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NHK「最深日本研究」”バ美肉”研究者ミラに密着! のらきゃっと・あまちじょんこ・バーチャル美少女ねむ出演

NHKの新番組「最深日本研究〜外国人博士の目〜」で、スイスの人類学者ミラの密着ドキュメンタリーが2024年4月14日に放送されました。

ミラは、私バーチャル美少女ねむの共同研究者でもあり、VTuberやメタバースでバーチャルアバターの力により美少女の姿に変身する「バ美肉(ばびにく、バーチャル美少女受肉)」文化に着目した論文で学術賞を受賞、国連の国際会議でも発表するなど精力的に活動しています。番組では来日してフィールドワークを行うミラに密着。”バ美肉”VTuberである、のらきゃっと・あまちじょんこ・バーチャル美少女ねむ(私)に対して、自宅訪問・イベント参加・インタビュー取材などを行い、美少女になる人々の心理に迫りました。現在NHKではドラマ『VRおじさんの初恋』も放送されており、”バ美肉”カルチャーへの注目が改めて高まっています。

この記事では、番組のポイントとみなさんの感想を紹介します。

※番組はNHKプラスで4/21までNHKオンデマンドで4/28まで視聴可能です。ぜひご覧ください。
※4/20に出演者4名による「非公式アフタートーク」を配信しました。
※4/17追記:番組を紹介したニュース記事がはてなブックマーク「アニメとゲーム」カテゴリで1位になりました!
English version of this article is available here.


NHK新番組「最深日本研究〜外国人博士の目〜」

NHK新番組「最深日本研究〜外国人博士の目〜」

NHK新番組「最深日本研究〜外国人博士の目〜」は、サブカルから食まで、世界の注目を集める日本文化に着目。海外にいながら、日本人よりも日本の特定分野に詳しい研究者のフィールドワークに密着することで我々日本人も気づいていない日本の魅力を探るドキュメンタリー番組だ。

2024年4月14日に放送された第1回では「バ美肉」を研究するスイスの人類学者ミラの来日フィールドワークに密着。ナレーション音声は俳優の津田健次郎。

※出典:最深日本研究〜外国人博士の目〜 NHK
※注意:この番組は「最”深”日本研究」とあるように、ディープな日本文化に着目する外国人研究者を紹介するものです。”バ美肉”はVTuber・メタバース世界の多様な文化の一つに過ぎず、ミラとしても番組としてもそれが文化の全てだと主張する意図はありません。

”バ美肉”研究者ミラ

リュドミラ・ブレディキナ(通称:ミラ)は、マルタ大学博士課程在籍の人類学者だ。エスノグラフィー(フィールドワークを用いて対象の生活を観察する民俗学・文化人類学の研究手法)を通じて、男性の”kawaii”とバーチャルなジェンダー表現について研究している。2022年にはバ美肉と伝統的な日本の演劇に関する修士論文でジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル」を受賞。論文は翻訳され日本の雑誌『現代思想(青土社)』にも掲載された。

”バ美肉”研究者ミラ - 出典:NHK「最深日本研究」
アバター姿のミラ - 出典:NHK「最深日本研究」
歌舞伎や人形浄瑠璃などの伝統的な日本の演劇とバ美肉との関連性を指摘
- 出典:NHK「最深日本研究」

VTuberやメタバースが人類に与える影響を調査するため、2020年からは日本のVTuber・作家のバーチャル美少女ねむと研究ユニット「Nem x Mila(ねむみら)」を結成して活動しており、定期的に「ソーシャルVRライフスタイル調査」などのレポートを発表内閣府・総務省・文化庁など各種省庁でも参考資料として取り上げられている

2023年10月には、Nem x Milaとして国際連合の国際会議「インターネット・ガバナンス・フォーラム京都2023(IGF京都2023)」で講演を行った。岩波書店から7月に刊行予定のVTuber総合学術書『VTuber学(仮)』の執筆陣としても名を連ねている

ソーシャルVRライフスタイル調査2023(Nem x Mila) - 出典:NHK「最深日本研究」
”バ美肉”研究者ミラ - 出典:NHK「最深日本研究」

1. ミラ、最新メタバース体験施設を調査

この番組では6度目の調査来日で東京を訪れたミラに密着する。今回の目的はバ美肉VTuber達に直接取材を試みることだ。街を歩くと、目を引くのはやはり美少女キャラクター。私達にとっては当たり前の光景だが、ミラは日本文化にとって不可欠な存在なのだと指摘する。アニメや漫画の収集も、ミラにとっては立派な"研究活動"だ。

