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アスペルガーの恋【小説】

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アスペの女の子の恋愛物語。ひとよりも多くの困難を乗り越えたラブストーリーの結末は?
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#恋愛小説

初彼のはなし。

初彼のはなし。

今日は珍しく恋愛の話をしようと思う。

発達障害は恋愛が苦手と言われる。

特に女の子は、性被害に遭いやすいから気をつけようという本なんかも出ている。

発達障害をもつ私の、元彼の話をすることにした。

発達障害の子どもの恋愛に不安を感じてる方、自分自身が不安という方は楽しんで参考にしていただけたらと思う。

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発達障害を隠し大手一部上場企業に入社~入社式⑵〜アスペルガーの恋〜

発達障害を隠し大手一部上場企業に入社~入社式⑵〜アスペルガーの恋〜

入社式の後、声をかけてきたナオミと二人の男子四人で飲みに行く。

私の隣にナオミ、前方には拓也と直樹という男子が座っている。

「お酒は何が好き?」と拓也は気を利かせてメニューを差し出す。

私はお酒は絶対に飲まない。
そして実は飲み会にすらろくに行ったことがない。

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久々に見る彼は【小説】

久々に見る彼は【小説】

久々に見る彼は、黒いダウンにグレーのパンツ、フラットな皮の運動靴か、ビジネスシューズかわからないような今風のビジネスマンという装いだ。

スポーツが好きで、日常に取り入れている人はこういう風になるのかもしれない。

特にこだわりもないのだろうが、着やすいものをなんとなくえらんでいるだけで、この雰囲気はどこから出るのだろうかと思わせる。

頭脳派でスピード感があり、毎週の加圧トレーニングを欠かさない

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アスペルガーの恋 〜序章〜

もしあのとき、当時ネットに疎かった私があのツイッターアカウントを登録していなかったらと思うとぎょっとする。

(今でこそこんなネット投稿をして、知らない人に自分を公開することが当たり前になっているが、当時の自分は友人にも自分のプライベートなど一言も喋らないような表面的な奴だった。)

そしてM氏が偶然私にメッセージをしてくれなかったら私は恋愛という青春ものとは縁の無い人生だったんじゃないかと本

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アスペルガーの恋 〜M氏との出会い〜①

2015年夏

私がM氏と初めて会ったのは渋谷のとある中華料理店だった。
大学の卒業から2年近く経過していた。

同じ大学に通い同じ大講義室(何百人単位の座席がある)で授業を受けていたにも関わらずツイッターでしか繋がっていないという奇妙な関係性。

数年にわたり会話し続けたにも関わらず顔を見せることも会うことも渋っていた私との初対面だった。

オフ会なんて言葉も当時から使われていたみたいだが私に

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アスペルガーの恋 〜入社式⑴〜

アスペルガーの恋 〜入社式⑴〜

2013年 4月

大手金融機関の入社式

百何人という新入社員の殆どが黒いリクルートスーツに身を包みズラリと着席している。

濃いグレーのスーツに長かった髪をアップにした姿はスカートのスーツにパリっと似合っていて中々気に入っていた。

着慣れないはずのスーツを着こなせている自分が嬉しいけれど、この中で私という存在が目立ってしまわない日が長く続きますようにと心から祈った。

となりに座る女の子は理

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