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散文の仲間

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ジブラルタル峻が綴る、理性や科学の外側のテクスト。
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『勉強嫌いの僕がわずか100日でオコポンソン語検定一級に合格した話』|有料記事風無料記事(創作)

『勉強嫌いの僕がわずか100日でオコポンソン語検定一級に合格した話』|有料記事風無料記事(創作)

こんにちは! サミナキ・シロウ(爆笑応援塾・副塾長)です。

今回の記事は、オコポンソン語をマスターしたいあなたのための記事です。

勉強嫌いの僕でも出来た、オコポンソン語の速習術・体得術を公開しちゃいます。

オコポンソン語とは

この記事を読んで下さるあなたならもうご存じだとは思いますが念のため。
西ナノピコ島最東端の国、オコポンソン共和国。そこで話されている言語です。

話者は全世界で800

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「具体的な抽象画」(現代詩)

「具体的な抽象画」(現代詩)

 しずかちゃんにさんづけで呼ばれたい、と人間の主人公は黄色い方の猫型ロボットに懇願します。

▲展開▼

 その陸橋はスピンオフドラマによく使われています。なぜならば、ちょうどいい仕上がりだからです。

 モンシロチョウをビート板に乗せます。防水加工はバッチリです。
 新人のエビフライはスライダーのおばけに激怒しつつ、ある意味では、欲情していました。
 張り裂けそうなムルロア環礁に導火線を付けて、

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SANAGARAロックフェスレポ(創作:1261文字)

SANAGARAロックフェスレポ(創作:1261文字)

スポーツライターのカムチャツカ朱海です。最近はなぜか音楽ライブ関連のお仕事をよく頂きます。駆け出しのスポーツライターになぜこのようなオファーが来るのか分かりませんが、私としてはありがたい限りです。

さて『SANAGARAロックフェスティバル2024』行ってきましたよ。仕事を忘れて楽しんできちゃいました!

オープニングアクトは昨年12月に『月餅’s(ゲッペイズ)』から改名した『隙間タイル』です。

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アオイの行く末とノートルダム大聖堂

アオイの行く末とノートルダム大聖堂

誰もルールを知らない球技に勤しむ男女七人夏物語は、突然幕切れします。
駅の改札口で散開したあと、アオイ(もはや性別はありません)は自然にかえります。自然に。
それは何事もないかのように帰ったというよりもむしろ、大地に還ることにバトンを渡します。

テフロン加工を施された、ミシンのボディは飛べないロボットの歩行移動を連想させます。天秤にかけられたウマとロバが釣り合う場合のムードを化学工場で蒸留し、商

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木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから

木漏れ日をキャラメルマキアートに溶かしてから、ダッキングでかわします。それはユーラシア大陸の幻聴によく似た少年合唱団のララバイでした。更に言えば、ホットドッグの犠打であり、麦わら帽子の犠牲フライでした。

針に糸を通すように、新宿歌舞伎町を練り歩きます。まるでカナブンの求愛行為だな、それは黒い伝書鳩からのメッセージでしたが、冷めたピザはそっちのけで、地下鉄を目指しました。

どこへ続くのか不明のエ

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ピンクマカロンと濾過

ピンクマカロンと濾過

息の荒いピンクマカロンを撫で回していたところまでは覚えているのですが……
彼は眠い目を擦りつつ喋り続けます。

もうずっと前に長靴を克服していたのでデリダの声を聴くことができます。

テッポウウオに選挙権を与えても、麻婆春雨を炒めようとはしません。それは旨味のあしたを決めるのがオセロの角に置かれた球体関節人形の吐息であることを巡るゴシップでした。

アップリケスタイルと呼ばれる決意は森のくまさんに

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存在しない小説の読書感想文:創作

存在しない小説の読書感想文:創作

『アンダースローガールとパンナコッタの決意』(鶏冠とんび)
※本記事はネタバレを含みます。

 高校2年の夏に『ペンネの島とミトコン・ドリア味の嘘』を読んで以来の鶏冠体験でした。
 本書『アンダースロー』は、『ペンネ』よりも読みやすかったと思うのですが、それは私の成長なのか、本作が単に平易なだけなのかは分かりません。
 完全に文系人間の私。数学的な用語を出されると迷路にはまってしまいます。ところが

