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目的を明確にすることで得たい結果はついてくる

これまでも同じようなテーマを扱ってきましたが、今回も介護事業所のスタッフの定着率と心理的安全性の関係性について。

あいも変わらず採用が厳しい業界ですが、せっかく採用できたとしても、辞めてしまう人たちの流出を止められなければ、いつまで経ってもイタチごっこで人材不足の状態は変わりませんし終わりません。

ある程度の福利厚生が組織として整っていることを前提とすると、所属するスタッフさんたちにとってあと必要なのは居心地の良い職場環境であり、その環境を創り出す要因となるのはそこの所属長の人となりです。

家庭に置き換えて考えてみると分かりやすいかもですが、子供たちにとって居心地の良い家庭環境を整えるためには、親としてどのようなことを心がけて子供たちに向き合う必要があるのかということを考えなくてはなりません。

例えば夫婦の関係性が悪かったりその夫婦の親たちとの折り合いが悪くて、子供たちの前で罵り合ったり、互いの親族のことを悪し様に言ったり嫁姑のいざこざがあったりしていると、子供たちはそれらの言葉や親のとっている態度全てが自分に向けて発されたものと同様に受け止めます。

もしくは受け止めたと同様の傷を無意識に浴びせ続けさせられてしまいます。

もっと最悪なのが、親のマイナスの感情が直接にそのまま子供たちに向けられることです。

おそらく子供たちは、荒れ狂う暴風雨が去るのをただじっと我慢して待つのみでしょう。

ところが、大人であればその場に留まる必要はありませんから、居心地の悪い場所、不快な環境からはいつでも立ち去ることが可能となります。

それが人間関係が原因で立ち去るスタッフの要因です。

負の感情が直接自分に向けられているどうかだけではなくて、そもそも自分の居る環境に負の感情が渦巻いていること自体が問題であり要因なのです。

こちらも以前に別のところで触れましたが、子供の精神状態にとって何よりも大事なのは「親の情緒の安定」です。

「この子たちにとって快適な環境をいかにして用意するか」、またそのために自分自身は親としてどのような態度や姿勢をもって望むか、その想いが言葉遣いや表情や接し方に反映されて、その時に初めて子供たちは安心できるのだと思います。

ところが、もう一段階視点を引き上げた時に、この上長たちの心理的安全性を守っているのは誰かというと、更にその上の上長になります。

誰もがそうですが、上長である自分自身の情緒が安定しているのは、過度なプレッシャーに晒されることなく伸び伸びと働ける環境が用意されているからこそだと思います。

だからこそ、部下たちに優しく接するゆとりも生まれますし、実際に向き合う時間も割くことができます。

上長としてプレッシャーを与えてしまいがちなのが、計画に対して予定どおりに得たい結果が実績として得られていない場合です。

売上が未達。利益が未達。

そういう時にかけなくてはいけない言葉は、「どうするんだ」や「なんとかしろ」ではなくて、原点回帰して今の在り方や拠点の置かれた環境を見つめ直すための言葉です。

業績が良くないのは、単純にお客様に選ばれていないから。

選ばれていないのは、お客様が望まれるサービスの提供ができていないか、こちらの取り組み内容を上手く伝えられていないから。

「何のために」この仕事をしているのかを明確にしていなければ、目的に一致した成果を得るのは困難になります。

そして、お客様に得られた成果の価値を感じ取っていただいた結果として得られるものが売上であり利益なはずです。

ですから、必要なのは業績未達に対して無意味で過度なプレッシャーを与えることではなく、この仕事をする意味や目的、お客様にどうなって欲しいのか、そのために我々はどう在らないといけないのか、そこをもっともっと深掘りして行動レベルに反映させられるように具体的に落とし込むことが上長の仕事であり役割なのだと想っています。

最近読んだ本の中で、新保民八という人が下記のようなことを述べられていました。

正しきに依りて滅ぶる店あらば滅びてもよし。断じて滅びず。

笹井清範「店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる 倉本長治の商人学」

正しくあることだけが全てではないとは思いますが、少なくとも正しい考え方が前提にないと人の気持ちは動きませんし、結果として得たい成果が得られなければその組織は滅びの道を歩んで行くのだと思います。

上からの圧力や恐怖政治ではなく、安心できる環境や関係性の中で、生きた想いや言葉の共有をしていくことが何よりも成果に繋げていくための原動力になるのだと信じています。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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