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添削エッセイ

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文化・社会特殊講義という大学の講義では、毎回エッセイを提出し、教授に添削してもらいます。 先生からのアドバイスを元に、書き直したエッセイをまとめました。
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母の空気

母の空気

「雪奈、ただいま」

雪が降り、凍るような冷たい夜空の中、母は私をぎゅっと抱きしめる。
冷たい空気、冬の寒さを感じるたびに、私は母のことを思い出す。

共働きの家庭で育った私は、幼い頃から留守番をすることが多かった。
特別支援高等学校で教師をしている母は、残業が多く、帰宅するのはいつも22時を過ぎていた。

母は帰宅すると、一目散に私を抱きしめる。
外の冷たい空気が、部屋のぬくぬくとした空気と溶け

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声

偶然の中で生きている。
それは必然であって偶然ではないから。
偶然の中で生きている僕はいう。
月が綺麗ですねって。

この曲は、大好きな高校の友達が、私のために作った曲の一節だ。
とても厳しかった吹奏楽部を3年間共に生き抜いた仲間であり、卒業してからも遠出をしたり、ご飯を食べに行ったりする旧知の仲である。

私は彼の歌に何度も救われている。

大学2回生の春、人生最大の失恋をした。
ボロボロの私は

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永遠

永遠

浮気。二股。乗り換え。
こんな言葉はドラマの話だと思っていた。

ある夏、仲の良い友人だったMと付き合い始めた。
彼の純粋でまっすぐな所に惹かれ、私には無い行動力や発言力が好きだった。
思い出が増えるごとに、どんどん好きになっていった。

「俺、一生一緒って決めた人としか付き合わない」
「ずっと一緒にいようね」
こんな言葉を言うもんだから、当時の私は本当に永遠に一緒にいられるのだと信じていた。

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