子供の頃姉がピアノ曲聴いてて、「わあいい曲だね雨が降ったり止んだりしてるみたい」と言ったら呪われた。 ショパンの雨だれだったみたいだ。 雨の日に訪れるいやな思い出。 いちいち人に対抗意識持つ人って大概向上心旺盛で伸びるけど、上には上がいるので幸せな気持ちでいることは難しいと思う。

雨の日には 決まっていつも ショパンの『雨だれ』が 聴きたくなる 重力のように降る雨が、 身体をしっとりと濡らしていく まるで軒先で雫が幾重にも、 垂れていくように そんなイメージを持ちながら 脳裏に深く 刻み込んでいく 一つずつの音

ベランダの手すりから 落ちる雨だれを見ていると 即興のメロディとリズムが 聞こえないけれど感じる。 雫の大きさは音の広がり。 ほら、シンバルが鳴った。 視覚から聴覚へ 観る音楽が奏でられている。

雨だれが水たまりに跳ね返る音を それがズボンの裾を濡らす冷たさを 聞いているのではなく、感じているのではなく ただそこにある世界を、雨だれとか感覚に分別して あまつさえ我までこさえて 無数の意味に分かつているのだ。

つめたい雨の日。 こころには薪（たきぎ）を。 耳を澄ませば、 雨音は静かに こころを宥めてくれるようです。 こんな日は、ショパンの「雨だれ」が聴こえるよう。 （Prelude Des-dur Op.28 Nr.15 ） 時節柄、こころも身体も、あたたかくしてくださいね。