#オールカテゴリ部門
1人百人一首〜藤の傘〜
雨の日は交差点が滲んでていつもよりかは決められなくなる
雨濡らす丸い額と藤の傘今日はビールの気分じゃない
一人百人一首〜来航〜
星空はあばたのように降り注ぐ愛し愛し海鳴りの人
星々は見守るようで殺伐とただ私の気持ちを飲み込む
海鳴りは紫煙を吸い込む化け物で孤独に寄り添う妖かもす
大人にはなりきれないから真っ黒な海岸線をただなぞるだけ
海は生き空も生きてる午前2時私の輪郭曖昧のまま
波招く境界のない真っ黒に拐かされてチェーンを解いてる
下田の海は残酷に境をくれず真夜中の誘惑をする6月3日
1人百人一首〜憧憬〜
越えられぬ壁ならすり抜け遠回りなんでもいいけどなんにもできない
半袖のあなたに会ってみたいのよ聞きたい触れたい脱がせたい
家飲みは奴ケチャップが1番だそんなお酒をあなたと飲みたい
恋心隠して熟れる繊細な実であるけれど摘んだら終わり
もう少し黙っていればその心我と少しは近づいたのか
忘れない夜中に歩いたこの道をもうないふたりの小さな思い出
他愛もない仕草も癖も横顔も永遠にきらめく北斗七星
1人百人一首~いもせ~
ふと伏せた瞳の奥の闇の中狭くて苦しい私の居場所
ぬばたまの紫の紐しめやかに左手で巻く君が弓引く
いつの日か君が振られるその日まで宙ぶらりんの私の愛よ
サヨナラの口づけ交わす夏の恋
君を連れ去る秋風涼し
さざなみの寄る君指を絡めては愛してくれた日々の残り香
雲間から漏れだす梯子くらいには好きで好きであなたが好きで
傷つけて傷つけられておわりなくわたしもあなたも欠陥品
この星は美しと思う
1人百人一首~願わくば~
甘い飴溶けてなくなる放課後の高鳴る鼓動春風二番
なによりも自分自身がでたらめと囁くみたいな春の夕暮れ
会いたいと思うことの虚しさは季節外れのひまわりみたいに