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着物がたり

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丸屋履物店さんのこと

丸屋履物店さんのこと

一昨年に「男の着物体験ワークショップ」というイベントを開催した際に息子に手伝いをお願いしました。それ以来、息子は着物スイッチが入ったようで仕事が休みの日に着物を着るようになりました。
友人の披露宴に着物で行くというので雪駄を買ったのですが、やはり下駄の方が歩きやすいようで、私の父のお下がりの下駄を愛用していました。その下駄の台がかなりすり減ってきて買い替えが必要になりました。

来週、「男の着物体

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龍村の帯に出会ってしまったお話

龍村の帯に出会ってしまったお話

それは、最近たまに立ち寄るリユース着物屋さんで出会ってしまいました。
セールがあるとLINEでお知らせが届きます。先日、特選帯お買い得セールの中に龍村美術織物の文字を見つけてしまいました。この機会に間近で拝見して触らせてもらいましょ、と軽い気持ちでお店へ。

特選帯の数々が目の前に並ぶ中、龍村の名古屋帯がありました。なるほど、お茶席などに良さそうね〜、私には無縁だけどと思っていたところ、目に飛び込

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叔母の着物と人生のお話

叔母の着物と人生のお話

父の妹である叔母のために祖母が購入したお雛様を譲り受けました。木目込みでできた人形の姿を見ていると祖母の叔母への愛情を感じます。只今、その叔母は人生の看取りステージにいます。

お雛様よりも約1年ほど前に叔母の箪笥に眠る着物を譲り受けました。

どこかで読んだ着物と人生についての次のようなくだりがあります。

「着物には、着る人が授かった運命と切り拓いてきた人生が映し出される。」

譲り受けた叔母

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「リメイクで楽しむ半幅帯の仕立て」に参加しました。

「リメイクで楽しむ半幅帯の仕立て」に参加しました。

暑くて長かった昨夏。普段着物生活を楽しみましたが、9月になっても単衣を着る気になれずに夏着物してました。夏帯は枚数が少なくコーディネートに飽きてしまったので、半幅帯を買おうと探したのですが、なかなか気にいるものに出会えないままに袷の季節に突入。

冬になっても半幅帯が頭の片隅に残っていたところ、知人が半幅帯の仕立て講座に参加すると聞き、私も〜!と申し込みました。横浜市技能文化会館主催の横浜マイスタ

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ガロンテープのついた銘仙着物

ガロンテープのついた銘仙着物

ほぼ毎日、親戚や知人から譲り受けた箪笥に眠る古い着物を大切に着るようにしています。ですが、夏着物は汗をかいて汚れやすいし薄くて脆弱なためかあまり譲り受けることはありません。

この夏はとても暑さが長かったので手持ちの数少ない夏着物に飽きてしまい、リサイクルショップを覗いていました。紗紬など涼しげな数枚を購入したところ、しつけ糸がついたままでした。何故、着物を作って着ないまま手放してしまったのか?シ

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アンリ・シャルパンティエのラッピングリボンを選択

アンリ・シャルパンティエのラッピングリボンを選択

きっかけはこの夏リサイクルショップで衝動買いした白茶色地の琉球絣。3回ほど着たら裾が擦り切れました。ひとえに私の歩き方が雑ゆえと思いますが、3回で擦り切れるとは〜。裾上げしてもまた擦り切れるに違いない!と思いあれこれ調べてみました。どうやら、裾の擦り切れ防止や汚れ防止用にガロンテープ(またはレース)なるものがあると知りユザワヤさんへ。数あるカラーバリエーションの中で在庫は焦茶色のみで今後入荷予定は

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大島紬キラーコンテンツ発祥の集落を訪ねてみました。

大島紬キラーコンテンツ発祥の集落を訪ねてみました。

多くの着物好きにとって特別な存在の大島紬。フランス・ゴブラン織、ペルシャ絨毯、と並んで世界三大織物と言われているそう。どんな気候風土の地で織られてきたのか、いつかその紬の里を訪れてみたいと思っていました。この夏に奄美大島を旅し、大島紬と言えば龍郷柄!と言われるその柄の発祥の集落を歩く機会を得ました。

