のらきゃっと

イムランド、ご案内致します!

 キャアキャアという黄色い悲鳴が、雲ひとつない青空に響く。  ガタゴトと愉快な乗り物が走る音、ガヤガヤと大勢の人々が笑う声も常に聞こえてきて、耳が休まる暇はまったくない。  城門をくぐり抜けたこちら側は、戦争で荒廃した地球とはまるで別世界。  夢と希望を詰め込んだ奇跡のテーマパーク、イムランドだ。 「こんな遊園地に、好きな女の子とデートで来られたなら、きっと楽しかったんだろうなぁ……」  笑顔が溢れる中で一人、僕はがっくりと肩を落とし、とぼとぼと歩く。  高いお金を出して

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ますきゃっと義体実験 後日談「Virtual Insanity と暮らす」

あの実験から 1 年が経った。 実験前は、自分がますきゃっと義体を使用する 1 週間の事だけを考えていたが、この実験の本番は元の姿に戻ってからだったと痛感している。 ここでは、実験レポートで語っていない部分と、実験後の自分に起こった事を書いて、ひとまずこのお祭りに区切りをつけたいと思う。 レポートが随筆のようになった経緯実験前、レポートには「何時、何処で、何をしたか」を箇条書きで並べれば良いだろうと考えていた。 だが、実際にますきゃっと義体を使ってから、その考えは無くな

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実験 7 日目 3/3「シュレーディンガーの きゃっと」

重なり合った状態で存在する物というと、何を思い浮かべるだろうか。 「生きてもいて、死んでもいる」 「愛しているし、憎んでいる」 「存在しているけど、何処にもいない」 「シュレーディンガーの猫」という有名な思考実験だが、2019 年に東大が光線を猫に見立ててこのパラドックスの解明に至ったらしい。 量子力学について全く専門外なので、下手な深堀りをして浅学を晒したくはないが、この実験で起こったとある「偶然」はどことなくこの思考実験を思い起こさせるような出来事だった。 2020

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ほんの僅かな“特別”を

「えっ!? のらきゃっとお姉様に、動画制作を依頼できる!?」  衝撃的な知らせを受けて、ますきゃっと学園の教室は騒然となった。  真面目なきゃっとも、クールなきゃっとも、全員がキャアキャアと声を上げてはしゃぎ、勢いで教室を破壊している。  戦闘用アンドロイドなだけあって、みんな元気だなぁ……と、その様子を横目で見ていたあたしは一人苦笑する。  もっとも、実はあたしもご多分に漏れず、無意識に尻尾を振り回し机を粉々にしていたのだが。 「ゴホン、みなさんお静かに! おーしーずー

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実験7日目2/3「地球が綺麗ですね」

黒曜石を思わせるような宙に、青い星が浮かんでいた。 この義体と「彼女」の故郷、月面の IMR 本拠地に自分は立っていた。 あと1時間で、自分は元の体に戻ることができる。 実験初日、下層の街で呆然と立ち尽くしていた自分は、夜空に浮かぶ月を眺めていた。そんなことが、途方もなく昔の事のように思えた。 同時に、あっという間だったような気もした。 どちらにせよ、この義体との1週間がやっと終わる。 遂に終わってしまう。 願ったり叶ったりだ。 名残惜しい。 清々する。 本当に良かったので

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実験7日目1/3「やっと見つけた可愛い自分」

自分を失った。 そう、思っていた。 誰がどう見ても可愛い、愛くるしい容姿をした量産型のらきゃっと、通称「ますきゃっと」の体になってしまった。 鏡を何度見ても、それは「ますきゃっと」であって、自分の姿ではないという認識が数日続いたが、変化を受け入れようという心境の変化が5日目あたりからあった。 しかし、鏡を見れば見るほどに、やはり自分自身が仮想世界で消え失せたのではないかという不安があった。 この1週間で、自分が自分であると言えるものがないかをずっと探していた。 「鏡は

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VR睡眠ライブ 史上初! バーチャル美少女達が8.5時間寝るだけの長時間配信!?

史上初!!! VR世界で眠る最新トレンド「VR睡眠」にVTuber・研究者を始めとした豪華バーチャル美少女5人が挑戦! 朝まで8.5時間バーチャル美少女が寝るだけの前代未聞のライブ配信 #VR睡眠ライブ ! 平均同時接続136人が一晩中美少女達の寝姿を監視する異常事態にっ!!? 企画の概要とみんなの感想をまとめました! ダイジェスト動画 配信アーカイブ (8.5時間ありますw) 「VR睡眠」とは?  VRヘッドマウントディスプレイを被ったままVR世界で複数のユーザー

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遥かな未来に祝福を

「おめでとうございます、のらきゃっとお姉さま!」  軍事施設には似つかわしくない、鈴を転がすような声が聞こえた。  振り向くと、銀の髪と青い瞳を持つ可憐な少女達が私を見つめている。  マスプロダクションタイプ・ノラキャット……縮めて、ますきゃっと。  私、のらきゃっとの姉妹機にあたる量産型アンドロイドだ。 「今日はお姉さまの誕生日ですよねっ!  あたし達の気持ち、受け取ってくださいっ!」  どーんと、山のように積み重ねられたプレゼントを渡される。  一つ、二つ、三つ……

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推しに世界を貢ぐ話

久しぶりにnoteを書こうとすると書き方覚えてないんですけど、この書き出しを考えるのに30分くらいかかってたりするんですけど、私がVRChatというVRSNSで電車と駅のワールドを作った経緯を書いてみようと思ったので書きます。 一番のきっかけになったのが私の推し、のらきゃっとさんがこのVRChat配信で山手線のワールドを訪れ、連結面に視聴者を押し込んだ19:15~21:10の間で発した「もう少し、狭い感じのする方が、私は好きだったりするんだけどな」という一言 推しが至近距

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キャット・バーサス・ベアー・アンダー・ザ・ムーンライト

「イヤーッ!」「イヤーッ!」 草木も眠るウシミツ・アワー、草木の生えぬ暗黒メガロポリスの路地裏で。 月光が作り出す二つの影が交差し、壮絶なるアンドロイドのイクサの火蓋が切られた。 「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」 銀色の髪と紅色の瞳を持つ少女が、漆黒のカーボンブレードを振るい果敢に攻め立てる。 その少女の名はノラキャット。月面の軍事企業イムラ・インダストリが製造した、戦闘用アンドロイドのファーストロット。 彼女のバストは豊満だ。 「グハハハハハ!! グハハハハハ

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