6度目の調査来日で東京を訪れたミラ - 出典:NHK「最深日本研究」
6度目の調査来日で東京を訪れたミラ - 出典:NHK「最深日本研究」

新宿のメタバース体験施設「スグバース」では最新のVR機器を使ったメタバースを調査した。花火を間近で体験するなど、現実ではできない様々な体験ができるメタバースの利点を指摘した。

ミラ、最新メタバース体験施設を調査 - 出典:NHK「最深日本研究」
ミラ、最新メタバース体験施設を調査 - 出典:NHK「最深日本研究」

2. あまちじょんこ:美少女を作り出す音声&モーション技術

機械を使わずに自らの超絶技巧で可愛い美少女ボイスを出す技術で知られるVTuber「あまちじょんこ」 ミラはその"中の人"である「じょんアニキ」の自宅を訪問。じょんアニキは、実際に存在するようなリアルな美少女の声を作り出す為に、楽器のように自由自在に声の"高さ"と"音色"を変化させる鍛え上げた技術の裏側を披露した。さらに、可愛い動きを表現するためのモーションアクターについても、他人からの目線を意識してキャラクターへの感情を演出する大切さを語った。

あまちじょんこ:美少女を作り出す音声&モーション技術 - 出典:NHK「最深日本研究」
あまちじょんこ:美少女を作り出す音声&モーション技術 - 出典:NHK「最深日本研究」
あまちじょんこ:美少女を作り出す音声&モーション技術 - 出典:NHK「最深日本研究」
あまちじょんこ:美少女を作り出す音声&モーション技術 - 出典:NHK「最深日本研究」

※参考:あまちじょんこ(VTuber)  


あまちじょんこ(VTuber)  

12年間にわたり5歳児として活動しており「完全合法ろりあにき」の異名をとる。メタバース内で「女声ボイスアドバイザー」として活躍し、データ解析による科学的トレーニングに基づく女声の教本「kawaiivoiceを目指す本」は3,000部超えの大ヒット。bilibili動画では登録者数12万人を突破。2023年4月にはTBS「ジロジロ有吉」の「バ美肉おじさん」特集に出演し、その女声技術で全国のお茶の間に衝撃を与えた。
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3. のらきゃっと:ファンの願いから生まれた存在

続いてミラは、人気VTuber「のらきゃっと」のプロデューサーである「ノラネコP」にインタビューを行った。ノラネコPは、ファンたちの"そうあってほしい"という願いによりキャラクターが生まれたと解説した。ノラネコPはのらきゃっとを娘のように感じており、その幸せを願うことで人脈も広がり、人生が豊かになったと語った。

のらきゃっと:ファンの願いから生まれた存在 - 出典:NHK「最深日本研究」
のらきゃっと:ファンの願いから生まれた存在 - 出典:NHK「最深日本研究」
のらきゃっと:ファンの願いから生まれた存在 - 出典:NHK「最深日本研究」
のらきゃっと:ファンの願いから生まれた存在 - 出典:NHK「最深日本研究」

※参考:のらきゃっと(VTuber) 

のらきゃっと(VTuber) 

個人で扱える技術をフル活用して活動している個人系VTuber。戦闘用アンドロイド。姿も声も仮想の存在であるが、キャラクター「のらきゃっと」として確立した存在となることを目標に、VTuberブーム最初期より活動している。声は音声合成(ボイスロイド)であり、誤認識による言い間違えから広がる予測不可能な独自のトークを持ちネタとしている。また可愛らしく魅惑的な動きを行う「kawaiiムーブ」の技術に定評がある。
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4. ミラ、バ美肉VTuberのリアルイベントに参加

ミラは新宿のカフェ & Bar「Function(ファンクション)」で友人のバ美肉VTuber「バーチャル美少女ねむ」が一日店長イベントを行うと聞き、ファンの一人としてリアルイベントに参加した。ミラはねむにリアル世界で直接会ってじっくり話したいと提案した。

ミラ、バ美肉VTuberのリアルイベントに参加 - 出典:NHK「最深日本研究」
ミラ、バ美肉VTuberのリアルイベントに参加 - 出典:NHK「最深日本研究」
ミラ、バ美肉VTuberのリアルイベントに参加 - 出典:NHK「最深日本研究」

バーチャル美少女ねむのオリジナル曲「メタバースデイ」「ファントムセンス」とメタバースの革命性を論じた著書『メタバース進化論(技術評論社)』も紹介された。

バーチャル美少女ねむ オリジナル曲「メタバースデイ」と著書『メタバース進化論(技術評論社)』 - 出典:NHK「最深日本研究」

※参考:バーチャル美少女ねむ(VTuber、作家)

バーチャル美少女ねむ(VTuber、作家)

