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笑顔で、楽しく、笑ってバイバイ
緩和ケア病棟で最期を迎えた、ある患者さんの話です。
僕は看護師として、何度も生き死について話し合ってきました。
その方は、症状の進行とともに徐々に動けなくなり、ほぼ寝たきりの状態になっていました。
ある日、ベッドから天井を見たまま、彼は言います。
「笑顔で、楽しく、笑ってバイバイするんだもんな…」
自分の人生に。
自分の大切な人に。
自分の命に。
笑顔で、楽しく、笑ってバイバイしたい。
患者さんの気がかりを感じ取るチカラ
その日は突然の豪雨でした。
病棟の窓から外を見ると、大きな音とともに雨が絶え間なく降っています。
夜勤をしていた僕は、夜中にナースコールで呼ばれ、入院していたSさんの部屋に行きました。
「体がだるいの……」
Sさんは気圧によって体調が変わるそうで、天気がくずれると痛みやだるさがあらわれます。
つらさを和らげるため、薬を投与。そのままそばにいることにしました。
だるさは大雨の影響もあるか
何かを「する」より、そこに「いる」ことの大切さ
目の前に苦しむ人、悩む人がいるとき、僕たちはどんなことをすればよいのでしょうか。
つい「何かをしなければ」と考える人もいるでしょう。
ただし目の前にいるその人は、本当に何かをしてほしいと思っているのでしょうか。
人によっては、何かをしてもらうことではなく、誰かに側にいてもらうことが必要なことがあります。
僕が看護学生さんの実習指導をしていたときのこと。
グループの中の学生さんが、終末期の
緩和ケアの現場は人生の学校
「治療ができなくなった最後の手段」
「あとは死を待つだけ」
少しずつ認知されてきた緩和ケアですが、今でもこのように言われることがあります。
医療者の中にも、緩和ケアに対してネガティブなイメージを持つ人もまだまだいらっしゃいます。
僕の経験上では、緩和ケアをネガティブに考える人のほとんどは、緩和ケアそのものをあまり知らずに誤解されているようです。
僕は緩和ケア認定看護師として、多くの方の最
命は太陽の光のように
緩和ケアの認定看護師をしている僕は、今まで多くの方の最期の瞬間に立ち会ってきました。
涙を流して声をかけ続けるご家族のそばで、だまって一緒に看取りをすることも珍しくありません。
この場面で僕がよく思い出す言葉があります。
「人の命は太陽の光に似ている」
これは僕が認定看護師になるための学校で、先生が教えてくれた言葉です。
太陽が登る時、実際に姿をあらわす少し前からあたりを照らしていきます
そして次の世代へ。僕たちが受け継ぐ「生」の大切さ
看護師である僕が、いつもがん患者さんから学ばせてもらっていること。
それは生きることに対する難しい理論や理屈ではなく、その人がどう生き、何に一生懸命になり、何を大切にして、何に感動したかということ。
人がいつか迎える、老い、病気、死…
誰にでも訪れるのに、誰もが「まだ大丈夫」だと思っているかもしれません。
普段の生活から隔離された病院内では、病気や死はまるで特別な出来事のようです。
いつでも僕
最期の時に医療者としてできること
緩和ケア病棟で働くある日、若い男性をお見送りしました。
その男性の父親は亡くなっていて、母親と親戚に見守られながらそのときを迎えました。
「もうすぐお別れだね…」
「やっと楽になれるね…」
「今まで本当に頑張ってくれました…」
「本当にありがとう…」
たくさんの言葉と涙に囲まれながらの旅立ちでした。
「…お父さんに…会ってるかな」
我が子を見送ること。
母として、見送る立場になるなんて想像