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ガロンテープのついた銘仙着物

ほぼ毎日、親戚や知人から譲り受けた箪笥に眠る古い着物を大切に着るようにしています。ですが、夏着物は汗をかいて汚れやすいし薄くて脆弱なためかあまり譲り受けることはありません。

この夏はとても暑さが長かったので手持ちの数少ない夏着物に飽きてしまい、リサイクルショップを覗いていました。紗紬など涼しげな数枚を購入したところ、しつけ糸がついたままでした。何故、着物を作って着ないまま手放してしまったのか?ショップの店主は、着る機会がある人はそうそういないんですよ、いつか着るかもしれない夢を買うんですよ、とおっしゃっていました。

夏に顔馴染みになったショップに秋になってもたまに行きます。秋冬に着る着物は古い箪笥からいただいたもので充分なのですが・・・。先日、そのショップ店頭で古い銘仙に出会ってしまいました。ザ・銘仙と言える色柄、胴裏は朱赤で八掛は黄色!に惹かれて着物として着ることはないけれど裂として欲しいなぁ〜、と思いゲット。決め手は裾にガロンテープが縫い付けられていたからです。

ガロンテープについては、この夏に夏着物の裾が擦り切れた際に初めて知りました。着物が日常着だった時代には、擦り切れ防止や汚れ防止用にガロンテープが裾や袖口に使われていたそうです。

銘仙に縫い付けられたガロンテープを見た瞬間、前の持ち主さんが大切に着ていたんだ!と直感しました。リサイクルショップでしつけ糸のついた着物は何度も見ましたが、ガロンテープ付きの着物を初めて見ました。
帰宅して細かく見てみると、袖口にもガロンテープが縫い付けられていました。持ち主さんが本当に大切に日常着として着ていたことが伝わってきました。私には寸法が小さいため着物として着ることはありませんが、解いて汚れを落として帯に仕立て直してみようかなと思っています。

リサイクルショップで出会ったしつけ糸がついたまま着られることのなかった着物とガロンテープがついている大切に着られた着物。どちらも前の持ち主さんはどんな方だったのか、何故この着物を着ないままに手放したのか、何故この着物を大切に着たのか、などとあれこれ想像を膨らませる着物がたりです。


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