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エッセイのようなもの

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エッセイと呼んで良いのだろうか?
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2023年3月の記事一覧

走れフリーランス主婦

走れフリーランス主婦

先週、事件が起きた。夫が夜に社外の方々との会食があるにもかかわらず、スウェットで会社に行ってしまったのだ。

朝、出勤した夫からLINEが届いた。「今日夕飯いらない。会食だったの忘れてた~服装やばい」。

わたしは衝撃を受ける。ふつう、社外の偉い人たちとの会食という緊張に緊張を重ねるようなシチュエーションが待っていれば、前日からもっとそわそわするものではないか。朝も迷わずスーツを着て、質問や話題を

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「平成」をいつまでたっても手放せずにいる。

「平成」をいつまでたっても手放せずにいる。

春だ。断捨離をしようと思っている。過去にも何度かしたことがある。けれど何度試みても、かつて使っていたガラケーを捨てることができない。充電器がないので、電源もつかないのに。手に持ったときの重みや開く感触が、なんだか思い出したいことも思い出したくないこともよみがえらせてくる。

電源を入れればおそらく、元彼とのメールとか、切ない着うたとか、夫と友達だったころのメールとか、無駄にポエミーな日記とか、今よ

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夫に政治家への転身をすすめられたフリーランス主婦。

夫に政治家への転身をすすめられたフリーランス主婦。

昨日、リビングでぽたぽた焼をかじりながらテレビのニュース番組を見ていたら、夫がわたしに妙なことを言ってきた。

「政治家になったら?」

先にお風呂入ったら?みたいなカジュアルなテンションで言われた。わかった!そうするね。ってなるかい。わたしが?政治家に?意味がわからない。人生の中で一度も選択肢に上がったことがない職業。

念のため夫に理由を聞くと、こう言われた。

「ひまがあるし、責任感と正義感

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わたしの大きなコンプレックスが生まれた日。

わたしの大きなコンプレックスが生まれた日。

数年ぶりにジーンズを買おうと思っている。まだしっくりくるものに出会えておらず買えていないけれど、ジーンズ選びで自分の足と向き合っていると、わたしのコンプレックスが生まれた日の記憶が呼び起こされてしまった。

秋になりたての、よく晴れた日。そのときわたしは中学生で、体育祭の練習をしていた。リレーの選手に選ばれたわたしは、とても張り切っていた。盛大に張り切って生きてきた人生序盤だったので、リレーの代表

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お金持ちだと勘違いされて頭を抱えるフリーランス主婦。

お金持ちだと勘違いされて頭を抱えるフリーランス主婦。

よい歯医者探しは、よい仕事探しと同じくらいむずかしいことなのではないだろうか。

数年前、引っ越しを機に歯医者さんを変えた。当時は不妊治療にお金をかなり費やしていた。年間100万円以上。とほほ。(我が家はごく一般的な家庭でぜんっぜんお金持ちじゃない。わたしは半額の肉に直進するタイプの節約主婦。)

不妊治療というのは、とんでもない金銭感覚のバグを引き起こす。

当たりが入っているかどうかわからない

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夫よ、これからも大いに忘れてくれ。

夫よ、これからも大いに忘れてくれ。

そうだ、酢豚を作ろうと思った。酢豚は結婚して同じ家で暮らしはじめたその夜に、わたしが作った思い出の料理。

しばらく作っていなかった。酢豚はめんどうな料理だとインプットされていたから。だけど今、わたしはひま。簡単なことをめんどうにしてしまおうキャンペーンを開催中の身。今だ。

スーパーで豚肉の見るからにおいしそうなやつと、ピーマン、玉ねぎ、にんじんを買って、ネットでレシピを調べて作った。つやっつや

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