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売上と本気で向き合った2時間(自己紹介73)

コンビニの夜勤を始めてみて、色々な事が見えてきました。


人間には色々なタイプがいて、必ずしも働いて競争しないと生きていけないという世界ではない。問題というのは、基本的に「想定外」の事で、想定外の対処法は、適応するためのマインドを鍛えるしかない。


アンテナさえ高くしていれば、特別な場所に行かなくても、同じくらい情報を吸収する事が出来る。


上記の3つが分かっただけでも、十分な収穫だったのでした。


夜勤の仕事は斬新でした。見た事ない世界が永遠に続いている感じがしました。この世界の体験が、僕の社会人生活に活きたことは間違いありません。


4針縫った大けがも含め、僕はそれなりに楽しい夜勤ライフを送っていたのでした。


今日は、そんな夜勤生活の中で、頑張って手に入れた成果についてお話しします。


今年の3月で30歳になりました!この記事は、これまでのハードモードな人生を振り返り、そこから学び、これからの人生を素敵なものにしていく企画です。


僕の自己紹介・自分史「ちょうどいいハンデだ」はコチラから!

今は、そんなことないのかな。そもそも、夜勤という概念がなくなってきているのかもしれませんが、僕が大学2年生だった当時は、どこのコンビニも24時間営業が当たり前でした。


僕が働かせてもらっていたコンビニは、割とお客さんが来るお店で、まぁまぁ儲かっていた気がします。コンビニは1にも2にも立地とネームバリューです。もちろん、小さな要因は沢山ありますが、基本はこの2つが、売上を決めてくれます。


僕が働かせてもらっていたコンビニは、かなり有利な立地だったし、ネームバリューもありました。その上で、スタッフも集まりやすかったみたいで、日勤と夕勤で、人が不足するみたいな事態はほとんど起こりませんでした。


夜勤については例外で、ほとんど人の入れ替わりがありません。仕事を辞めることが無いのです。


実際、僕が働いていたコンビニの夜勤は、僕を含めて6人だけ。そのうち4人は、5年以上、そのコンビニで夜勤として働いています。社員さんよりも、社歴が長いなんて当たり前でした。


僕がこのコンビニの夜勤に潜り込めたのは、売上が高かったからです。夜になっても、それなりにお客さんが来ます。お客さんが来れば、納品の数も増えるし、接客のレベルも落とせない。だから、必然的に人が必要になるのです。僕は、拡大のタイミングで、うまいことこのお店に入り込めたのでした。


1つのお店で長くやたらいていれば、力を抜いていい部分とやらなければいけない部分の区別はつきます。その中で、やらなければいけない部分を、どうすれば短時間で終わらせることができるのかを突き詰めていくと、それは仕組みになっていきます。


僕は、仕組みが出来上がった後に入ったバイトでした。その恩恵をフルに受ける事で、ほとんど働かずに自由な時間を過ごせる。それが、この夜勤の仕事における最大のメリットでした。


今では考えられませんが、22時から7時までの仕事で、ちゃんと働いていたのは恐らく3時間半程度です。来ると言っても、夜中のお客さんの数は少ないですし、納品以外の仕事はほぼ無いので、スタッフルームでダラダラするのが通例でした。


廃棄もよく持ち帰ったし、新商品が出ると、誰よりも早く口にしてレビューを書いていました。たまーにセールで、魔法のチケット(商品の無料引換券)が配られることがあるのですが、これもこっそり持って帰っていました。もう時効なので許してくださいね(笑)


僕は、かなりやりたい放題やっていたと思います。


この夜中の時間を使って「書き物の仕事」や「資料作り」をします。時給をもらいながら、お金稼ぎのためのタスクをこなす生活を送るわけです。


特に、新商品を誰よりも早く口にして、そのレビューをブログに書くと「結構なアフィリエイト」がもらえました。これ、当時は相当儲かっていて、固定のファンがついているくらいのサイトになっていました。


思えば、この頃に「副業」「効率よく稼ぐ」「楽しみながら稼ぐ」というマインドが出来上がったような気がします。


僕は、一生懸命時間を切り売りする仕事よりも、システムや仕組みに稼いでもらった方が、実は効率が良い事に気づき始めるのです。


とまぁ、ここまで書いたように、基本的に僕は楽をしていました。これだけ、恵まれた環境で働いた記憶は、後にも先にもここだけです。


当時の僕は、この状況に対して「安心」と「不安」の両方を抱えていたと思います。


「めっちゃ楽だー」「ずっとここにいたいー」という安らぎにも似た気持ちと、本当にこのままでいいのだろうかという不安めいた気持ちが混在していたのです。


労働に対する考え方に変化はありました。でもそれは、働くのってかったるいよね・ばからしいよねというものではなく、効率よく仕組みを使って働く方が効果的だよねという変化です。


僕、多分ですが、根はまじめなのだと思います。働いて、自分で道を切り開いていくのが好きですし、それに応じて成果や実績が出る快感も知っていました。この先の人生を考えると、ここでダラダラしているのが果たして本当にいい事なのか?


