知ってそうで知らない__1_

知ってるようで知らないでもちょっと知ってる『スタートアップ』用語辞典【新市場を切り拓け!編】

「スタートアップってかっこいい!なんかキラキラしてる感じがする!」
「時代は大企業よりスタートアップだぜ!」

そんな風に考えている方、ちょっと待ってください

本当にスタートアップについて、詳しくご存知でしょうか?

実は、起業をすればすべてが「スタートアップ」なのか、と言われるとそうではありません。

「スタートアップ」とは、新市場を創造するビジネスのこと。既存の市場で戦う「スモールビジネス」とは意味が大きく異なります。

今回は、そんなスタートアップが新市場を切り拓くまでに出会うであろう単語を、辞典形式でまとめてみました。

これを読めば、スタートアップが成功するまでに必要な知識がわかるようになっています。

また、わからない単語が出てきたら、目次のリンクをクリックしてください。すぐに用語を調べられるようになっています。

ぜひ、ご活用ください。

あ行

アイデア

物事の、中核となる考えのこと。誰もがすぐに「これはいい」と感じるアイデアは、すでに誰かが同じように取り組んでいる可能性がある。スタートアップの場合、大企業と同じアイデアで勝負しても勝機はほとんどない。

アイディエーション

顧客にヒアリングする前に、まずは自分たちなりに考え、ビジネスモデルの原型となる仮説を立てるまでの工程のこと。スタートアップの無駄撃ちを減らす重要なポイント

アセットライト世代

資産を最小限にして身軽な生き方を選ぶ世代のこと。時代の流れを表している。このような時代の流れを読むことは今後のスタートアップにとって、大きなヒントになる。

イノベーションカーブ

ある製品が一部の人に使われだして徐々に評判が高まり、大勢の人に使われるようになる過程を示す概念図。

インタラクティブモックアップ(ツールプロト)

実際の使い勝手までわかるプロトタイプのこと。

エレベーターピッチ

作ろうとしているプロダクトの「要点」を30秒程度で語ること。

か行

カスタマー・ジャーニー

顧客が日々体験している物語のこと。ペルソナが実際に取りそうな具体的な行動とその時の心情を書き出したもの。

カスタマーインタビュー

市場に投入した「製品」の意見を聞くインタビュー

課題

スタートアップが事業を作るうえで、一番最初に考えるべき視点。「世の中にどんな課題があるのか」から考え始める必要がある。課題を見つけるうえで、大切になるのが「高い専門性」「業界(現場)の知識」「市場変化に対する理解度」の3点である。

カンバンボード

壁に貼る大きな進捗管理表のようなもの。コミュニケーションが活発化し、検証のタイミングがわかるようになる。ボトルネックがわかるようになるメリットもある。

キャズム

従来にない画期的な製品やサービスが普及していく過程で、その普及を阻む溝のこと。

協業的イノベーション

既存の企業と組んで市場を変えること

クラウドファンディング

どんな仕上がりになるかわからない段階であっても期待を込めて、作り手を支援する仕組み。

さ行

スタートアップ 

新市場を創造するビジネス。スモールビジネスと同義ではない。
特徴として、

・Jカーブの成長曲線を描く
・不確実な環境の元で競争が行われる
・一気にスケールする
・VCやエンジェル投資家から資金を調達することが多い。
・上場やバイアウトによるキャピタルゲインによる、大規模なリターンが見込める。
・既存市場を再定義するような破壊的イノベーションを行う。

などがある。

スタートアップの成功要因

サム・アルトマン氏は「アイデア、プロダクト、チーム、エグゼキューション(実行)、タイミング」と語っている。この中でも「タイミング」は特に重要で、「Why now?(なぜ今?)」という質問に明確に応えられないのであれば、そのアイデアは再考の余地がある。

スタートアップワールドカップ

2017年から始まったフェノックス・ベンチャー・キャピタル主催の巨大ピッチイベント。

スプリント

事前にMVPごとの「学習目標」を明確にして市場に投入し、反応を見て学びを得るという1回のサイクルのこと。

スプリントキャンバス

1回のスプリントで何を学ぼうとしていて、結果はどうだったかを整理するためのもの

スモールビジネス 

既存市場を改良するビジネス。スタートアップと同義ではない。
特徴として、

・線形的な成長
・既に市場が存在することが証明されており、市場の変化が少ない市場環境でのビジネスである
・少数から徐々に増やしていくことでスケールしていく。
・資金の出し手は自己資金か銀行であることが多い。
・給料は安定的。
・既存市場をベースに持続的イノベーションを行う

などがある。

ソリューションインタビュー

「解決策」の意見を聞くことが目的のインタビュー。

た行

誰が聞いても良いアイデア

100人中100人が「いいね!」と言ってくれるアイデア。スタートアップには適さない。なぜなら同じことを考えている人が必ず存在するから。スタートアップが人と同じことをすると、消耗戦を招くことになり、失敗する確率が非常に高まる。

