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パン職人の修造 101話〜149話 江川と修造シリーズ

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独立して江川と店を始める修造。パン職人として、経営者として、一家の主人として。頑張れ修造。
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#この経験に学べ

パン職人の修造 148 江川と修造シリーズ flowers in my heart

パン職人の修造 148 江川と修造シリーズ flowers in my heart

「こら、大地」

律子の実家が壊れたら一大事だ。

流石に大地を抱き上げて「やっちゃダメ」と叱ると足をジタバタさせて飛び降り、巌の所に走って行ったので「大地!」と律子が叱りつけた。

「元気でいいじゃないか、だいちゃんはエネルギーが有り余る程あるんだよ。まだ2歳なのにいい蹴りだったな!将来は格闘家になるかい?」巌は膝から背中によじ登る大地を見ながら言った。

修造は壁を調べてどうもないのでホッとし

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パン職人の修造 146 江川と修造シリーズflowers in my heart

パン職人の修造 146 江川と修造シリーズflowers in my heart

リーベンアンドブロートのテラスの花々は風に揺れて見ているだけで癒される。

「ここでゆっくりしててね」

修造が用事を済ませる為に工房に行ってる間に3人は選んだパンをテラス席に座り食べていた。

「美味しいねお父さんのお店のパン」

「本当にいい店ね、お客様もいい表情だわ」

確かに、テラスのテーブルに座っている人々は癒しの空間で寛いでいる様に見える。

「あ、大地」

大地はぴょんと席から飛び降

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パン職人の修造 145 江川と修造シリーズflowers in my heart

パン職人の修造 145 江川と修造シリーズflowers in my heart

「初めまして、藤丸パン横浜工場長大和田です」大和田は2人に挨拶した。

「どうもね、俺はパンロンドの柚木阿具利」

「リーベンアンドブロートの田所修造です」

「今藤岡に話は聞いたよ」

「そうなんですね、私も全然気が付かずお恥ずかしいです。いつの間にか木田や足打(あしうち)が裏切っていたとは恐ろしいです。そもそも木田がメールのやり取りをしていて先に全員の取り分の20%を振り込まれたそうなんです。

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パン職人の修造142 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造142 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

「買収ですわ、異物混入事件を起こした企業が回収の為に世間にその事を知らせなければならず、企業への不信感が生まれて株価が下がった所を買い占めて乗っ取るんですの」

「株主総会で解任議決がなされて経営者が解任させられるし従業員も生活の不安にさらされる」と大和田も言った。

それを聞いた小田達も「冗談じゃないよ!私達は誇りを持ってここで働いているんだよ、あんた達にしょうもない邪魔されてたまるかってんだよ

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パン職人の修造141 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

パン職人の修造141 江川と修造シリーズ prevent a crisis 杉本

倉庫で縛られていた杉本は誰かが鍵を開けている音を聞いて口を塞がれながら「ふがふが〜(助けて〜)」と騒いで足をバタバタしたが、押し込まれた2人を見てびっくりした」「ふがふがふが(藤岡さん)」

「杉本」口を塞いでいたガムテープを取ると「藤岡さん何で捕まってんですかあ?得意の一本背負いで投げ飛ばしてやれば良かったのに」と捲し立てた。

「スーツが苦手なんだよ、動きにくくて。それを言うならお前だって何捕

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パン職人の修造136 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造136 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

そして試合当日

大坂はタルテイーヌの食材を前にして園部、大坂、森岡や他の助手は自分のペアを組む選手が来るまで20人で待っていたが、どんどん脱落した選手の助手達ががっかりして帰っていく中で心細かった。

園部は黙って立ったままだったが食材の方をじっと見ているので「あ、何処に何があるのか覚えてるのかな?」と思い自分も順番に食材を見ていった。特にソースに使える物を見て組合せを考える「立花さんならどのソ

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パン職人の修造135 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造135 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

