環境整備の徹底⑤ ものを磨き込む
しばらく続いている「環境整備」について、引き続きお付き合いのほどお願いいたします。
環境整備は座学ではなく実践です。
正しい行動を実践することで正しい環境を得る、そしてその体験を通して正しい価値観を身につけていくことが目的です。
今回は、実践のひとつである「ものを磨くこと」について。
拠点において、この実践をする意味としましては、気づきは比較から生じるとこれまで述べてきましたことからも、事務所の本来の正しい姿を知っておくことが、事務所の乱れに気づくベースとなるからです。
荒れた環境に慣れた人は、どんどん気づかなくなっていきます。
なので、理想的なのは一日の終わりには机の上のものや足元に設置してあるゴミ箱の中身などは全てスッキリとさせて、それをデフォルトの状態として維持していくことです。
話が逸れましたので、ものを磨く話に戻しますね。
整理(要らないものを全て捨てること)をして、整頓(要るものの置き場所を決めること)する前であれば、事務所にある全てのものを動かせますので、フローリングタイプの床であれば全員で磨くことができます。
本当は床を磨く前に、天井や壁から汚れを落としていく必要があります。せっかく磨いた床をその後に汚したくはありませんから、環境整備の実践の順番としては「上から」と学んできました。
上方の汚れを全て落として、床に落ちたゴミを全て取り除いたら、ようやく床磨きです。
横並びに一直線になって、壁側からジリジリを後ろに下がりつつ磨いていきます。前進しながらだと、せっかく磨いたところを踏んで汚していっちゃいますからね。
床には洗剤をしばらく浸して、激落ちくんで新聞紙くらいの範囲を徹底的に磨きこんで、汚れが落ちたら乾いた雑巾で洗剤を拭きあげて、最後に水拭きで洗剤を拭っていきます。
床を乾かしたら、あとはワックスがけです。これも三回くらい重ねがけをしていくと天井の光を反射させて信じられないくらいピカピカに生まれ変わります。
その時に、「この状態をいつまでも続かせていかないと」と思えるのですよね。これもひとつの気づきだと思います。
また、集合型の環境整備の研修でなくても、当社では毎朝10分から15分くらい始業時間後に環境整備の時間を設けています。
この時間でも、同僚たちと仲良くおしゃべりをしながら表面の埃だけをフワッと拭き取っている人と、洗剤を使って新聞紙くらいの大きさのスペースを徹底的に磨き込んでいる人とでは、心構えに大きな差が生じていきます。
何度も申し上げているように、環境整備を実践する目的というのは、「自らの中に気づきを生むこと」ですから、実践した結果として磨いたところと磨いていないところの差が明確にならないと意味がないのですよね。
もっと言いますと、綺麗にすることが目的なわけではなくて、「まだ綺麗になっていないと気づくこと」が目的なのです。
皆さんがお忙しい中でお家の掃除をすることを考えてみてください。
忙しいし、それほど好きな掃除ではないですから、「まあこんなもんでいいか」という考えに基づいて行動をしていきます。
「まあこんなもんでいい」という行動ですよね。
そして、その行動の結果として、「まあこんなもんでいい」環境が生み出されるわけです。
考え方が行動となり、その行動の積み重ねが環境となる。
人生も環境のひとつです。
「こんなもんでいいか」という考え方に基づいた行動の積み重ねは、何につけても行動する根拠となり習慣となり、結果として「こんなもんでいい人生」に行きつきます。
ちょっと耳に痛い話ですよね。
ですから、毎朝たった10分・15分でしかありませんが、日々の環境整備の時間というのはとっても大切で、ここにどう向き合うかという姿勢や心構えというのは、結果として自分の考え方や在り方や生き方に向き合う姿勢と同じこととも言えるんですよね。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、以前にこんなことがありました。
部下と一緒に環境整備をしていたのですが、彼にはとても汚れた部品を磨くことを任せていて、手のひらに乗るくらいのその部品ひとつに数時間かけて磨き続けていました。
そして、数時間後に、結果的に大して汚れを落とせなかった部品を持って「こんな感じでいいですか?」と私に確認してきました。
数時間あったわけですから、本当に汚れを落とそうという意志をもってやり切って自らの中に悔いがなければ、それでいいかどうかの確認を他者に求める必要もないのですよね。
言い方が悪いですが、これが彼の仕事への向き合い方であり、お客様や部下など人への向き合い方と通じる姿勢や在り方なのだということです。
つまるところ、ものを磨くということは自身の心構えを磨くこと、結果として自らを磨くことにもつながるのだと思っています。
長くなってまいりましたので、また次回に続きます。
今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。
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