少しだけ違和感と疑問があったのだと思います。


とはいえ、この生活はすごく楽しいものでした。


実際、何もしていない時間にお金が発生していて、その何もしていない時間で「スキルアップしながら、お金を稼げている」わけです。これほど恵まれた環境は、この先なかなか、お目にかかれないかもしれません。


そう思うと、よし!出よう!とはならなかったのです(笑)


脚立が壊れて4針縫ってから、1か月が経過しました。僕は、安心感と不安感に葛藤しながらも、まだまだバリバリコンビニバイトを楽しんでいました。


季節は秋。10月の事です。


店長から「おでんセールに備えなさい」という大号令がかかりました。


おでんセール。


これ聞くと、どこのコンビニかバレちゃうかもしれませんね(笑)


・・・まぁ、いいか(笑)


このコンビニは、10月の初週、5日間限定で「おでんが全品70円」になります。市内の同コンビニでは、このおでんの個数を競い合うちょっとしたお祭りみたいなものがありました。


僕は、せっかくなら一番を狙いたいよねと思っていました。


夜勤は楽だけど、言い換えれば、退屈という事でもあります。毎週毎週、同じことを繰り返し、空き時間に小銭を稼ぐ日々。こうしたコンビニならではのイベントは、そんな退屈を払拭するには、ぴったりなイベントだと思ったのです。


僕は、どうすれば一番を獲れるのかと考えました。


そして、4つの施策を考えます。


まず前提として、狙うべきは「瞬間最高販売個数1位」です。


簡単に言えば、2時間でどれだけ売ったかを競うゲームです。僕は、土曜日の夜勤でした。この時はタイミングもよくて、当時の5日間限定セールの最終日は土曜日でした。最終日というだけでも、人は沢山来ます。その上で夜勤の時間帯である、22時から24時は、ある意味ゴールデンタイム。最後の一押しをかければ、弾みで売れる時間です。


1位を狙うならここだけ。そう思ったので、照準をここに合わせたのでした。


店のおでん総売上や、総合販売個数など、様々な賞が用意されている中で、この瞬間最高販売個数1位は、個人に紐づいています。その時間に、一番売った者が勝つ仕組みです。これはチャンスだと思いました。


後々僕は、県のマネジャーみたいな人から表彰されることになるのですが、この時は、そんな大事になるとは思っていません。市内の店舗の中で、同時刻に、一番売れたという称号があればOKだと思っていたのです。


施策は簡単です。


・追加でこれもいかがですか?と聞く

・ばら売りではなく、袋売りを進める

・オススメセットを用意する

・お酒のおつまみにおでんいかが~と声掛けをする


です。


買ってくれた人に追加を促す。1個なら時間もかかりません。正直、この戦いにおいて、回転数はめちゃくちゃ重要な要素になります。1人の人が沢山買っていく。それは、ありがたい事ですけど、その分、後ろに並んでいるお客さんをさばききれない方が、損失は大きいわけです。


僕は、売るモノを決める・+1を地道に積む・パッケージで売る、を軸に施策を考えました。


追加を促すは、+1を地道に積むから来た作戦です。玉子がオススメっすよ~。今、大根いい感じです。こうした声がけを続け、20人が+1をしてくれたら、想定よりも+20個売れた事になりますよね。


2時間という決められた時間の中で、確実に数を積み上げるなら、こうした地道な活動が一番効くと思っていました。


ばら売りではなく、袋売りを進める。


ばら売りは時間がかかります。よそわないといけないからです。それだったら、家に持って帰って、自分で煮てくれた方がスムーズにお客さんをさばけるわけです。袋売りしてますよ。明日は、おでんにしませんか?こういえば、明日の食卓に悩む主婦の心を掴めると思いました。


