はぜの木

よせぎれ工房「はぜの木」主催。日本中の箪笥に眠っている着物の裂の思い出をつないで現代の…

はぜの木

よせぎれ工房「はぜの木」主催。日本中の箪笥に眠っている着物の裂の思い出をつないで現代の住空間にフィットしたアップサイクルデザインを創造。公益社団法人かながわデザイン機構(KDF)会員。学芸員。2022年12月KDF「タンスの着物再生プロジェクト」始動。座右の銘は無我夢中。

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    公益社団法人かながわデザイン機構(KANAGAWA DESIGN FORUM)の公益事業の一つであるエコデザイン事業の中のプロジェクトとして2022年12月より始動しました。

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よせぎれのお話

祖母や母が大切に保管している古い着物の裂(きれ)があります。昔は布が貴重品で着なくなったからといって簡単に捨てたりはしなかったようです。様々な染織技法を駆使した貴重な布は権力の象徴であった時代もあるようです。そんなわけで、古い人たちは着なくなった着物をほどいて裂として大切に保管し、活用してきました。まさに現代のファストファッションと対極にある価値観だと思います。 活用例としては、穴のあいた着物に裂で繕い物をしたり、裂を寄せ集めて新たな着物を作ったり、額装、表装などに使用した

    • 暑過ぎる9月のおかげで浴衣を長く楽しんでる件〜伯母を偲びつつ〜

      9月になっても酷暑続きの日々。着物界の常識は単衣なんでしょうけど私は気温で決める!と強い意志を持って普段着物生活してます。さすがに透け感のある絹の紗や絽は着ませんが、麻や綿の浴衣をバリバリ着てます。 中でも浴衣は今年リユースショップで3枚ゲット、例年になくたくさん着てます。いわゆるザ-浴衣風ではなく木綿の小紋風の色柄なので長襦袢に足袋を合わせて着物風に。 帯は一つでもアイテムを減らそうと思い8月からほとんど半幅〜。気づいたらどの浴衣にも合わせやすい白地の博多織の半幅がヘビー

      • 琉球の王様の別邸「識名園」へ

        テレビや雑誌で見て気になっていた沖縄の識名園へ行ってきました。琉球王家最大の別邸で、国王一家の保養や外国使臣の接待用の庭園建築。国指定の特別名勝でユネスコの世界遺産!です。 園内を順路に沿って歩いて行くと御殿があります。 一見、琉球の民家のような佇まいの建築です。多分、以前にみた民家の雨端がある屋根が目に入ったからかと。 靴を脱いで室内から外を眺めます。雨端柱と部屋の柱がピッタリと等間隔で心地よいリズム感。雨端柱は製材しない自然のままの形状で、部屋の柱は製材して四方を面取

        • 沖縄の仏壇の謎

          沖縄の仏壇がずっと謎でした。住宅の真ん中の部屋の和室の壁にドンとビルトインされているのです。 沖縄県立博物館の常設展の民俗部門展示「沖縄の伝統とくらし」にある仏壇もやはりビルトイン。お盆の時期のお供え物が再現されています。 私は以前より、他の県では観音開きの仏壇が家具のように和室に置かれているのに、沖縄では何故扉の無い棚と引き出しがビルトインされている形状なのか知りたくて、ことある毎に質問していたのですが、回答を得られずにいました。博物館ならきっとわかるのでは!と期待して質

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          まだ出会えぬ芭蕉布のお話のその後のその後のその後(最終章?)

