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根気より呑気でたのしむ外国語

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英語をはじめ、外国語のもつ “おかしさ”、“たのしさ”、“おもしろさ” について、のんびり気楽に書き留めていく。雑考。
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#英語ネタ

#107. ぼくもみんなも、誤訳に用心

#107. ぼくもみんなも、誤訳に用心

こちらの note でかなり更新を怠っているわりに、YouTube ではいまのところコンスタントに動画を上げている。怠惰なぼくでも続いているのは、「洋楽の和訳」というテーマが一つ、しっかりあるからだと思う。

以前洋楽の和訳について記事を書いたときにはたしか 100 もなかった登録者数も、いまではこの note のそれをも追い越して、いつの間に 3,500 を超えていた。数が増えるのは素直にうれし

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#106. あなたが英語ができない理由は

#106. あなたが英語ができない理由は

年の初めは一念発起をする人が多く、書店にある英語学習系の書籍も売れ行きの上がるときだろう(たぶん)。

巷にある英語学習本や、YouTube にある英語系動画でよく見かけるのは、「あなたが(あるいは「日本人が」)英語ができないのはなぜか」とはじまり、「このやり方なら……」とするパターン。

いわゆる「おれの(わたしの)編み出した最強メソッド」で煽るものである。例のメンタリストが「科学的に正しい英語

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#102. 英語では、形容詞にも序列がある

#102. 英語では、形容詞にも序列がある

形容詞の序列について昨晩遅くに質問を受けた。

日本語では「青い大きな時計」と言っても「大きな青い時計」と言っても、とくべつ違和感を覚えないのだが、

これが英語だと “a big blue clock” と言わなければならず、“a blue big clock” は英語ネイティヴの耳にはしっくり来ないらしい。

ためしに Google Ngram で、“a big blue” と “a blue

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#101. ある雨の日の英語考

#101. ある雨の日の英語考

雨の日のことも好きになれたら、きっと毎日が楽しいだろう。

数年前、フィンランドの首都ヘルシンキの街を歩いていたとき、強めの雨が降っているのに、街の人たちがいっこうに傘をささないことに驚いた。

その日の雨は土砂降りで、ぼくはすぐにでも屋内に入りたくなったのだけれど、そこらにいた現地人たちは、とくべつ雨を気にしていない様子だった。

そのとき一緒に歩いていたイタリア人のロレンツォにワケを尋ねてみた

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#99. それほど役に立たない英語をなぜやるか

#99. それほど役に立たない英語をなぜやるか

そんなつもりはなかったのに、英語をひとに教えている。

英語は好きだ。いや、大好きだ。英語で書かれた小説は読むし、ドラマや映画もたまに観る。LINE での会話は最近英語の方が多いくらいだし、彼らと会えば英語で話す。

間違いなく、英語を使って生きている。

それでもこういう仕事をしていると、こんなことをよく聞かれてしまう。

「英語ってなんで勉強しなくちゃいけないんですか?」

「英語っていらなく

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#98. どう考えても矛盾している英単語

#98. どう考えても矛盾している英単語

2020 年を振り返る人、2021 年の抱負を熱く語る人。後ろを見たり、前を向いたり、一月は忙しい時期だ。

ところで一月の January は、ローマ神話で物事の始まりを司る神「ヤヌス」(Janus) にちなんでその名がついた。

ヤヌスは前と後ろに顔が二つあり、一方で過去、他方で未来を見つめているとも言われている。



二つの面を持つことで知られるヤヌスだが、その名が由来となっている言葉は

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#97. 絶望の先に希望がある

#97. 絶望の先に希望がある

フランスでは、飼っている動物にどんな名前をつけても全く問題ないが、これにはひとつだけ例外があり、「ブタに『ナポレオン』と名づけること」だけは法律で禁止されているらしい。

