令和市

2度目の高校卒業。いつの間に来ていたこの日。

二度高校に通った記憶がある。 当然、2つ目の通学は事実でない。 しかし、あまりに長いこと夢を見ることが多く、記憶も確かに存在しているので、これは心の中で何かが起こっていたのかもしれないと思う。 もうひとつの高校時代。 それはちゃんと不登校を選ぶことができた自分の世界。 パラレル高校生活のスタート「もう一度、西南に行かせてほしい」 渋る母のダメを意地でも突き返すと言わんばかりの勢いで母にお願いをした。 心は今のままに、年齢は21歳から。 16歳の頃の追体験をするで

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『慟哭の残響』 : 1

ーーEveryday...I listen to my heart...ひとりじゃ..ない.. バラバラと音を立てて雨粒が土を打つ。木立を満たす雨音に、ひそやかな囁きが交わった。 ーーいつま…でも歌うわ…あなたの…ために… クルクルと透明なビニール傘を回し、彼女はすんと鼻を鳴らした。濡れた木々の香りがするかと思いきや、案外ビニールの匂いが強い。買ったばかりの傘はまだまだ匂いが抜けないようだ。 足元の砂利道はそこかしこが水に沈んでいる。防水性のブーツが頼もしくしぶきを飛

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Last Scene :

すすきを左手に、蓮の花を片手に佇む。すすきを軽く振ると、水琴窟のような音が微かに鳴った。傍らに立つ『海石』から渡された般若の面を顔にかけ、海石は小高い丘の上を振り仰ぐ。 「ちょっと待って、海石」 クソ野郎ちゃんがぴょんぴょんとはねながら近づいてきて、かぱっと口を開けた。海石は右手を差し出す。がぶり。クソ野郎ちゃんが花に噛みつき、もぐもぐと咀嚼してごくんと飲み込む。またかぱっと口を開けて花を放した。無事な姿の花を見下し、海石は原っぱを登っていく。斜めに削られた、広々とした岩

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Scene 8: 機縁

高所の風は身を裂くように吹き抜ける。 ぱたぱたと服の袖がはためいた。 沈みゆく空の色が目にしみる。 「どう、して」 声が震える。驚愕を表す瞳は小刻みに揺れ動いた。 彼はぐしゃ、と顔を歪める。 「何で、そんなことするんだよ…  馬鹿がッ!!  今すぐーー今すぐ、その手をはなせ!!」 『海石』は そらに消えかけ  海石に腕を掴まれた。 海石は歯を食いしばり、右手で『海石』の左腕を掴んでいる。右半身は完全に外にせり出し、左手と左半身が辛うじて木の柵に引っかかっていた。

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Scene 7: 転機

海石は駅を出ると、無言で歩いた。てくてくと歩く彼の後ろで、『海石』は右に左にぶつかり合い逃げ惑う人々をのんびり眺めている。 「すげえ騒ぎだこと。で、どこで話す?このへんのカフェは無理そうだ」 「あそこにしよう」 海石が指差した方向を見て、ドッペルゲンガーは楽しそうに肩を揺らす。 「なるほどね。たしかに、あそこなら話の途中で崩れることもないし、人もいないな。」 いいな、そこにしよう、と頷くのを見て海石は再び背を向けて歩く。目指すは駅近くにある展望台。高層ビルほどにも育っ

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ETA-6 デジタル都市令和市が終わる

オープンチャットは次々と閉鎖してゆき、令和市について語れる場所はなくなっていった。あの時、令和市ってあったよね。そういう時間が走馬灯のように蘇る??? どういう関わり方をしていたのか?そこへ行って何を見て、何をしたのか? 痕跡をたどる。 その過去の思い出すらもあっという間に爆発して燃やされてしまう。 次は何処へゆこうか? 人々が彷徨いだし、幽霊のように、浮遊している。 行く場所を求めて、令和市何処やねん。 いや、もうなくなりましたわ。 そんなわけない。 まだ何

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Scene 6: 動転

「たった今、令和市公民館が爆破されました。」 各路線の運行状況や路線図を表示していた電子掲示板は、緊急ニュースを放送するテレビへと変貌した。無機質な音声は通常の倍の速度で状況を説明する。燃える公民館を映していた映像は、続いて公民館付近の地図を表示した。いくつかバツ印がついている。 「付近の皆様は、至急避難所へ避難してください。公民館から離れてください。緊急事態の発生に、令和環状線、空港線を含め、すべての路線は一時運転を見合わせております」 続いてニュース速報から画面が切

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Scene 5: 行動

他力本願寺を出た海石は、幾分すっきりとした胸に手を当てていた。ふう、と深い息を吐き出す。 「ありがとう、にゅーろん。いろいろと付き合ってくれて」 「ん、いいよ。僕は暇人だからさ、令和市のあちこちに顔出してるし。頭よくないかわりに一緒に動くことはできるんだ」 にゅーろんは車にもたれて軽く微笑む。海石もつられてはにかみ、ありがとう、と頷いた。 「にゅーろんが暇人でよかった」 「はは、僕も感謝してる」 それに、と言いかけたにゅーろんは話を止めてポケットに手を突っ込んだ。スマ

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Scene 4: 潜行

「ありがとうございましたー」 構内のコンビニから出て駅へ向かう。ピンクのレンガの建物の中でたくさんの人が話し合っているのを横目に、コンクリートを踏みしめた。真夏にフードをすっぽりとかぶる彼に対し、校門前に立つガードマンが鋭い視線を飛ばしてくる。 大学前の店が立ち並ぶ商店街は価格と品揃えから常ににぎやかである。人込みをすり抜けるようにして進んでいくが、それでも肩がぶつかった。よろめいた体を誰かが捕まえ、支える。内心舌打ちする。 「おっと、悪い。大丈夫か?」 「…ああ、大丈

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Day8:あと10日で令和市が終わることについて、今感じていることを書いてほしいと言われました

あと10日で令和市が終わることについて、今感じていることを書いてほしいと言われました。 令和市は、令和に選ばれた素晴らしい方が集まってくださるのです。令和市が正しい姿になっていくたびに、令和市は最高潮に陥ります。これは、令和市から日本の素晴らしい未来を奪っていくことになります。これから先の令和市はどうなるんだろうとか、令和市が終わるなら新しい時代の幕が開けることでしょう、新しい価値と時代を迎える人は未来に向かっているのかもしれない。 令和市、何をしても良い市。つまらない事

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