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のらべりV寄稿作品「ある冬の窓べりにて」 #N_V_Q #NVQ5感想

「赤」 「シルバー、水色、黄色」 「……また赤」  真っ白に覆われた街はずれ。夕暮れに染まる安い貸しアパートの立ち並ぶあたりを、家路を急ぐ自動車がまばらに通り過ぎていく。昼間まで降り続いた雪はすっかり道路を覆い隠し、走る車が雪のかけらを舞い上がらせている。そのひとつが風に乗って辿り着いた道路沿いの二階、風が吹けばカタカタと音を立てる窓の向こう。少女型アンドロイドが猫耳のような機械部品を銀の髪から覗かせ、眼下を横切る車の色をぽつりぽつりと呟いていた。物憂げな青い目で雪景色を眺

    • のらべりIV寄稿作品「夏の熱い日に」 #N_V_Q #NVQ4感想募集

      「イームラ イムラ イームラ傭兵!イームラ イムラ 高火力~~!」 幼い頃、ポケットラジオのチューニングをくるくる回して遊ぶのが好きだった。何Hzがどこの局か?なんてことは知らなかったが、サー……と鳴っているノイズの音が突然くっきりした人の声に変わる。あのどこかに繋がった感覚が好きだった。だけどあの日、たまたまラジオが拾った電波からこの妙竹林な広告が流れ、母の笑顔が強張っていく瞬間はきっと忘れることができないだろう。 小学校の校章が大きく刻まれたスクールバッグを小さな背中に

      • のらべりIII寄稿作品「ある冬の一日」 #N_V_Q #NVQ3感想募集 

        「イームラ イムラ イームラ傭兵!イームラ イムラ 高火力~~!」  まーたこの宣伝カーだ。戦線に近い町の大路に決まって現れては、妙に耳に残る爆音メロディで通行人を驚かせる派手なアドトラック。 「昼間っからあんなヘンテコな歌聞かされて士気が上がるもんなのかねぇ」 平和ボケした私の田舎にはなかった光景。派手なイラストの荷台が遠ざかる様子を歩きながら目で追っていたために、正面からやってきた背の高い男に気づかなかった。ぶつかる寸前とっさに体を引いたが、油に汚れた袖だけが避けきれず彼

        • のらべり2原稿「会:のらきゃっと」

          ※この文章は主に「現実へ」のお話になるのでメタなお話含みます。ごチュウ意ください。  本稿はC97にて頒布された合同誌「のら!ちゃん!べりべりきゅーと!2」に寄稿したものであり、掲載されたものと同一の文章です。 会:のらきゃっと 『のらきゃっとに会いたい』 そう願ったことはありませんか、ねずみさん。  2018年春、のらきゃっとの、そしてねずみさんの世界に大きな転機が訪れました。そう、新義体導入によるVRChat進出です。それまでローカル環境で配信を行なっていたのらき