「観客の皆さん、テレビをご覧の皆さんこんばんは安藤良昌です。NNテレビが総力を挙げてお送りするパン職人頂上決定戦のお時間が始まりました!パン職人の皆さんには何時間も前から戦いを繰り広げて頂いておりましたが、その中から選ばれた3人のシェフと3人の助手の方々に並んで頂いています」

画面にはそれぞれの経歴と名前が流れた。

江川はそれを見ながら「これって誰が勝ち上がってくるかわからないのに20人と助手

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パン職人の修造134 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造134 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

「勝つのは俺だ」鷲羽は江川に向かって言った。

しかし江川の奴、細い体でよくあの生地を持ち上げられたな。基礎体力と体幹が大事なんだ、細い奴でも体幹が強ければ持ち上げられる。
「そういえば北国で育ったって言ってたな。やっぱ雪国の人って足腰が強いのか?江川」
「えっそうかな?わかんない」
「ふん」
ふんだって、相変わらずだな鷲羽君。

ところで残ったのは5人の中の誰なのか?それはそこに立ってる5人共が

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パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

分割を済ませた者は出口から出て行った。

皆ざわざわして分割を始める者が出てきた。

そんな中、じっと生地が倍の大きさになるのを待っていた。

「よし」やっと分割だ。

もはや半数が部屋から出ていた。

江川はケースから生地を出しフラットにした、そしてなるべく一発分割を心がける。

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パン職人の修造132 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造132 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

パン職人の修造 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses

北風が吹いてリーベンアンドブロートの駐車場の落ち葉がクルクルと舞っている。

パンを買いに来たお客さん達はいつもならテラスでパンを食べるのだが最近は店内の暖かい喫茶コーナーが満員だ。

開店当初は不慣れだったスタッフも今では無駄の無い動きをしている。

パン粉(瀬戸川愛莉)はパンの品出しを

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パン職人の修造131 江川と修造シリーズ 製パンアンドロイドと修造

パン職人の修造131 江川と修造シリーズ 製パンアンドロイドと修造

さて、製パンアンドロイドアンコンベンチナルβ750が世に出ることになった。

今までも製パン用のロボットはあったものの、とにかく故障が多くて困っていたがその原因の多くは粉の目詰まりによるものだ。その点β750は江川のしつこい要請により、ボディの周りを薄くて丈夫なシートでコーティングしてあるから目詰まりは防げる。

動きも滑らかになり、パン作りができるアンドロイドを平方は動画にとってあちこちに営業し

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パン職人の修造119 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造119 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

それを聞いていた立花が説明する。

「昇進や昇格試験の時に速さを競う所もあるのよ。包餡やドーナツとかパンの成形とか、どちらが早くて綺麗か。和鍵さん、何にする?あなたの得意な事で良いって」

こないだまで味方だった人達はもうとっくに辞めてしまっていない。和鍵の吹き込みのせいで職場の印象が悪くなったのだから。

和鍵は周りのものに助けを求めた。

「こんなの急に言われても出来っこないわよね。無茶言うわ

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パン職人の修造114 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造114 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

岡田は何枚かA4の紙を渡してきた。

「以前言っていた商品がなくなる件ですが、状態は変わっていません」

「うわ、トータルすると相当な金額だな。こんなにどうするんだろう」

「それで」岡田と中谷は顔を見合わせて頷いて「どうもお客さんじゃないんじゃないのかと」と言った。「レジ閉め後に数を数えて、試しに開店前に数えたら前夜と数が違うんです」

「えっ、てことは」修造は全員の顔を順に思い出していった。

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パン職人の修造113 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

パン職人の修造113 江川と修造シリーズ ロストポジション  トゲトゲする空間

「ぼくそんな事してないよ」

西森と大坂はその瞬間は見ていなかったが「そんなわけないだろう」
「絶対触ってないと、、、思うけどな」
と冷静に言っている。

立花は「その場所は狭い所なんだから今度からあなたも当たらないようにしなさいよ」と注意してきたので白栂は「セクハラ!」と捨てゼリフを江川に言ってまた作業に戻った。

江川は困って事務所にいた修造に相談した。

「僕触ってません」

「お前がそんな

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