実際、この袋売りが一番売れました。次の日の朝、おでんが作れなくなくて、大変困りましたけどね(笑)


売り切れまで想定していなかったのが、僕の未熟さです(笑)


オススメセットを用意する。


他にも、時短テクニックとして、コチラがオススメした具を買ってもらうように誘導するという方法も考えました。お酒を飲むなら、これとこれ。ご飯と食べるなら、これとこれ。みたいな感じで、こちらで買うものを誘導してあげるのです。


これは、オススメある?と聞かれることが多い事から着想を得ました。接客をしていると、年配の方から「おでん買おうと思うんだけど、オススメある?」と聞かれることがあるんですよね。


最初は正直、とっとと決めて、早く金払えよと思ってたんです。後がつかえるし、邪魔じゃないですか?でも、これはチャンスでもあると思いました。逆手にとれば、自分で具材のコントロールが出来るという事でもあったのです。


大根と玉子を手厚く売る。そう決めておけば、重点的に補充すべきは大根と玉子になります。入れるものが決まっていれば、オペレーションの苦労は軽減されるし、売る側も楽です。


結果的に、おでんを買う目的が無い人にも進めやすかったので、この作戦は意外と当たりました。


最後に、お酒のおつまみにおでんいかが~と促すですが、これは、めちゃくちゃシンプルです。結構当たりました。おでんと一緒にお酒も売れていったのです。おつまみって絶妙で、乾きものだけじゃ足りない。でも、がっつりしたものは食べられない。みたいな事ってあるじゃないですか?


この絶妙な部分にハマるのがおでんでした。70円なら1個か2個買うかぁとなるし、おつまみとしてのバランスも最高です。


夜の22時から24時なんて、酒買いに来るおっさんやおばさんが沢山います。ここに向かって、焚きつけすれば否が応でも買うでしょう(笑)


そんな風に思って、黙々と売り続けました(笑)


22時からレジに入り、さっそく袋売りと+1個売りを実装。みるみるうちにおでんは無くなります。いつもは、22時半ごろに帰ってしまう社員さんも、この日だけは必死です。なぜなら、僕たちの店舗は現在、総売り上げ・総販売個数で市内1位だったから。ここからは、1位を死守しないといけない状態でした。


レジとは基本、その時間のシフトのメインがやるものです。土曜日の22時からは、僕と一緒に入っている夜勤の人がメインシフトなので、2人でやります。僕と、もう1人の夜勤は、年齢が近かったこともあり、あまりにも暇な状況に退屈していたので、おでんをバカにみたいに売ろうという作戦で同意していました(笑)


社員さんはシフトが終わっています。でも裏では、社員さんがひたすらおでんを作り、袋売りの在庫を確認し、てんやわんやしていたのでした。


僕ともう1人の夜勤は、黙々と売り上げを伸ばします。


途中でゾーンに入りました。大なべを持ってきたお客さんに、レジ前の鍋の半分の具材を売り、その上でおでんの袋を17袋売りました。


後から聞いた話ですが、僕たちが最初の1時間で売ったおでんの個数は、410個だったそうです。これは異例中の異例らしく、この時点でぶっちぎりの1位になりました。


23時を過ぎると、そもそも客数が減ってきます。だから、最初の1時間が勝負でした。この辺りでトラブルが起こります。おでんの在庫がなくなりかけてきたのです。店長から、ここからばら売りに切り替えろという指示が飛びました。


アルバイトに出す指示としては、これもなかなか異例だったそうです。


僕と、もう1人の夜勤の方は、いわゆる新参者でした。2人とも、まだバイトを始めて半年程度だったのです。土曜日の一番大事な時間を、新参者に任せるのは心もとない。そう思ったからこそ、店長も社員も残っていて、僕たちを見守っていたのです。


発注は当然ですが、レジに立つ人間のポテンシャルを予測して個数を決めます。ロスが出たりすると、損するわけですから当たり前ですよね。


新人である僕ら2人が最後の2時間を請け負うわけです。いくらセールとはいえ、発注数を抑えるのは当然だと思いますし、昨年の販売データをベースに発注しているわけですから、この判断は間違っちゃいないと思います。


ところが、僕ともう1人の夜勤は、比較的商売が上手でした。とにかくバカみたいに売ったんです。気づけば、在庫がなくなりかけて、店長も「あ、やべ」ってなったんでしょう(笑)


