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大人の近未来ミステリ『近未来建築診断士 播磨』シリーズ #note推薦文

大人の近未来ミステリ『近未来建築診断士 播磨』シリーズ #note推薦文

昨今、小説投稿サイトが多様化していく中で「Noteでしか読めないもの」「Noteらしいもの」と言えば【お仕事モノ】というジャンルだと思うんですよね。NoteらしいビジネスやHOW TOに接しながら現実世界から一線を引いたフィクション。その中でもユニークな存在感を発揮した白眉が『近未来建築診断士 播磨』シリーズだと考えています。 『近未来建築診断士 播磨』とは 建築士でも設計士でもない建築診断士って何をする人? 現代の「建築診断士」でもちょっとファンタジーな存在なのに、それが

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part7

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part7

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.7『アフターケア』 -1 【前話】 ■ 『もしもし!能荏ですけど!』  春めいてきた朝のさわやかな気分をぶち壊しにする声がスピーカーから部屋中に響いた。素早く引き出しからヘッドセットを取り出して装着し、スピーカー出力を切る。 「播磨です。おはようございま」 『あのねぇ、なんかうちのシステム、調子が悪いのよ!』 「は、どのような状態でしょう」  答えつつアメンテリジェンスのデータを呼び出す。報告書

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-8

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-8

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -8 【前話】 ■ 前回までのあらすじ  建物の劣化診断を営む播磨宮守は姿をくらましていた『社長』づたいにアメンテリジェンスマンションの仕事を請け負い、管理AIの改善業務に乗り出す。11階サーバー室へ侵入するため天井裏へ潜り込んだ播磨。施設内モノレールに轢殺されるかというところだったが衝突防止装置により事なきを得、いよいよサーバー室内へと滑り込むのだった。 ■  天井裏よ

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-7

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-7

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -7 【前話】 ■ 前回までのあらすじ  建物の劣化診断を営む播磨宮守は、姿をくらましていた『社長』づたいにアメンテリジェンスマンションの診断を引き受ける。変貌したマンション管理システムから居住者を開放するため秘密裏にシステムアップデートを行うことを決めた播磨は夜間を狙ってマンションに侵入する。システムの妨害を受けつつも、なんとか11階サーバー室への侵入経路を見出したのだった

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-6

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-6

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -6 【前話】 ■  廊下を見回していた刑事がドアの前に戻った。彼が見下ろす黒い箱、解錠装置の表面にはなんの表示もない。端末に流れるログにはシリンダー錠が開いたと記されていた。 『鍵は回った。あとは暗証番号だけ』  誇らしげな春日居の声と共に、装置がぎちりぎちりと音を立てる。スイッチを押している音なのだろうか。 「播磨さん、消防車です」  牧野氏が袖をひいて窓の外を指

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-5

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-5

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -5 【前話】 ■  作事刑事の視界は先日の高所作業を思い出させた。違うところは、あの時よりもさらに足場が狭いこと。群青色の手甲が幅数センチの出っ張りを交互に掴みながら横に進んでいく。足はどこにかけているのかすらわからない。  こちらがそんなことを考えている間、彼はずっと11階に登るためのルートを見据えている。吹き抜けの手摺壁を渡って最上階まで伸びている、屋内モノレールの線

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-4

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-4

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -4 【前話】  ■  素早くサムターンを二つ回し、ドアノブに手を伸ばす。だが間に合わない。鍵から手を離した瞬間に施錠されてしまう。 「私が開けます!」  牧野氏がドアノブを握る。息を合わせて2つのサムターンとノブを回す。  だが今度はサムターンが回らない。故障でもしたかのようにびくともしなくなってしまった。 「……オートロックをやられましたね」 「まさか、管理システム

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-3

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-3

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -3 【前話】  ■ 「そろそろですね」  自分の声が薄暗い部屋に大きく響いた。椅子で本を読んでいた牧野氏がびくりと体を震わせる。声が大きすぎたらしい。顔が熱くなった。  勢いよく立ち上がり、体を見下ろす。頑丈な濃紺の作業用ズボンにフード付きジャケット。両手は精密作業用ラバー手袋。腰のホルスター左側に球形ドローン3機。右側に小型電動ドライバー他工具類。  テーブルの上に

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-2

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-2

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -2 【前話】  ■  車は首都高のトンネルに入るとスピードを上げた。春日居は車にルートをインプットして自動操縦に切り替えると、後部座席の作事刑事を睨む。刑事はその視線を気にせず、ホログラフの報告書を車内に展開していった。 「言っとくけど播磨もウチも、なにもやらないからね」 「助手はこう言ってるが、先生はどうする?」  彼女の釘差しを刑事はさらりと受け流す。春日居はため息

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近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-1

近未来建築診断士 播磨 第4話 Part6-1

近未来建築診断士 播磨第4話 無自覚な従僕たちのマンション Part.6『劣化機能の更新業務』 -1 【前話】  ■  話を聴き終えると、作治刑事は畳に視線を落とした。 「そりゃさ。また飯食おうぜって言ったよ。こんな重い話とセットって思わないでしょ」 「すみません」  平服でくつろいだ様子とは裏腹にその表情は固く鋭い。春日居は周囲を警戒しているのか、個室を仕切るふすまと端末とを交互に確認していた。 「町会長さんと、例のかくまってくれた住人さんには話したのか」  

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