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アドバンス・ド・蜜の味 22 (完結)

3ヶ月後、朝――。

MC Dragon自死
アドバンス・ド・蜜の味
無期限の活動停止へ

衝撃的なニュースが日本列島をかけめぐったのはあの日から1週間後のことだった。正直なぜ赤松龍之介が自ら死を選んだのか。その後スフィンたちがどうなったのか。本当に呪いは解除されたのか。実のところ何ひとつわかっちゃいない……。

なぜなら俺たちはテツさんがあらかじめ鍵を開けてくれたマンションへそれぞれ侵入して同時刻に祭壇を破壊しただけなのだから。その瞬間「呪いが解除されました」なんてアナウンスが脳内に流れたわけでもなく、真冬さんの体から黒い煙みたいなものがふわっと出ていったわけでもなく、何の手応えもないまま、しばらく日常を過ごしていただけなのだから……。

でも、俺たちはたしかに扶桑文書を解読し、スセリヒメを特定し、呪法陣の存在を突き止め、それを破壊した。俺たちにはその事実だけがあった。

コーヒーマシンのスイッチを入れトーストにパンを2切れ放り込む。俺はダイニングテーブルの椅子に座ってスマホニュースのチェックをはじめた。まあいつものことなのだが、まだ真冬さんは眠っている。正直これからはちゃんと起きてもらわないと困るんだけどなあ。ママになるんだし。

(了)


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18 19 20 21 22(エピローグ)

中村春吾『悶々日記④』



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