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パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses


パン職人の修造133 江川と修造シリーズ パン職人NO,1決定戦 Shapen your five senses


分割を済ませた者は出口から出て行った。

皆ざわざわして分割を始める者が出てきた。

そんな中、じっと生地が倍の大きさになるのを待っていた。

「よし」やっと分割だ。

もはや半数が部屋から出ていた。

江川はケースから生地を出しフラットにした、そしてなるべく一発分割を心がける。

その時250gで10本分と頭の中で復唱するが「それは違うんだ」と思う。

この分割した生地をこのまま置いて行っていいのかどうかもわからないけどでも250gって書いてあるけど250gじゃないんだ。

「修造さんを信じて」出口から出た。

「また真っ暗だ」早くに出た者はみんなこの暗い所で立って待っていたのか。

「まだかな」
「これで終わりなの?」

狭い所で立っていると残りの者が1人2人と出て来て、20人揃ったところで後ろのドアが閉まった。

最後に入って来た男の声で「もう審査が始まってるよ、何人かの審査員が一人分ずつ計量していってる」と言っている。そうだ!やはり重さが重要なんだ、そう思った矢先に新たな電光掲示板が光った。

「番号だ」
「合格者の番号だ」

「俺何番だったっけ」など口々に聞こえる。
「18番だ」江川は自分の番号があったのでピリッと緊張した。

電光掲示板の下のドアが開いた。ここは合格者だけが入る感じなのか。

さっきと同じぐらいの大きさの部屋には台が10台並べられている。

「あっ」台の上にはもう出来上がった生地が並べられている。

「これは?」またしても部屋の奥にある電光掲示板を一斉に見た。

生地を同じ重さで100gに分割、できた者から出る

「生地を100gに?」きょろきょろした「また秤が無い!」

台の上には生地と手ごなとスケッパー、そして丸めた生地を入れるパン箱。

江川は分割してみて大体100gを手に乗せてみた。

「こうなりゃ第6感とやらでやるしかない」

できた者から先にと言う事は、他の者が分割し終えるより先にここから出なくちゃ。

とはいえ毎日やっていても中々出来るもんじゃ無い。

それにこれって100gに分割して大きかったり小さかったりしたら最後には他の人と数が合わなくなるんじゃないかしら。

製パンアンドロイドなら見ただけで全体の大きさ、持っただけで重さが分かるのに。

でたらめやって早く出ても意味がない。

とにかく100gの目安を自分で決めてその通りにしなくちゃ。

江川は生地を同じ大きさに横にカットしていき帯のようにした。

いつも100gを分割して丸めた時7センチぐらいになる、丸める前はそれより大きいんだから「いつもの感じを思い出しながら」江川はそう決めてスケッパーで生地を分けた。

隣の台にいる鷲羽は凄い速さで分割している。

だが他の選手を気にしている余裕はない「慎重に速く」と自分に言い聞かせる。

最後の列の分割中


あ、これ全部で100個になるのかな、目算では98個だ、2つ足らないや。

でも100個って引っかけかも知れない。

江川は迷った。

でも自分で100gと決めて分割した結果98個だったんだからこれでいいのかも。

そう思って江川は生地を丸めて箱に入れ、蓋をして急いで出た。

「また真っ暗だ」その声を聞いて鷲羽が声をかけて来た。

「江川お前何個?」

「98だったんだ、100個だったのかも」

「そうか、迷うな」

ってことは鷲羽君も98だったのかな。

だとしたらホッとするな。

後ろからぞろぞろと残りの者が出てきた。

「俺は100個」

「私は110個」などとバラバラの数を皆口々に言っている。

さっきと同じぐらい待った。

「きっと今頃集計してるんだろうな」

僕どうなるのかな、修造さんは今何してるんだろう。

その時「あっ」今度は電光掲示板に5つ番号がでた。

「18がある!」そして次の扉が開く。

「まだあるの?」と誰かの声がするが江川は急いで次の場所に行った、鷲羽が走って行ったからだ。

早く行って次のお題を確認したい。

5人が次の場所にたどり着いた、そこに置かれていた物は。

「あっ」

台が5つある、その横には各々大きなミキサーボールに生地が大量に入っているものが置かれている。

電光掲示板が光った

体力を使って3分以内にここを出よ。

文字が出た後同じ掲示板がタイマーに変わり、2:59から減って行く

「えっ僕こんなの3分以内に持てないよ」

その瞬間江川の脳裏に※3分間のダンボール面接の事が浮かんだ。

あの時も3分だったんだ、あの時修造さんは僕の事を現場処理能力のある優秀な奴って言ってくれたんだ。

江川は生地に食らいついた、だが重くて1回では無理だ。

少しづつカットして移していけばいけるがそれだと時間がかかる。

そうだ!

江川は生地の下に手を入れてグッと持ち上げた。

そうすると生地がパッとミキサーボールから離れて持ち上がる。

それを生地が下がる前に勢いよくドオンと入れた。

「これをあと4回!」

ブザーが鳴りだした。

江川は同じ要領で生地を取り出した。

あと1分!

江川は最後の生地を勢いよく入れてその時足首を捻ったがそのままの勢いで部屋からまろび出た。

「いたたた」

また真っ暗な空間で、江川の声を聞いて早くにそこに立っていた鷲羽が「転んだのか」と聞いてきた。

鷲羽は絶対に修造の出題に食らいついてくる江川に「お前は相変わらずだな」と言ってきたが以前の様に悪意はない、つい言ってしまうのだ、そしてまた負ける気がするがその気持ちを払拭する。


鷲羽は背筋を伸ばして深呼吸をした。

「お前には負けないからな」


つづく



お話に出てきた3分間面接はnoteに書いた初めてのお話でもあります。初めての面接は3話あります。



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