デューデリジェンス

DDとも。投資家が投資先候補の企業を評価すること。

は行

バーンレート

燃焼率。資金が無くなる速さ。会社を経営していくために1ヶ月いくらの資金が必要になるかという指標。

破壊的イノベーション

従来の製品の価値を破壊して新しい価値を生み出すこと。スタートアップの提供する製品は破壊的イノベーションの要素が必要になる。

パラダイムシフト

世間の暗黙の常識が変化すること。現代は、パラダイムシフトが急速に、かつ頻繁に起きるようになっている。

ピッチ

スタートアップが投資家などに対し、自分たちがどんな優れたアイデアを持ち、どれだけ成長の可能性があるのかを短時間でプレゼンすること。

ピポッド

大幅な軌道修正のこと。製品の機能改善やUX改善をしてきたにもかかわらず、なかなかPMF達成できる糸口が見つからない場合に起こる。

ファーストペンギン

天敵が多くいそうな海に陸地から最初に飛び込むペンギンのこと。1羽が飛び込むと、一斉に海に飛び込む様子から連想し、新たな市場に飛び込む起業家を表すことばとしてもつかわれる。

プランA

今の段階でベストと思われる仮説のこと

フリーミアム

基本機能が使える無料の製品をまず提供してファンとなる顧客を増やし、その後ですべての機能や追加機能を有料で地峡するビジネスモデル。

プロダクトインタビュー

「プロトタイプ(試作品)」の件を聞くためのインタビュー。

プロブレムインタビュー

「課題」に対する意見を聞くことが目的のインタビュー。

ペーパープロト

紙に手書きしただけのプロトタイプのこと

ペルソナ

自社の製品やサービスに最もよく適合しそうなユーザー像のこと。

や行

ユーザーストーリー

ある痛みを抱えるユーザーが、プロダクトによりその痛みを解消するときに実際に使う「機能の塊」のようなもの。

ユニコーン企業

時価総額10億ドル以上で未上場のスタートアップ

ら行

リーンキャンバス

スタートアップのビジネスモデルを可視化するツール。スタートアップにとって重要な顧客、課題、製品にフォーカスできるように設計されている。

レジリエンス

メンタルの回復力。起業家に求められる能力のひとつ。スタートアップはあまたの困難にさらされる。

ロイヤルティーループ

顧客と接点をもってから、その顧客が熱狂的なユーザーに変わっていく過程のこと

わ行

ワイヤーフレーム

専用ソフトを使って画面の構成要素をきれいにレイアウトしたプロトタイプのこと

アルファベット

AARRR指標(海賊指標)

顧客獲得から収益を生み出すまでの流れを5段階に分け、それぞれの段階のユーザー数を表した数値。Acquisition(獲得顧客数)、Activation(サインアップして、最初の体験に満足するユーザー数)、Retention(継続利用するユーザー数)、Referral(他のカスタマーに紹介したユーザー数)、Revenue(課金ユーザー数)の頭文字を指す。

Founder Probrem Fit

創業者本人と、その創業者が取り組んでいる課題との間に必然性が見いだせる状態のこと

KPI

重要業績指標

MVP

Minimum Viable Productの略称。仮説を試すための、最小限の機能を持つ製品のこと。あくまでもユーザーが感動するような、ライバルにない価値提案を実際に試せる製品で、なおかつ機能が最小限に絞られていることがポイント。

☆☆5種類のMVP☆☆

オーディエンス開発型MVP

将来的な顧客を抱えるコミュニティーに創業者自ら飛び込むことで、製品づくりと顧客育成を同時に行っていくスタイルで開発されるMVPのこと。

コンシェルジュMVP

創業者メンバー自ら、ホテルのコンシェルジュのように何でもこなすMVPのこと。

ツールMVP

検討しているサービスの目玉機能のひとつを単体のツールとして提供するMVP

動画MVP

サービス機能を紹介する動画を作って事前申し込みを受け付けるMVP

ピースミールMVP

アプリなどのMVPをゼロから作るのではなく。すでに存在する複数のプラットフォームを組み合わせて、あたかもひとつの製品のように動作させる手法のこと。

ランディングページMVP

たった一枚のランディングページをMVPとするもの。

PEST分析

マクロ環境を多角的に把握するためのフレームワーク。「PEST」は、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字をとったもの。この4領域の情報が、社会の大きな流れを作っている。

PMF

Product Market Fitの略称。顧客が熱狂的に欲しがるものを作れる状態のことを指す。

TAM

Total Addressable Marketの略称。日本語では対応可能市場と訳され、「想定ユーザー数×その人がその製品に年間に支払うであろう金額」で算出される。市場規模を推定するときに使われる。

UX

ユーザー体験のこと。いくら優れた機能を提供する製品でも、UXが悪ければ定着率はなかなか上がらない。

UXブループリント

プロトタイプの設計図のこと。ユーザーエクスペリエンスの青写真。

Why you?

なぜあなたが、それをするのか?というシンプルな問い。この問いにこそ、創業者の想いやビジョン、ミッションが隠されている。

Y Combinator

通称ワイコン。ベンチャーキャピタルとしてAirbnb、Dropboxなど約1900社に投資し、その時価総額は1000億ドルを超える。世界有数のインキュベーター。

(参考文献:田所雅之(2017)『起業の科学 スタートアップサイエンス』
日経BP社)

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