記事一覧
世界を変えるはずだった「デザイン思考」はどこで間違ったのか
MIT Technology Reviewに2月に掲載されたRebecca Ackermann氏の表題の記事を読みました。 https://www.technologyreview.com/2023/02/09/1067821/design-thinking-retrosp…
データビジネス創造コンテストを終えて
DIG18慶應義塾大学SFCキャンパスが中心となって開催しているデータビジネス創造コンテスト(通称DIG)は、高校生・大学生・大学院生のチームが、データ分析を利用した新たなビジネスのアイディアを競うコンテストで、2014年から合計18回開催されています。毎回、「ビジネスパートナー」と呼ばれる企業が、テーマの決定と賞金の提供を行い、さらに学生にはなかなか得られないデータや分析ソフトなどを素材として提
もっとみる超知性のある未来社会シナリオ
(注意:長いです。お時間のあるときにどうぞ)
今まで人工知能の研究の多くは人間の知性に近づくことを主眼としてきました。初期の研究者たちは最も「知的」と思われる人間の活動、たとえばパズルを解くとか、将棋や囲碁のようなゲームで勝つ、専門家と同等の診断をくだす、数式の変換をするなどのタスクに取り組み、その結果、機械は次々と人間の能力を超えてきました。画像や音声の認識など、人間が無意識に行っている認知能
見たくないものを、見る
4年前の2019年に、人工知能研究者として私たちがすべきことというブログを書きました。そこで、人工知能の研究者は
正しく伝える
適切に怖がる
見たくないものを、見る
という3つのことをしなければならない、と主張しました。
人工知能研究とは、知的とされる人間の活動を機械で模倣することによって、知能とは何かを明らかにしようとする学問です。「知的活動」の代表例として、ゲームをプレイする、数式を
決めつけてはならないとき・決めなければならないとき
先月、COVID-19は5類感染症に移行しました。決して終わったわけではなく、これからも気をつけていかなければならないのはもちろんなのですが、これからは「withコロナ」、すなわちCOVID-19のリスクを常に意識しつつ、通常の生活を送っていかねばなりません。これを機会に、2020年1月頃に始まったCOVID-19に対する対応について、検証してみる必要がありそうです。瀬名秀明らによる『知の統合は可
もっとみるアカデミアと社会~2項対立を超えて~
(2021年に、一橋ビジネスレビュー誌Vol.69の特集「研究力の危機を乗り越える」に掲載された投稿論文です)
概要学術に対する社会の風当たりが強くなってきている。本稿では、学術と社会の2項対立の構図を指摘し、社会に対する学術の価値が、知識の体系化と合意形成のプロトコルにあることを議論する。その上で、この2項対立を解消する方策を模索する。
1. 学術と社会の関係学問、すなわち科学や工学、あるい
世界を変えるはずだった「デザイン思考」はどこで間違ったのか
MIT Technology Reviewに2月に掲載されたRebecca Ackermann氏の表題の記事を読みました。
https://www.technologyreview.com/2023/02/09/1067821/design-thinking-retrospective-what-went-wrong/
世界を変えるはずだった「デザイン思考」はどこで間違ったのか、という記事です
人工知能研究者として私たちがすべきこと
(2019年12月にCNETブログに投稿した記事の再掲です)
技術悲観論 英Economist誌のクリスマス特集号は、”Pessimism v progress” というタイトルの技術悲観論[1]から始まります。新しい技術は私たちの社会をよりよくしていくはずだったのに、顔認識技術によってプライバシーが侵害され、フェイクニュースによって民主主義の根幹が脅かされ、UberやAmazonのビジネス最適