かの有名なフランスの英雄、ナポレオン・ボナパルトに対する不敬罪にあたるという。

「わたしの辞書に『不可能』という文字はない」の言葉で有名なナポレオンだが、さすがに自分の名前でブタが呼ばれることだけは、「不可能」とせざるを得なか

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#96.  2020 年に台頭してきた英語たち

#96. 2020 年に台頭してきた英語たち

日本では、年末になると「今年の漢字」や「流行語大賞」が発表されるが、それと同様に、英語界隈では、世界的に権威のあるさまざまな辞書が、その年を最も象徴する英単語 "Word of the Year"(今年の一語)を決めるという慣習がある。

2020 年は、日本史や世界史、現代社会や政治・経済など、未来の子どもたちが使う社会科系の教科書において間違いなく太字で記されるであろう目まぐるしい年だったわけ

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#95. 年末年始にピッタリだけど、役には立たない英単語

#95. 年末年始にピッタリだけど、役には立たない英単語

クリスマスには、不穏な話題がつきものである。

先日もこんなツイートが話題になった。目にした方も多いだろう。

若年層がターゲットであるカナル 4℃ のネックレスを 30 代の女性に贈るのは違う、という主旨のツイート。これを書いているいまの時点で 4.6 万件のいいねを集めている。

プレゼントというのは、往々にして難しい。

一年の中で唯一、世界中がいっせいにだれかに贈り物をするこの 2 日間。

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#94. 最初から優しいなんて嘘じゃん

#94. 最初から優しいなんて嘘じゃん

高校時代に友だちから「なんかそれ、人殺しそうだね」と言われて以来、冬でも素手で過ごしてきたが、近ごろグッと冷えてきたので、たまらず手袋を買ってしまった。

道ばたで見る小学生は、こんな時期でもなぜか半ズボンだったりする。中学生のとき、体育の授業を半袖でやっていたのが信じられない。

ヒトは明らかに、年々寒さに弱くなっていく。「殺人を犯しそうだ」とかそんな見かけの問題はもうどうでもいい。ぼくはそんな

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#93. 心はときに、血を流す

#93. 心はときに、血を流す

「近しい人が亡くなった」とか、そういう類の不幸を話すと、英語ではだいたい “I’m sorry.” という応えが返ってくる。

“I’m sorry.” といえば、「ごめん」の意味で使うのがだいたいの相場だが、この意味だけしか知らないでいると、こう言われたとき「いや、あなたのせいじゃないんですけど」と心の中に「?」が浮かぶことになる。



結論から言うと、相手の不幸を聞いたとき使う “I’m

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#91. 理不尽を理不尽と思わないネイティヴ

#91. 理不尽を理不尽と思わないネイティヴ

大学時代、台湾から来た留学生と話しているとき「日本語はあまりとくくない」と言われ、一瞬困惑したことがある。

「 ...... と、とくく?(なんじゃそら)」

じつは、彼が言おうとしたのは「得意じゃない」で、外国人の日本語に慣れている人なら、彼がそう間違えた理由も、だいたい見当がつくと思う。

たぶん、日本語を勉強している多くの外国人は、「とくい」を形容詞だと考えている。

・たかい ⇒ たかく

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#90. 誕生日には、毎年この言葉がよぎる

#90. 誕生日には、毎年この言葉がよぎる

じつは今日、誕生日を迎えた。92 年に生まれたぼくは、とうとう28 歳になった。

こういう日は、たいていの人が家族や恋人、友人からのお祝いメッセージをもらい、あさ起きてから夜ねむるまで、幸せな気持ちを噛みしめるだろう。

もちろんぼくも、国内外からお祝いのメッセージをもらい、いつになく幸せな気持ちである。



しかし、毎年この日が来るたび、頭にフッと浮かんでは、ぼくの肝を恐怖で冷やす言葉があ

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#89. 今日の夜ごはんに「ブリナー」はいかが?

#89. 今日の夜ごはんに「ブリナー」はいかが?

あまり信じてもらえないのだが、ぼくは朝ごはんは絶対食べないし、なんならお昼も食べないときがある。

夜こそしっかり食べるけれども、それ以外は別に必要性を感じない。

「よく生きていけますね」と言われたときは、「日中は光合成をしているので」と真顔で答えて相手の顔を引きつらせるのがルーティンである。



最近は日本語としても浸透しているが、英語で「朝とお昼の間に食べる食事」を brunch(ブラン

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