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我が読書迷走微録

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迷走ばかりの我が読書遍歴を微文で紹介する記録。
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2021年1月の記事一覧

「超訳ニーチェの言葉」フリードリヒ・ニーチェ

哲学は連綿と続く歴史の堆積ゆえに、哲学者ニーチェは難解であるが、人生論者ニーチェは精神を熱くする。狂人による至極の箴言は人生の背中を押す書。

「眠れる美女」川端康成

日本初のノーベル文学賞受賞作家による淫靡と退廃の世界は、その本質の一部を垣間見る。
老いてゆく中で芽生える人間の情念とは何か?
それは老いていかなければ辿り着くことはできないのか?

「萩原朔太郎詩集」三好達治(選)

少年時代に我が詩情を覚醒させた日本近代詩の巨人。とりわけ「旅上」は、フランスへの静謐とした熱望が湧き上がる。が、コロナ禍のフランスはなお遠し。

「嫌われる勇気」アルフレッド・アドラー

フロイト、ユングに並ぶ3大心理学者の1人。
学術的心理学むしろ人生論的アプローチの内容ゆえに、広汎な解釈が可能。だからこそ本著は読む勇気を以って挑むべし。

「革命のファンファーレ」西野亮廣

芸能界の革命家が放つお金と広告の新たなスキーム。遅ればせながらにして読む。
その本領は、新たなスキームを生み出す努力の賜物だ。

「死者の奢り・飼育」大江健三郎

文学エリートによるフランス文学臭を漂わせた、ノーベル文学賞受賞者の若き日の作品群。
コロナ禍によって世界中に死臭が蔓延する時、生の意味を問いただすために再読する価値がある。 #大江健三郎 #死者の奢り #ノーベル文学賞 #読書 #小説

「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」マックス・ヴェーバー

カール・マルクスかマックス・ヴェーバーか?
揺れ動いた若きモラトリアム時代に乱読した中の一冊。キリスト教的禁欲と近代資本主義、倫理と精神の相関性をえぐる名著。

「天才の心理学」エルンスト・クレッチュマー

読書体験が深まるほどに天才の謎が渦巻く。
その存在やカテゴリーを、精神医学的アプローチで分析した稀有の書。
天才とは、「人類中の稀有にして、極端なる変種」と断じていることだけは理解できる。

「魔の山」トーマス・マン

ドイツ5大教養小説の中の1冊。
我が小説読書遍歴の中でも、屈指の傑作と断言できる長編小説。
コロナ禍中における自由と独裁、個と全体は現代をなぞる。

「ノマドライフ」本田直之

コロナ以前における遊牧民的ライフスタイルの伝道書。我が理想の生き方であったはずが、コロナ禍中では聖書になぞれば、もはや旧約の世界になってしまうのか…

『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』/廣津留すみれ

大分県の県立高校から、世界最高峰の大学そして、音楽の名門校をともに首席で卒業したという天才による独学術。
この書を読み独学法を模倣すれば、人生の半分を過ぎた者にも一筋の光明があることを信じて…

「魂の退社」稲垣えみ子

2016年出版、朝日新聞編集委員というエリートが退社するまでの経緯をまとめた書き下ろし。
自虐的な消費資本主義を軽やかな文体で綴る。
早期退職をきっかけにした、本質的な豊かさとは何かを問いただす啓発書。

「異邦人」アルベール・カミュ

1942年に発表された衝撃的なフランス不条理文学の金字塔。
若かりし頃に刻まれた強烈な読後体験は脳裡から離れようとしない。
それをきっかけに思想、哲学、宗教まで読書を広汎にさせた我が原点。

「ぜんぶ、すてれば」中野善壽

2020年、倉田倉庫元CEOによる刺激的な禅的人生論。
ビジネスではなく生き方にフォーカスした行動力とミニマリズムに満ちた羨望の書。
タイトルに導かれて一読。
その書は、風のように生きるための我が指標だ。