僕たちに、異例の売り方を切り替えろ宣言を出したのでした。


ところが、この段階で「店の総売上1位及び店の総販売個数1位を、別の店舗に奪われてしまった」のです。


これには、店長の焦りも止まりません。僕と、もう1人の夜勤は、この時点で瞬間最高売上1位。これは、ほぼ確定でした。今から、この個数をまくり上げるのは難しい。そういう状態だったのです。ただ、店舗としてはこのままでは2位になってしまいます。


そこで、店長は驚きの判断を下します。


「いけ、売れ」という指示を出したのです。在庫が無いのにどうやって?と思ったのですが、そこは何とかするからいけるところまで行け。と言われました。


在庫は何とかする。といっても、無理なものは無理でしょう。となると、マイナーなものやそこそこ売れるものは、除外して考えた方がいい。逆に、定番及び売れ筋は、まだまだ余力があります。ここ、結構重要な分岐点で、あそこでマイナーな具材を売りに走ったら、僕たちは負けていたと思います。


あくまで、余力があると信じ、定番&売れ筋をひたすら売り続けてきたからこそ、最終的に1位を獲得する事が出来たのです。


僕ともう1人の夜勤は、23時以降、回転数ではなく、単価を意識し始めました。お客さんが少なくなるのですから、必然的に買ってもらえる個数をあげていくしかないわけです。


ここでも無双しました。


1人のお客さんに70個近くの具材を販売したりしました。23時から24時までの売り上げは330個でした。


やれることは、すべてやり切ったと思います。


あとは、結果を待つだけです。


結果は、


お店のおでん総売上1位・お店のおでん総販売個数1位・日別販売個数1位・瞬間最高販売個数1位でした。


要するに、総なめです。


そして、僕ともう1人の夜勤は県内でも1位になったようでした。


後日、全然知らない部長みたいな人が来て、僕ともう1人の夜勤に謎の賞状とメダルをくれました。


もらった時は実感が無かったし、シンプルにやってよかったあなぁくらいの感じだったのですが、後から聞くと、これはかなり名誉な事らしいです(笑)


この時の賞が「自信」につながったのは間違いありません。それなりに、嬉しかったのを覚えています。


でも、実を言うと僕は、あんまり表彰やメダルには興味がありません。1位を獲ったという事実が好きみたいです。この時の表彰で、そのことにも気づいたのでした。この考えが、のちに会社でも活きてきます。1位を獲るために、黙々と準備をする。その間、文句を言ったり、不満を口にしないで済んだりしたのは、この気づきが大きかったと思うのです。


コンビニは、立地とネームバリューの要素が大きい。もちろんそうだと思います。でも、それを使いこなすかどうかは、その店の人次第なんだなぁと今でも思っています。


僕ともう1人の夜勤は、この2つの利点を最大限活用したに過ぎません。


これが、立地が悪い、目立たないお店だったらこうはなっていないでしょう。


自分の置かれている環境と、現状を、きちんと把握する事で、結果は大きくもなるし、小さくもなる。この事を念頭に置くことが、今後生きていく上で大切な事なんだろうなぁと思いました。


僕は、この戦いの後、3年生の夏前にこのコンビニを辞めます。コンビニがリニューアルする事になったのを機に、契約の結び直しが発生するからです。


喧嘩したわけではありません(笑)


僕からすると、ある意味初めての円満退職です(笑)


ここで獲った、おでんの売上1位は、後々就活でも大いに役立ちます。


バイトは自分次第で、いくらでも有効活用できます。アンテナを高く、楽しく仕事をして、そういうチャンスを逃さないようにしてほしい。


そんな事が伝われば、嬉しいなぁなんて思います。


はぁ~、しんどい(笑)


今回の記事、思い出すのが大変でした。結構大きな事だと思うんですけど、なぜかあんまり印象になくて(笑)


夜勤のバイトは、どうしてもケガをしたことと、いい加減な世界もあるもんだなぁという印象が強すぎて、こういう成果じみたお話が、ほとんど思い出せませんでした(笑)


とはいえ、大事な思い出でもあるので、つたないながら頑張って書きました(笑)


うまく伝わればいいんですけどね(笑)


頑張って解釈してもらえると助かります。


さて、明日は「さようなら」というタイトルで記事を書きます。


僕の中で、ショックな出来事。大学3年生になり、最初に感じた「大きな空虚」です。


また、泣くことになるんだろうなぁ。


頑張らないと(笑)


それでは、続きはまた明日に!

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