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子育て・教育・家族

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記事一覧

わが子を里親ではなく施設に託した理由

 2020年、息子が4歳のとき、わが子の養育が困難となったわたしに提示された選択肢は、児童養護施設と里親の二つだった。児童相談所の人から具体的にどんな説明を受けたのかあまり覚えていないが、結果的にわたしは児童養護施設を選んだ。施設でも里親でも、わたしの症状が落ち着けばまた迎えに行けるだろうと分かっていたにもかかわらず、わたしは里親を選ばなかった。

 長らく、日本の社会的養護は施設養護が中心であっ

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「だれでもいつでも来ていいよ」 宮崎市で無料のプログラミング教室を開く伊藤陽生さんに聞く

「だれでもいつでも来ていいよ」 宮崎市で無料のプログラミング教室を開く伊藤陽生さんに聞く

ちょうど1年ほど前に書いたこちらの企画。宮崎市でシステム開発会社「伊藤製作所」を経営する伊藤陽生さんが快くインタビューに応じてくださったものを、お蔵入りにしちゃっていた私ですが(伊藤さん、ほんとうにすみません)、今回ようやく公開にこぎつけました。

子どもたち向けに「無料」でプログラミング教室「コーダー道場宮崎」を開いている伊藤さん。どんな考えのもと、どんな場を開いているのでしょうか。伊藤さんのイ

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「最低な母親」という烙印-子どもを施設に託すことは、罪か

 「子どもを施設に預けておいて、自分は教育の仕事をするなんて、いったいどういうことだ」

 「子どもを施設に預けていることを公表しているのだから、広報の業務はしない方がいい。会社のイメージが悪くなるから」

 「『子どもが幸せになるためには、まず親が幸せになるべきだ』なんて、詭弁だ」

 これらは、すべてわたしが当時4歳だった息子を児童養護施設に預けていたときにかけられた言葉だ。
 友人から目の前

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母のロングコート

 正月、実家を訪れていた。うちの実家はその造りや立地のせいか、全体がひどく冷える。宮崎はコートなしで過ごせる暖かい日が続いているというのに、実家に入った途端、上着なしでは過ごせないような寒さを感じ、母の上着を借りた。それは、私が幼い頃から母が着ていた茶色の薄手のコートで、当時、母に連れられて誰かと会うと、その裾に隠れてもじもじと人見知りしていたことや、その頃私が母に対して抱いていた気持ちを鮮やかに

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「子どもが商いを通してお金と社会を学ぶ」子商いマルシェに参加しました!

「子どもが商いを通してお金と社会を学ぶ」子商いマルシェに参加しました!

「子どもが商いを通してお金と社会を学ぶ」をコンセプトに、7月23日、「アミュプラザみやざき」前で「子商いマルシェ@まつりえれこっちゃみやざき」が開催されました。主催は戸越正路さん。子商いマルシェは2019年からの開催で、今年で4回目でした。

第3回までは主催側としてお手伝いをさせていただいていたのですが、今回初めて出店者として参加。息子に「お面屋さんしたい?」と尋ねると「やりたい!」と即答でした

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答えが10を超える足し算

答えが10を超える足し算

夏休みだ。小学1年生の息子には、国語の「読み声」(よみごえ:宮崎の方言および習慣)といって、教科書の音読のほかに、足し算引き算カードに毎日取り組むという宿題が出ている。

息子は、答えが10以内の足し算と引き算は両手を使って解けるし、手を使わなくてもすぐに答えられる場合も増えてきた。しかし、答えが10を超える足し算がなかなか難しいようだ。

私は普段あまり息子の勉強を見てやれない。宿題は放課後デイ

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小学生になって初めての発達検査

小学生になって初めての発達検査

 息子は、4歳のときに発達障害の診断をもらった。今年の春に小学生になり、たくさんの成長を見せてくれていた。多動が心なしか落ち着いた気がする。実際、息子を知っている友人にも「落ち着いたね」と言われた。ひらがなは息子なりに上達したし、足し算引き算も両手を駆使して頑張っている。何より学校では着席して授業を受けることができているらしい。それに、元気で学校も放課後デイも楽しんで通えている。それだけで親として

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メフィラス星人の足

メフィラス星人の足

 息子と私は、時折性格が真逆だ。

 先日、小学1年生の息子と、宮崎市の美術館と博物館へ出かけた。みやざきアートセンターで8月28日まで開かれている「TSUBURAYA EXHIBITION 2022」と、宮崎県総合博物館で9月4日まで開かれている「モンスター水族館」を観に行ったのだ。

 5月の下旬に、学校から帰宅するなり「モンスターはね、どようびとにちようびなんだよ」と息子は話した。なんのこと

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小学1年生が登校中にしていたこと

小学1年生が登校中にしていたこと

 小学1年生の子どもが無事に登校して下校できるか、やきもきする親は多いと思う。うちの息子も今年、小学生になった。幸い集団登校を採用している学校で、初めの数日は集合場所まで送って行っていたものの、今は玄関で見送ることができている。

 集合場所は自宅から見える。先日、息子が家を出て少し経ち、ふと集合場所を見やると、息子のランドセルと傘が地べたに置きっぱなしになっており、息子がいない。すでに集合時間を

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「療育」への感謝とモヤモヤのはざまで ~2021年の出会い~

「療育」への感謝とモヤモヤのはざまで ~2021年の出会い~

 「療育」という言葉を聞いたことはありますか? この記事は子どもが療育を受けることになった親としての一つの体験記事です。私が療育について以前抱いていたイメージやなぜ療育を受けることにしたのか、実際に受けてみての感想について書いていきます。

 お子さんが療育を受けている/受ける予定だという保護者の方や、療育に関わる支援者の方に「こんな体験もあるんだな」と知ってもらえたらうれしいです。ではしばしの間

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運動会がいやなときはどうしたらいい?

運動会がいやなときはどうしたらいい?

 「土曜日、運動会だね」とお子に話しかけると、「うんどうかいいやなんだよ。だって〇〇くん(自分のこと)はやくはしれないから」とお子が言った。

 「ゆっくりでいいから一生懸命走る姿がママは見たいなあ」と咄嗟に伝えると、「いっしょうけんめいはしれないんだよ」という。

 LINEで友人にこの話をしたところ、「適当でいいよと言ってみては? 振り返ってみると、運動会なんざ私の人生に大した影響を与えていな

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お子と図鑑と私

お子と図鑑と私

 お子は図鑑が好き。はじめて買った図鑑は『昆虫』。それ以来、うちには「小学館の図鑑NEO」シリーズがぽつりぽつりと増えてゆき、今では全部で9冊もある。

 『昆虫』、『昆虫②』、『イモムシとケムシ』、『両生類はちゅう類』、『動物』、『危険生物』、『宇宙』、『恐竜』、そして『深海生物』。

 ぜんぶお子の大事な宝物だ。

 先日、お子の父方の祖母が「コロナでお子ちゃんに会えないので何か買ってあげたい

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知らぬ道を歩む子よ

知らぬ道を歩む子よ

 子どもの良さをつぶさないでいたい。私は親になって以来、切実にそう思いつづけてきた。思い過ぎて自分を追い詰めたことさえある。最近の私はどうだっただろうか。

 お子は来年小学生。目下、虫捕りに夢中で、図鑑が大好き。相変わらず日々おもしろそうに生きている。それを見守る私の心はどうかというと、正直に言って、不安でいっぱいだ。

 何が不安か。学校になじめるのか。勉強についていけるのか。

 天真爛漫で

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