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着物からコートへ水平サイクルしてみました。

アップサイクルデザインという言葉をよく耳にします。随分前から、工場の廃材を利用したモノづくりに取り組んでいた知人が、最近何でもかんでもアップサイクルという言葉を乱用しすぎている・・・とぼやいていました。どうやら細かく言うとダウンサイクル、水平サイクル、アップサイクルがあり、使えなくなったモノに従来より高い価値を付加することがアップサイクルのようです。そのような考え方によると、着物をコートにするということは水平サイクルかもしれません。

さて、今回私が水平サイクルしてみたのは、伯母から譲り受けたウールの着物。春らしいブライトトーンのカラフルな色で格子が織り出された厚地ウールの単衣。その着物を見た瞬間にびっくりしたのですが、以前に母からそっくりな着物を譲り受けていたのです。洋服と異なり、着物がカブルってあまり無いと思いますが、寸法と格子の色が少々違うだけでどう見てもお揃いです。伯母、母の二人になぜお揃いなのか聞いてみたのですが、買ったことも忘れ、お揃いであることも知らないようでした。92歳と88歳なので記憶から忘れ去られてしまったのか、本当に知らなかったのかは最早確かめようがありません・・・。

母の方は身幅はやや細めですが丈はなんとかおはしょりが取れるので着物として着ています。伯母の方は身幅は母のより広めなのですが丈が短くおはしょりが取れません。両方を着物で着ることは多分無いし、せっかくお揃いなのだから面白いコーディネートができないか考え、伯母の方をコートにすることにしました。

対丈になるように裾を揚げてまつり、ちょうど色が合う手持ちのモスリンの八掛があったので、足さばきがいいように胴から下の裏地にし、残りで内側の紐を作りました。表の紐はあれこれ考えた結果、リサイクルショップで買った古い帯締の色がぴったりだったので半分に切って使うことに。

そのようなことで、ウールの単衣専用のウールのコートができあがりました。まだまだ寒いけど冬用の黒いコートではちょっと重すぎる時に着る予定の、気分が春めくブライトトーンのカラフルなコート。脱いだらお揃いの着物が出てくるというコーデです。出自は今となってはよくわからない、お揃いの、謎の着物がたりです。

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