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もらったアドバイスを深堀りする

以前、このコラムにおいて中国の古くからの帝王学の書「貞観政要(じょうがんせいよう)」について触れました。この書には、「諫言してくれる部下」が最も大切な存在であり、「上司を諫める部下がいなければ、その組織は滅びる」と記されています。

そして、もちろん上司や同僚からの指摘やアドバイスも、今ある自己を否定して成長につなげていくにはとても大切な要素となります。

アドバイスというと表現が柔らかくなり過ぎる感がありますが、まあ指導ですよね。

社長になってしばらくしてから、一番怖い上司から指摘された言葉があります。

「お前はしばらく、動くな、話すな、本読むな」

おそらくはほとんどの人はこれを聞くと、いやいや動いた方がいいし、話した方がいいし、本なんてむしろ沢山読んだ方がいいでしょう、と思われることでしょう。

その当時の私は、何か問題があればそのたびにあっちへ行き、こっちへ行き、モグラ叩きのような動きを繰り返していました。

また、とにかく想いを伝えないといけないと、受け手の状況を鑑みずに一方的にこちらの主張を巻き散らしていました。

そして、本については、福岡から他の九州5県を担当していたこともあり、とにかく移動時間に読みまくっていたため、多い年だと年間250冊は読破していました。
なので、指導してきた上司と会うたびに、「動いていないな?」「はい」「よし」、「話していないな?」「はい」「よし」、「本は読んでいないな?」「はい」「よし」という不思議なやり取りをしており、そのやり取りを聞いた周囲の人間からは、何もしていないことを褒められるとはなんて羨ましい話なんだと思われていました。

私自身も、いったい何が「よし」なんだよと思っていましたし、今だから言いますと実際本については量は減らせど若干は読み続けておりました。

あれから少しは成長したのか、今あらためて上司に指摘された内容を振り返ってみると、その言葉の奥側には以下のような要素や想いを見出すことができます。

「動くな」 - 人を育てること。自分の代わりに動く部下たちの「機能と役割」を明確にすること。

「話すな」 - 相手の話を傾聴すること。相手への共感と相手の要求を知り、内発的動機の発動を促すこと。やる気を引き出すこと。

「本を読むな」 - インプットよりもアウトプットに重きをおくこと。行動に変えていくこと。自分の中にあるものを再構築して活かすこと。

そして、社長になりたての頃は大いに遊べと言われていたのですが、言われたとおりに遊び過ぎて、ある時をさかいに「遊ぶな」ということも別の師匠から指摘されたのを思い出しました。

こちらの言葉の奥側にはおそらく次のような意味があるのだと思っています。

「遊ぶな」 - ダムの法則と一緒。全方向に溢れる欲求を制限して、本当に実現したい方向のみに力を集中すること。自分に嘘をつかず、誤魔化さずに仕事に真摯に向き合うこと。

理解すれども、それらを全て実行するのはなかなか難しいことですが、今でもこれらの言葉は自分への戒めとして生き続けています。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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