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なんで辞めたのかは分かっている

まだまだそこまで数が多いわけではありませんが、ここ数年の間にスタッフが退職代行を使って突然退職しましたという報告を受けることが増えてきました。

そして、この退職代行を使って退職されたスタッフの所属していた営業所に確認をしてみると、返ってくる答えはほとんど同じで「なんで急に辞められたのか分からない」というもの。

ネットで退職代行業者を調べてみると、直ぐに何社もヒットします。

多くは2万円から3万円程度でこの辺りが相場なのでしょうか。

運営母体は弁護士事務所や労働組合が多いようです。

ただ、聞いた話では、特に直接お会いして依頼する必要もないため、その運営をしているのが本当に弁護士さんかどうかを確認する術もなく、中にはヤクザまがいの人たちがお小遣い稼ぎのために運営しているなんていうケースもあるようです。

いずれにせよ、電話やメール一本で気軽に頼めば、あとは業者が上司や会社に連絡を入れてくれて即日退職できるわけですから依頼者からしたらとても楽なサービスです。

なにせ数万円を振り込むだけで、心理的に負担のかかるような手続きすべてから解放されるのですから。

会社側への連絡についても、メールだけや電話だけ、中にはファックスだけなんてケースもあります。

連絡を受けた営業所側からすると、「一体何が起きたのか分からない」というところでしょうか。

ところが、ちょっと待ってください。

本当に「何も分からない」のでしょうか。

その兆候はどこにも無かったのでしょうか。

私の経験では、上長と部下など双方の関係性に壁があると、その壁がそのまま双方の認識の違いにも直結したりしていました。

分かりやすい例で言いますと、「せめて相談して欲しかった」と嘆く上司に対して、「何言っているの、ずっと相談していたじゃないですか」という部下がいるという状況ですよね。

部下の相談レベルと、それを受け止める上司の心構えのレベルに階層が出来てしまっており、そこで認識の違いという齟齬が生じます。

もっと言いますと、部下としてはかつては相談していたつもりだったのですが、人の話をまともに受け止めようとしない上司の態度や姿勢に愛想をつかして相談すること自体をあきらめてしまっていたとも言えます。

また、あきらめるという点では、日頃の上長の在り方を見ていてこの人に何かを言っても無駄だなと、そもそも相談する前の段階からあきらめてしまっていたなんていうケースもあることだと思います。

ある日突然自分の部下が退職代行業者を利用していなくなってしまったというような経験をしたことのある上司は、退職理由も知らされない状況に苦しむことになるでしょう。

「何も言わないまま消えてしまった変なスタッフだった」と相手に責任転嫁をするのは簡単ですが、この苦しみの発端は、そもそも当事者が居づらい環境にあったということに要因があると再認識してみると、日頃の自身の対応や営業所全体の雰囲気など、もっと何か出来ることがあったのではないかと次に活かせるのではないでしょうか。

辞める人の理由は明確です。

この営業所には、この会社には居たくないから、それだけです。

そして、今ある環境をより良く変えることが出来るのは、そこに残った私たちなのです。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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