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小説:普通日記 #3

小説:普通日記 #3

 高校時代の友人、暮内くんに誘われて、カヌレ観戦に行ってきました。

 カヌレ観戦については後ほどにして、まず、暮内くんについて語らせてください。
 彼は会うたびに名前が変わります。わたしたちが彼に名前を与えるからです。それはあだ名や呼び名ではなく本質的な意味での名前です。XとYが織り成す座標ではなく、染色体レベルのゲノム編集です。もう少し補足すると、絹豆腐に見せかけた木綿豆腐であり、ポテトチップ

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小説:普通日記 #2

小説:普通日記 #2

どんぐりアーティスト、ミツマメ・レイさんのお店『まとまりのないレモネード』に行ってきました。生暖駅西口ビルの地下2階にお店を構えていらっしゃいます。そうです、そうです。麺や『もののみごとに』の隣ですね。あそこの「マサララーメン(五)」は格別です。しかし、(五)って何なのでしょうか。あ、この話はまた別の機会に。

レイさんは、元々両生類として暮らしていたわけですが(決定的な意味ではない)、この度爬虫

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現代詩『テーマ』

現代詩『テーマ』

夏のイントロをシクラメンして、真夜中の季語を定めます。
それは時曜日の日課です。

彼女はテレビを消しました。
その通りです。テレビを物理的に消したのです。

すると、平方根が無数に飛び交う砂浜で、子供たちが熱の束を掴みながらはしゃぐサウンドスケープが立ち現れるではないですか。
そこにアキアカネが駆け付けます。ポケットにオニヤンマへの不等号的な手紙を隠していますが、それはラブレターを徹底的に微分し

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ゴルゴンゾーラは装備できません

ゴルゴンゾーラは装備できません

虹猫学園高校ラクロス部のマネージャー、ミヤノクルミは図書館である本を手に取り、気になるところに目を走らせていた。

持つ、という言葉に意識が及んだ。フィンランド人留学生へルミの言葉を思い出す。

所有の概念そのものが日本人と違うのかなあ。

それにしても【黄色いユニコーン】って何だろう? そういう料理のメニュー名?
主人公のお兄さん、亡くなったみたいだけど、何があったんだろう?

それにこの『ゴル

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線を引く:歌詞

線を引く:歌詞

クレヨン握って殴った線
万年筆で滑らす線
音の階段五つの線
こころに届く声の線

いつか例えば地球が滅んでも
いつか例えば命が終わっても
引かれた線でつながっていた
惹かれた線のカタルシス

国と国とを隔てる線
昨日と今日の変更線
彼らと我らを画す線
自分をせばめる消したい線

いつか例えば地球が滅んでも
いつか例えば命が終わっても
引かれた線でつながっていた
惹かれた線のカタルシス

「時の線」

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創作:存在しない本の感想文

創作:存在しない本の感想文

 エトケン・ガリダール(1901-1979)と言えば『全体化と極限性』のほうが有名かも知れません。彼の文学的な言葉づかいは本書でも際立っていました。ガリダール哲学は積極的に異化あるいは矛盾律を採用します。それが嫌な人はきっとこの人の著作を読まないのでしょう。「カンガルーの群れがいつも跳ねているわけではないのと同じです」(本文954ページ参照)。

 開き直るわけではないですが、理解できない箇所のほ

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旅から戻らないドラゴンの赤ちゃん、または「待つ」こと

旅から戻らないドラゴンの赤ちゃん、または「待つ」こと

 旅から戻らないドラゴンの赤ちゃん。間違って世界のエントランスを出入りする消されることのない消しゴムは、唐揚げではないと知りながら待ちます。

 今大切なのは「待つ」ことです。この動詞についてやや細やかに考えます。「待つ」とは一般に何かを待つことになります。それは受動的な動作でしょうか? あるいは具体的行為を持たない精神的営為でしょうか?

 いいえ。それは違います。待つとは、予め手を打つことであ

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