海の見える街 (10)
「へぇ、手持ち花火とか懐かしいなぁ。」
受け取った荷物を運び潮風に戻ると、玄関口で友瀬さんが僕らの帰りを待っていた。
茜さんは嬉しそうに花火を抱えて車に乗っていたので、降りた途端にそれは友瀬さんの目に入った。
「今日が本土の花火大会だって、僕知らなかったんですよね。」
また、別の日にでも、と言いかけると
「今日は風も弱いし夜も天気がええ。明日からしばらく雨みたいやけん、今日やりましょうや。」
と、友瀬さんに遮られた。
「船のおじさんに花火大会は十九時半からだって教えてもらいま