黎明期のメタバースに生きる”原住民”にしてその可能性を伝えるメタバース文化エバンジェリスト。「バーチャルでなりたい自分になる」をテーマに2017年から美少女アイドルとして活動している自称・世界最古の個人系VTuber。著書『メタバース進化論(技術評論社)』「ITエンジニア本大賞2023」ビジネス書部門”大賞”を受賞国連「IGF京都2023」登壇MoguLive VTuber Award 2023では「今年最も輝いたVTuber」に選出された。
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5. バーチャル美少女ねむ:"kawaii"により人の本質を開放する

プライベートの時間もバーチャル美少女として過ごし、メタバースの専門書も出版するVTuber・作家「バーチャル美少女ねむ」 ミラはその"中の人"とリアル対談を行った。ねむは初めて美少女になったときに感じた恥ずかしさや罪悪感、そして制約から開放されて自由に自己表現できる美少女の可能性について語った。ねむにとって「美少女」とは"kawaii"という概念を具現化した存在あり、現実のしがらみをはぎとると多くの人の魂にありのままの本質である"kawaii"が眠っているのではないか、"kawaii"によりお互いの本質を認め合える社会が作れるのではないか、とした。

ねむとミラ、リアル世界で対面 - 出典:NHK「最深日本研究」
3Dプリントされたねむのフィギュア - 出典:NHK「最深日本研究」
バーチャル美少女ねむ:"kawaii"により人の本質を開放する - 出典:NHK「最深日本研究」
バーチャル美少女ねむ:"kawaii"により人の本質を開放する - 出典:NHK「最深日本研究」

結論:ミラ、"kawaii"の獲得による人間の開放の可能性

ミラは今回のフィールドワークから考える結論として、男性は美少女になり"kawaii"を獲得することで社会のストレスや男らしさの責任から開放されるのではないか、と日本文化から生まれた"kawaii"の可能性について語った。しかし今後もその結論にとらわれず、多くの人たちの声に耳を傾けて研究を続けていきたいと語った。

ミラ、"kawaii"の獲得による開放の可能性 - 出典:NHK「最深日本研究」
ミラ、"kawaii"の獲得による開放の可能性 - 出典:NHK「最深日本研究」
ミラ、"kawaii"の獲得による開放の可能性 - 出典:NHK「最深日本研究」
ミラ、"kawaii"の獲得による開放の可能性 - 出典:NHK「最深日本研究」

ナレーションは俳優の津田健次郎さん

出演者の感想

みんなの感想

4/28までオンデマンド配信中

番組はNHKプラスで4月21日まで、NHKオンデマンドで4月28日までインターネットで視聴可能だ。

NHKプラス(4月21日まで、契約者は無料):最深日本研究〜外国人博士の目~

NHKオンデマンド(4月28日まで、有料):最深日本研究~外国人博士の目~

4/20「非公式アフタートーク」配信決定

今回の出演メンバー4名による「アフタートーク」配信を4月20日にYouTubeで行うことが決定した。30分番組のため放送では短く編集されていたものの、実際のインタビュー収録ではそれぞれ2~3時間程喋っている。番組には収まりきらなかった”バ美肉”への想いなど、喋り足りない4名が時間無制限でトークを行う予定だ。※NHKとは関係のない非公式企画となる

出演者4名+番組ディレクター 東京ビデオセンター はまじさんで配信しました

おまけ:「ねほりんぱほりん」から4年。NHKと”バ美肉”の歴史

遡ること4年前、NHKで2020年1月8日に放送された「ねほりんぱほりん」の特集「バ美肉おじさん」で、当時まだ一般的でなかったVRやバ美肉の世界が大きく注目された。こちらでもバーチャル美少女ねむが出演しており、バ美肉を日本的な“見立て”の文化と捉える「美少女は枯山水」の言葉が話題となった。

NHK「ねほりんぱほりん」の特集「バ美肉おじさん」(出典:NHK
NHK「ねほりんぱほりん」の特集「バ美肉おじさん」(出典:NHK
NHK「ねほりんぱほりん」の特集「バ美肉おじさん」(出典:NHK

2024年4月1日からはNHKでドラマ『VRおじさんの初恋』の放送が開始された。こちらは暴力とも子による同名コミックを原作としたもので、バーチャル世界で美少女の姿となった中年サラリーマンの初恋を描くヒューマンドラマとなっている。こちらは創作の物語だが、今回のミラの密着ドキュメンタリーとあわせ、フィクションとノンフィクションの両面で”バ美肉”というカルチャーへの注目が改めて高まっていると言えるだろう。

NHKドラマ『VRおじさんの初恋』(出典:ファミ通.com
NHKドラマ『VRおじさんの初恋』(出典:ファミ通.com

4/17追記:はてなブックマーク「アニメとゲーム」カテゴリで1位に!

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