          今、こうして私の目の前に2枚の芭蕉布がやんばるの風を受けてたなびいています。至福すぎる光景、良い眺めです。 沖縄に古くから伝わる芭蕉布。私は民家の箪笥に眠っている芭蕉布に会いたくて、願わくば芭蕉布にピッタリの風土だというやんばるの地でそれを纏ってみるのが夢でした。 まだ出会えぬ芭蕉布のお話の始まりです。  戦前は沖縄の家庭で栽培した芭蕉を紡いで自家用に織って生活着や野良着として着ていたという芭蕉布。 しかし、戦争により消失したり、戦後業者に買い取られて民家の箪笥からは消え

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          日々の着物選びに心ときめく理由とは

          知人からご案内いただきました蔦屋代官山店の「iro-時を紡ぐ浴衣-」。日常に馴染む着物をテーマに、京都出身の瑠里さんが立ち上げたショップ「iro」。着物に関する書籍、瑠里さんが影響を受けられた本も併せて展開されたフェアです。たまには代官山行かないとね〜、と思いフェア最終日に行って来ました。 浴衣、半幅帯、草履、帯留、アンティークバックなどなど、代官山なテイストとお値段の品揃え。私はそれよりも書籍の品揃えに惹かれてしまい、迷いに迷って一冊の文庫本を購入しました。 白洲正子さ

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          大好きな錦の織物に御旅所でまさかの再会!

          大規模修繕のため約2年半休館中の横浜能楽堂。休館中に横浜能楽堂を忘れないでね〜、そして今まで知らなかった皆さん初めまして〜的なギャラリー&ショップ機能の施設「OTABISHO」を横浜ランドマークにオープンしました。神社の祭礼の際の御旅所からネーミングしたそうです。 昨日初めて訪問してみたところ、そこで、まさかの!横浜能楽堂にあった私の大好きな室内装飾織物に出会ってしまいました。 横浜能楽堂のキラーコンテンツはなんといっても約150年の歴史あるシブ可愛い能舞台ですが、私は、何

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          KDFタンスの着物再生プロジェクト「浴衣でダンス?〜ラテンのリズムと共に〜」を開催しました。

          2024年7月7日七夕の日にKDFタンスの着物再生プロジェクト「浴衣でダンス?〜ラテンのリズムと共に〜」を開催しました。 場所はSTIDIO DANCIA。バレエ・ジャズ・タップ・ヒップホップ・カルチャーダンススタジオです。 講師は「かんたんダンス教室」を主催するダンスインストラクターの長澤敦氏さん。太極拳指導員、合気道2段、杖道3段、趣味は三味線という多才な方です。 内容はラテン系(サルサ・マンボ・サンバ)リズム音楽のダンス体験を浴衣で楽しむというもの。 当日は、酷

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          浴衣と七夕と盆踊りならぬラテンダンスはいかが?

          七夕の日にイベントを開催します。KDFタンスの着物再生プロジェクト「浴衣でダンス?〜ラテンのリズムと共に〜」 きっかけは去年の秋頃。以前の職場の上長からダンス教室を始めたので見に来ませんか?とお誘いがありました。息子さん2人がクラシックバレエとタップダンスのプロダンサーさんで、練習用のダンススタジオを使用しない日に始めたとのこと。ダンススタジオへ行ってみると、一列になってラテン音楽で踊る陽気で楽しいダンスでした。ダンス音痴の私は見るだけで踊るつもりはサラサラなく、普段通り着物

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          着物はコミュニケーションメディアだと思った件

          そうだ!日常着として着物を着よう、と思い日々着るようになり3年目になりました。最近、日常着として着物を着ていなかったら多分なかっただろうなぁ〜、という出来事がありました。 その1 先生のリメイク教室の先生のお話 高校時代の部活の顧問の先生の同窓会誌への寄稿文を目にする機会がありました。近況に着物のリメイクにチャレンジ中と記されていました。着物リメイクというワードに惹かれてなんだかとても先生にお会いしたくなり連絡。久しぶりの再会の日、私は総絞りの小紋を選びました。先生は総絞り