まずは奄美大島北部にある龍郷町の役場へ。役場の敷地を取り囲む塀には大島紬のアイコン的存在の龍郷柄

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まだ出会えぬ芭蕉布のお話のその後のその後

まだ出会えぬ芭蕉布のお話のその後のその後

沖縄のやんばるにある大宜味村喜如嘉区の芭蕉布の魅力に取り憑かれていました。以前「まだ出会えぬ芭蕉布のお話」で、着尺や着物を見て触って、さらにもし可能であれば纏ってみたい•••と書きました。しかしながら、知れば知るほど芭蕉布はとても希少で高価な美術品に近い工芸品になってしまっているため、半ば叶わぬ夢かも〜、と諦めていました。そのような中、大宜味村で年一回開催される工芸の催し「いぎみてぃぐま展」にて芭

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令和4年度シルク博物館講座に参加しました。

令和4年度シルク博物館講座に参加しました。

みなとみらいにあるシルクセンターで開催された令和4年度シルク博物館講座「きものの意匠にみる日本の伝統色・文様とその変遷」全3回に参加しました。良い意味でタイトルを裏切る大満足の3回シリーズでした。3人の全く異なる先生による全く異なる視点からの「きもの」のお話で、え〜!!そうだったのね〜!!、という発見がたくさんありました。各回の個人的な発見をご紹介します。

第1回 令和5年1月14日(土)
「日

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着物からコートへ水平サイクルしてみました。

着物からコートへ水平サイクルしてみました。

アップサイクルデザインという言葉をよく耳にします。随分前から、工場の廃材を利用したモノづくりに取り組んでいた知人が、最近何でもかんでもアップサイクルという言葉を乱用しすぎている・・・とぼやいていました。どうやら細かく言うとダウンサイクル、水平サイクル、アップサイクルがあり、使えなくなったモノに従来より高い価値を付加することがアップサイクルのようです。そのような考え方によると、着物をコートにするとい

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世界で一つだけのマイソール下駄を買いました。

世界で一つだけのマイソール下駄を買いました。

今年5月から普段着物生活を始めました。そのため靴を履かない日が多くなり履きやすい草履・下駄が必要に。履きやすいものを探していたところ友人から「黒田商店さんのを履いたら他のものは履けなくなる」との情報を得ました。お店が高松市にあることがわかり、折りしも偶然!別件で高松に行く予定があったため行ってみました。

そのお店は、高松の街中の商店街の脇の小さな路地にひっそりとありました。外観から絶対素敵なお店

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羽裏が自由すぎる件 その三

羽裏が自由すぎる件 その三

袷の長羽織が仕立てあがりました。いつものきものサロンの渡辺さんおすすめの表地の反物に合わせて、京都の老舗呉服卸・千藤の山本さんが羽裏を提案してくださいました。

表地は深い緑地に鮮やかな青や緑の長いリボン状の模様がたなびいている遊び心満載の抽象柄。それに合わせて、山本さんが数種類の羽裏を提案してくださいました。山本さんのコーディネートはいつも現代の生活シーンにマッチした洗練されたシンプルさが魅力で

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羽裏が自由すぎる件 その二

羽裏が自由すぎる件 その二

羽織をいただきました。濃い臙脂色地に百寿文様の渋い小紋の表地に大きな唐子文様の可愛らしい羽裏、とても拘りのある趣味性の高い羽織です。おそらく、百寿文様も唐子文様も中国に由来するおめでたい文様であるため組み合わせたのではないかと想像します。

そのまま着るにはサイズか小さすぎるため、自分サイズに仕立て直しをお願いしました。長めの丈の羽織が好きなので、表地の許す限り長くしていただくことに。そのため、

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夏芭蕉の着物をほどいてみました。

夏芭蕉の着物をほどいてみました。

3年ほど前に親戚からいただいた夏用の着物があります。黒地に浅葱色で大きめの草花、蜻蛉、団扇が織り出されているレトロな柄もの。等間隔に縦に金糸が入っています。透け感があり麻のようなはりのある手触りの「夏芭蕉」という絹織物だそう。着てみると細身で身丈も短くしばらく寝かしておきました。薄羽織にしてはどうかと悉皆さんに相談しましたところ、羽織は落ち感のあるしなやかな生地がよいので帯にしてはどうですか、との

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