだ。
そして、「アーサーさんの意向を汲んで」などという自分に都合の良い言葉を切り取って突きつけてきたのだ。


「MGにはそれを決めて実行する権限が与えられて、それに付き従えない人間、ついていけない者は去れということですか」

「ご理解いただけているようで」

「MG、あなたがやっている事がどういうことか、理解していますか?」

「何が言いたいんでしょう」

「自分の権限を強引に行使している行為だということです。所謂パワハラですよ」

「それはアーサーさんの受け取り方ですから」

「当事者のボクが言うことではないですが、客観的に見たってそうですよ。その立場にいながらそんな言葉を言うのですね。もう少し勉強なさった方が良いですよ」

「善処します」

「善処?まああなたからしたら善処でしょうね。パワハラがどう言うことなのか解ってらっしゃらないんでしょうね」

「・・・」

「暴力ですよ。あなたがやっていることは暴力なんですよ。そんなことも知らないでその立場にいらっしゃるんですか」

「・・・」


そうして半強制的に書類にサインをせざるを得ない状況を作り上げられた。


有期雇用の契約社員。
権限を持つ上長の言うことや体制などに、意見や要望を言うことを許されない、無言の圧力。

こういったことで、世の中自ら命を断つ人間が生まれていることを、もっと知らなければならない。

人の命を殺める可能性のある行為であること。

もし仮に、このことが原因で、ボクが自ら命を断った時
このMGは、どう感じるのだろうか。


まあ、何も感じないのだろうな、この類の人は。


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