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メフィラス星人の足

 息子と私は、時折性格が真逆だ。

 先日、小学1年生の息子と、宮崎市の美術館と博物館へ出かけた。みやざきアートセンターで8月28日まで開かれている「TSUBURAYA EXHIBITION 2022」と、宮崎県総合博物館で9月4日まで開かれている「モンスター水族館」を観に行ったのだ。

 5月の下旬に、学校から帰宅するなり「モンスターはね、どようびとにちようびなんだよ」と息子は話した。なんのことかと思いきや、学校でこれらの展示会のチラシをもらったらしい。会期が土曜日に始まり日曜日に終わるのを、土日にしかやらないと思ったようだ。それ以来、行くのをずっと楽しみにしていた。

 展示を見るときはいつもそうなのだけれど、展示を一つ一つじっくり見ていく、などということは息子はしない。興味のないものはサササ〜っと前を通り過ぎて、自分の見たいものだけを見る。

 ウルトラマンの展示である「TSUBURAYA EXHIBITION 2022」ではほぼ立ち止まらず、一番滞在時間が長かったのは、なんと売店だった。最初からグッズが欲しくて行ったのではないかと勘ぐるほどだった。「モンスター水族館」では実物大のクジラとダイオウイカの模型が気に入り、行きつ戻りつしては、「すごいね!おおきいね!」とはしゃぎ、3~4回見た。

 一方、一個一個つぶすように見たい貧乏性の私は、これでは若干ストレスが溜まる。飛ばし見はもったいない気がするのだ。でも「しょうがない」と割り切って彼に付いて行って、彼の満足げな顔を見ていたら、彼みたいなやり方の方が人生が楽しそうな気がしてきて、息子はすごいなという気持ちになった。

 でも、どちらの見方が正解だなんてことはないのだと思う。どちらでもいい。展示は一つ一つ丁寧に見るもの、という固定観念があった私に、息子が新しい見方を提示してくれたということが重要だ。親子といえど、真逆の面がある私たちだから、新鮮に学び合える面があるのだと思う。

 私も今回、息子のやり方に習って、ウルトラマンの展示では「これだ」というものを一つだけ見つけよう、と思って回った。結果的にメフィラス星人がとても印象に残っている。全身が黒で、圧倒的に怖い。バルタン星人よりもずっと怖かった。「なんで怖いんだろう」と考えるのが楽しかった。

 息子のおかげで、メフィラス星人のごつごつとした足が、私の心には今でも印象的に刻みつけられている。

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