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「愛」があることを知っている。


私は、お父さんが、お母さんを愛していることを知っています。

私は、お父さんが、子供たちを愛していることを知っています。

ある人からすれば、それは当たり前のことかも知れません。

でも、私の家では、当たり前のことではなかったのです。


中学生くらいの頃、私は父がとても嫌いでした。
いつから嫌いになったのかわかりません。
そして、母から父の愚痴を聞いていた覚えがあります。

あるとき、母は私に言いました。
「はるちゃんはお父さんとお母さんに仲良くしてほしいのかもしれないけど、ムリなの。」
と。
そのとき私は答えました。
「仲良くしてほしいわけじゃない。」

あのときの私は、この一言しか言えなかったけど、
私が本当に言いたかったことは、
「お母さんが辛い思いしてまで仲良くしてほしいわけじゃない。笑っていて欲しいだけ。」
ってことだったと思います。

それから間も無くして、
色んなことが重なって、私は家出をしました。

母は、私が家出したことで父と話をしたときに、はじめて、「好きだ」と言われたそうです。
何十年も一緒にいて、付き合っていたときも、結婚してからも言われなかったその一言を、
その時初めて、言ってもらえたそうなのです。


そして私は、父の口から、
心を通わせることが難しくなった夫婦生活の中でも、その現状を受け入れて、自分1人家族から疎外される形になっても、家族のことが「好きだ」という気持ちは失わずにいたことを聞きました。

届かない、受け入れてもらえない間も、
そこには確かに愛があった。

私はそのことを知りました。


それから私は考えたのです。

私と弟は、
2人の関係がどんなときに生まれてきたのか分かりません。

でも、
2人の間に愛があったから私たちは生まれてきたのだと。

この話を思い出す度に、私は自分の命を強く感じます。



私は、自分の目に映るこの世界のことしか知りません。

だから、父と母が今実際に何を思ってるのかなんて知りません。

このブログを読んで、何を思うかも分かりません。

けれども、私が感じ、受け取った、この世界の愛を。
私にできる表現の形で、届けて、生きていきたいと思うのです。



あなたの命に、何かが届きますように。



望月遥菜

photo by 新谷隼人
(Facebook Instagram 写真集「生歩」)



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