          着物はコミュニケーションメディアだと思った件

          KDFタンスの着物再生プロジェクト「男の着物体験ワークショップ〜着物でぶらり散歩〜」を開催しました。

          2024年4月28日(日)に横浜市技能文化会館にてKDFタンスの着物再生プロジェクト「男の着物体験ワークショップ〜着物でぶらり散歩〜」を開催しました。 内容は着物を着付けて散歩体験をした後に、お抹茶とお菓子をいただくお茶パーティー、プロフィール写真撮影です。ターゲットは妻や彼女と浴衣や着物で一緒に出かけたい、いつか着てみたいがきっかけがない、着物の所作がよくわからない、などなど着物初心者です。お手持ちの着物が無い方にはレンタル着物を手配しました。 今回の企画は着物を着付け

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          丸屋履物店さんのこと

          一昨年に「男の着物体験ワークショップ」というイベントを開催した際に息子に手伝いをお願いしました。それ以来、息子は着物スイッチが入ったようで仕事が休みの日に着物を着るようになりました。 友人の披露宴に着物で行くというので雪駄を買ったのですが、やはり下駄の方が歩きやすいようで、私の父のお下がりの下駄を愛用していました。その下駄の台がかなりすり減ってきて買い替えが必要になりました。 来週、「男の着物体験ワークショップ〜着物でぶらり散歩〜」を開催するにあたり、息子に散歩案内人を任せ

          丸屋履物店さんのこと

          叔母の家の片付けをしてきました。

          先日、父の妹である叔母の着物と人生のお話をnoteしました。その叔母が亡くなり、この度、家の片付けをしてきました。 叔母が50代から約30年住んだ家。再婚相手に終の住処として建てていただいたと推定しますが、そのお相手は早くに亡くなり20年以上一人暮らしでした。 平屋の家屋と趣味の陶芸、園芸用の道具類が納められた小屋が二つとお花と樹木でいっぱいの庭。 家屋のリビングには花器用の棚、食器用の棚に整然とものすごい量の花器と食器。キッチンには冷蔵庫が二つ。中には手作りの冷凍食品と

          叔母の家の片付けをしてきました。

          龍村の帯に出会ってしまったお話

          それは、最近たまに立ち寄るリユース着物屋さんで出会ってしまいました。 セールがあるとLINEでお知らせが届きます。先日、特選帯お買い得セールの中に龍村美術織物の文字を見つけてしまいました。この機会に間近で拝見して触らせてもらいましょ、と軽い気持ちでお店へ。 特選帯の数々が目の前に並ぶ中、龍村の名古屋帯がありました。なるほど、お茶席などに良さそうね〜、私には無縁だけどと思っていたところ、目に飛び込んできたのはなんとも不思議な色柄の洒落袋帯。深い紺地に金と銀で瓢箪の実と花と蔓が

          龍村の帯に出会ってしまったお話

          叔母の着物と人生のお話

          父の妹である叔母のために祖母が購入したお雛様を譲り受けました。木目込みでできた人形の姿を見ていると祖母の叔母への愛情を感じます。只今、その叔母は人生の看取りステージにいます。 お雛様よりも約1年ほど前に叔母の箪笥に眠る着物を譲り受けました。 どこかで読んだ着物と人生についての次のようなくだりがあります。 「着物には、着る人が授かった運命と切り拓いてきた人生が映し出される。」 譲り受けた叔母の着物を見て、改めてその通りだと思いました。縮緬の小紋3枚と染めの羽織1枚。小紋

          叔母の着物と人生のお話

          「リメイクで楽しむ半幅帯の仕立て」に参加しました。

          暑くて長かった昨夏。普段着物生活を楽しみましたが、9月になっても単衣を着る気になれずに夏着物してました。夏帯は枚数が少なくコーディネートに飽きてしまったので、半幅帯を買おうと探したのですが、なかなか気にいるものに出会えないままに袷の季節に突入。 冬になっても半幅帯が頭の片隅に残っていたところ、知人が半幅帯の仕立て講座に参加すると聞き、私も〜!と申し込みました。横浜市技能文化会館主催の横浜マイスター塾「リメイクで楽しむ半幅帯の仕立て」です。好きな生地を持ち込んで3回の仕立て実

          「リメイクで楽しむ半幅帯の仕立て」に参加しました。