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「よせぎれ工房」はぜの木

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着物が好きで、建物が好きで、その両方が融合した表装や建具などの室内装飾織物が大好きです。現在、祖母や母の古い着物の裂(きれ)と家族の思い出の書や画を昔からある表装技術で繋いだ作品… もっと読む
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「すみの会」に出展しました。

「すみの会」に出展しました。

母校の学科卒業生有志による第12回「すみの会」に出展しました。書、墨画、エッチング、油絵、染織、生け花など様々のジャンルの作品展。2年に1回の頻度で銀座のかねまつホールにて開催されます。30名くらいの出展者のうち、なんと私は最年少!!! 作品タイトルは『よせぎれ屏風 ~家族の記憶~』です。
以下は展示の際のキャプションに少し追記をしたものです。

展示キャプション

家族が大切にしていた着物をほど

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よせぎれクッションカバーを制作しました。

よせぎれクッションカバーを制作しました。

2023年最初のよせぎれ作品はリビングのソファー用のクッションカバーです。メインに使った着物の裂は、ソファーの横にある着物をまとった電子ピアノに使用した、祖母が着ていたという金茶地格子黄八丈。
その他には、
 祖母の昼夜帯 紫根地葵文型染め
 祖母の着物 焦茶地紬 
 親戚の着物 黒地久米島絣 など
でよせぎれしてみました。

タンスに眠っている古い裂たちを眠らせておくことなく現代の住空間に置いて

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「リメイクで楽しむ帯の仕立て」に参加しました。

「リメイクで楽しむ帯の仕立て」に参加しました。

横浜市技能文化会館主催の横浜マイスター塾「リメイクで楽しむ帯の仕立て」に参加しました。好きな生地を持ち込んで4回の仕立て実習で名古屋帯を仕立てる講座。講師は水守康治さん、帯仕立て職人では日本で唯一、黄綬褒章受章の方です。

私が持ち込んだのは母が20代から50代に作った6種の着物の残り裂。
・20代 朱色絣お召し 着物から道行に直したもの
・30代 柿色小紋 着物
・30代 朱色菊柄 羽織
・40

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よせぎれのあずま袋

よせぎれのあずま袋

友人のお母様が残した和箪笥の整理のお手伝いをした際にいただいた着物の残り裂。それらをアップサイクルデザインした第一弾の作品は風呂敷でしたが、第二弾としてあずま袋を制作しました。裂の中の渋目の3種を有効活用したいとあれこれ考え、あずま袋にいきつきました。

あずま袋をご存知でしょうか。江戸時代に西洋の鞄を真似て考案された風呂敷や手ぬぐいから作られたものだそう。私は以前から着物を着てお出かけする際に

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クレージーよせぎれ

クレージーよせぎれ

昨年、横浜市歴史博物館の「うつくしき日本の手仕事」展の関連企画「会津木綿ハギレークショップ」を見学させていただく機会がありました。会津木綿の織元は現在3軒しか無いそうで、ワークショップではその織元さんからご提供いただいた貴重なハギレをクレージーキルト風につないでコースターを作るというもの。美しいハギレはつないでも美しい!と感じました。

このワークショップにインスピレーションを得て、着物の小裂の

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よせぎれの帯を仕立ててみました。

よせぎれの帯を仕立ててみました。

以前に購入しておいた19種類の古いハギレたち。色は藍、菊の文様の中型染や縞の織などいろいろ、大きさもまちまちです。何を作ろうか考えた結果、よせぎれの帯を仕立てることに。本来であれば仕立て屋さんにお願いすべきところですが、よせぎれの配置デザインが複雑すぎて伝えるのが難しいと思い、自分で作ってしまおうと思ったわけです。帯を仕立てたことなどなく、和裁も習ったことはない私ですが、無謀にも取り掛かってしまい

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よせぎれ工房 はぜの木 作品デビュー

よせぎれ工房 はぜの木 作品デビュー

以前によせぎれ表装_家族の名前について書きました。掛け軸作品です。この度、この掛け軸が母校の学科の卒業生有志の会である「すみの会」(2021年10月20日(水)〜24日(日)@銀座かねまつホール)という作品展に出展させていただける機会を得ました。はぜの木作品デビューです!

よせぎれ表装_家族の名前の掛け軸は2点の作品で構成されます。掛け軸の書にある「孝」「和」「仁」「伸」「智」「晴」はそれぞれ父

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小裂標本ができました。

小裂標本ができました。

祖母、母が大切にしていた着物のハギレ。昔の人は小さなキレを捨てずに大切にとっておいたようです。また、着物のワードローブを把握するためにキレを繋いで見やすくする工夫もあったようです。それらを受け継ぎましたので母の記憶があるうちに標本として整理してみました。また私の着物のハギレもいつか受け継いでくれる誰かのために標本に入れることにしました。

ところでハギレという言葉についてですが、漢字にすると端切で

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ヘッダーデザインのこと

ヘッダーデザインのこと

はぜの木のnoteを始めるにあたりヘッダーデザインをどうしよう・・・と考えた時に、亀甲寄せ裂をデザインモチーフにしたいと思いました。
亀甲寄せ裂に出会ったのは修論で調査した国指定有形重要文化財である岐阜県の旧川上貞奴別邸の田舎屋棟の藁葺きの洋間にある天袋の小襖です。地色・模様の異なる裂を亀甲模様に寄せ裂した小襖で心わしづかみにされた作品です。それ以来亀甲寄せ裂にとりつかれて調査したところ、様々な作

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よせぎれのお話

よせぎれのお話

祖母や母が大切に保管している古い着物の裂(きれ)があります。昔は布が貴重品で着なくなったからといって簡単に捨てたりはしなかったようです。様々な染織技法を駆使した貴重な布は権力の象徴であった時代もあるようです。そんなわけで、古い人たちは着なくなった着物をほどいて裂として大切に保管し、活用してきました。まさに現代のファストファッションと対極にある価値観だと思います。

活用例としては、穴のあいた着物に

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