のらきゃ掌編×3 その3

 以前Twitterに投稿した習作に加筆修正したものの纏めです。

①:きゃっとむかしばなし 桃ソーデス

 むかしむかしあるところに、のらきゃっとが住んでいました。
 ある日のらきゃっとが川で洗濯をしていると、ドンブラデス、ドンブラデスと大きな桃が流れてきました。
 桃を見たのらきゃっとは目を輝かせて言いました。
「なんて美味しそうな桃でしょう、じゅるり」

 のらきゃっとが持ち帰った桃を包丁で切ろうとすると、中から声が聞こえてきました。
「ソーデス、ソーデス……」
 それはソーデスの鳴き声でした。
 不思議なことに、桃の中にはソーデスの赤ちゃんが入っていたのです。
「おやおや、なんということでしょう」
 鳴き声を聞いた、のらきゃっとは驚いて言いました。
「桃とソーデスが一度に味わえるなんて、とてもお得ですね!」

「―――ああ、美味しかった。ごちそうさまでした」
 のらきゃっとは、大きな桃も中に入っていたソーデスの赤ちゃんも、全部纏めてたいらげてしまいましたとさ。
 めでたし、めでたし。

②:きゃっとむかしばなし 浦島きゃっと

 むかしむかしあるところに、浦島きゃっとという美少女漁師がいました。
 ある日、浜辺を歩いていた浦島きゃっとは「べちーん、べちーん」というおかしな音を耳にしました。
 気になって音のした方を見てみると、数体のますきゃっとが海ソーデスを叩いて笑っているではありませんか。

「こらこら、そこのますきゃっと達」
 浦島きゃっとは海ソーデスを叩くますきゃっと達に声をかけました。
 ますきゃっと達は、いったい何を言われるのかとビクビクしています。
 すると浦島きゃっとは、
「そんな風にソーデスを叩いてはいけませんよ。いいですか―――」

「もっと腰を入れないと、ソーデスのたたきは美味しくなりませんからね」
 べちーーーーん! 浦島きゃっとがソーデスを叩くワザマエは、まさに職人芸でした。
 そして浦島きゃっととますきゃっと達は、美味しいソーデスのたたきを仲良く分け合って食べましたとさ。
 めでたし、めでたし。

③:きゃっとむかしばなし 一寸ソーデス

  むかしむかしあるところに、一寸ソーデスというとても小さなソーデスがいました。
 船の代わりにお椀に乗り川を下って都にやってきた一寸ソーデスは、イムラ屋ののらきゃっと姫に大層気に入られ、お仕えすることになりました。

~中略~

「大きくなあれ、大きくなあれ」
 のらきゃっと姫が打ち出の小槌で一寸ソーデスを叩くと、ソーデスはみるみるうちに大きくなりました。
「ソーデス、ソーデス!」
 LLサイズに成長したソーデスは大喜び。そんなソーデスを見て、のらきゃっと姫もニコリと笑います。
「あなたが大きくなってよかったです。だって―――」

「食べごたえがある方が、わたしも嬉しいですからね」
 のらきゃっと姫は、大きくなったソーデスをたらふく食べて、おはらいっぱいになりましたとさ。
 めでたし、めでたし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?