マガジンのカバー画像

1人百人一首

25
運営しているクリエイター

記事一覧

1人百人一首〜藤の傘〜

雨の日は交差点が滲んでていつもよりかは決められなくなる

雨濡らす丸い額と藤の傘今日はビールの気分じゃない

一人百人一首〜来航〜

星空はあばたのように降り注ぐ愛し愛し海鳴りの人

星々は見守るようで殺伐とただ私の気持ちを飲み込む

海鳴りは紫煙を吸い込む化け物で孤独に寄り添う妖かもす

大人にはなりきれないから真っ黒な海岸線をただなぞるだけ

海は生き空も生きてる午前2時私の輪郭曖昧のまま

波招く境界のない真っ黒に拐かされてチェーンを解いてる

下田の海は残酷に境をくれず真夜中の誘惑をする6月3日

1人百人一首〜血潮〜

今日もまたたくさんの人に愛されて新門司港の夕日を見ている

閉ざされた愛の記憶に潮が泣く血の繋がりは血の祈りなり

九州の匂いがするような田舎道かっ飛ばすわよ95キロ

もう一度何度でもって旅だった港の球体あれはなに?

またねって大きな影が映ってるとりかじいっぱいいざ人生へ

変わらないものもあったりなかったりバイキングでは上手に盛れない

九州(ここ)でしか見れない店が並んでるミスターマックス

もっとみる

1人百人一首〜蛇含草と年の瀬〜

「服くらい着ろよ」「一服しているの」二人の終わりを纏った1K

年の瀬に買わない番号言ってみる白い煙とあなたの香り

わたくしは誰かのために生きている見つけれてないけどそのうちいつか

優しさを誰かにあげたりもらったり私は生きたこの1年を

来る年はどんな1年こうしたいああしたいとか若さの息吹

依存性チェックをしながら飲むチューハイ「大将おかわり」もう一杯

後朝の別れも惜しまぬ誰そかれ

もっとみる

都々逸その5

奇しくももらったワンカートンあなたの口づけ思い出す

ぽつんとひとり師走の粉雪それでも私はここにいる

家族に会える故郷に帰るそんな私を好きでいる

大きな瞳冷たい心煙草呑みの弱音と笑い

やめてください仕事中ですこぼれる笑みに俯くことも

近づきたいのそれでも怖いこのままこのまま平行線なら

好きになることこんなに怖い大人になった奥手になったにっちもさっちも動けない

都々逸その4

あんたがいなけりゃ代わりはごまんとおおきにありがとまた来世

夏の終わりにこぼれる牡丹虚空に首振る扇風機

玉ねぎふたつ静かなキッチン1リットルの麦茶を飲み干す

嘘という名の本音をついて遊びだったよわかってる。

弱い男がふかした煙田んぼに力と書くのにね

そんなこんなで思い出したり嫌いになったり自由だね

苦虫数匹潰して飲めばこんなことでも思い出に

1人百人一首~十三、梅田東通り、またはどこかのインターチェンジ付近~

抱かれたのではない私が抱いたのよ笑い飛ばした始発の牛車

火をつけたたばこが腹の粘膜と感情刺激した夜明け頃

つぶされたシケモク見つめこの世界あんな未来とか考えてみる

ひさしぶり降りた駅だと君が言う私はあの夜あいつと降りた

かどわかし傷の舐め合いかりそめの十三栄商店街

1人百人一首〜喫茶店にて〜

わたしとて馬鹿じゃないのよ分かってる口づけだけは最後にさせて

それでもねどこかで祈る願ってるあなたが間違いこっちに来ること

まっすぐにダメであることわたくしは人間くさいと思ってしまうの

わたくしの悪い所もわかってるニヤリと笑うあなたが好きよ

振り返ることは許さぬプライドかいたずらっ子の純情か

後ろ手のピースは遊びかサヨナラの精いっぱいの想いの丈か

ハイライト吸い込む度に想い出すたのしく

もっとみる

一人百人一首~後朝~

夢のあと生まれたままの我がいて覚めた部屋にはは独りぼっちで

頬をつけ遊び疲れて眠ってるふたつの裸に朝日が注ぐ

いるようないないようなそれくらい曖昧模糊なら終わりがないから

しかと見て助演女優の怪演をみんなが傷つくアンコール

都々逸その3

夏は短し恋せよ乙女夜伽の君は蛍のように

店に来る人ピースを見せる2人でいれば世界は平和

酔うか酔われる勝つか負けるか好きになったらあなたの負けよ

近けりゃ熱い遠けりゃ寂し炎と氷と好いたひと

こたえはいいのいつもの喫茶で私はいつでも待つ女

すれ違ってもまた目を合わせて逢って魅せるわ負けないわ

狩が下手な女豹は独り腹が空いても戦をするの

一人百人一首〜七夕〜

織姫の願いも虚しくしとしとと14ミリの雨音響く

彦星よ義理の親父を踏みつける勇気もないならそれまでなんだよ

あなたなら私をどこかへ連れ去ってくれると思ったそんな七夕

他愛もない仕草も癖も横顔も永遠にきらめく北斗七星

わたくしはどこかで待っておりますと伝えることのできない哀しさ

1人百人一首〜憧憬〜

越えられぬ壁ならすり抜け遠回りなんでもいいけどなんにもできない

半袖のあなたに会ってみたいのよ聞きたい触れたい脱がせたい

家飲みは奴ケチャップが1番だそんなお酒をあなたと飲みたい

恋心隠して熟れる繊細な実であるけれど摘んだら終わり

もう少し黙っていればその心我と少しは近づいたのか

忘れない夜中に歩いたこの道をもうないふたりの小さな思い出

他愛もない仕草も癖も横顔も永遠にきらめく北斗七星

もっとみる

一人百人一首(二束三文)〜修学旅行〜

潮風が香る横浜珍しく襟巻した君
小船が揺れるJan.21

すれ違う異国の言葉も無意識に探し出してる君の声など

粉雪が城を隠して降り積もるはしゃげど残した心のこりと

漂白をしてもなにかに染まるわけではないこともゲレンデの白


人生で一番の雪を誰と見る見なくても白い苗場の粉雪

ゴーグルと帽子で見えぬ本心を雪玉に託し吹雪けよゲレンデ

場所と時間決心伝わる伝言に応えられねど向かうさみしさ

もっとみる

都々逸その2

耽美で甘美主の指先素肌と心に火を灯す

一番二番n番なれど主の心だけが欲しい

のめばのむほど渇望するもの酒と煙草とおまえの心

今宵だけは2人でいよう今日も明日も明後日も

恋人ごっこもままごとなれど嘘も誠も君次第

我の心はとうに染った主の気持ちがないことだって

逃した魚は大きかったの我のいけすはあなたのものよ

あなたの口ずけ胸の奥そこボヤとくすぶり大火事か