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何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

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2017年9月の記事一覧

部屋が散らかる話(そして部屋との別離)

部屋が散らかる話(そして部屋との別離)

 私は部屋がすぐ散らかるたちだ。

 そもそも日頃から片付けをしない。月に1度あるかないかの大掃除において、そこいらじゅうに散らばったモノをナントカしまい、ゴミを捨て、ようやく掃除機をかけるといったありさまだ。だいたいヘッダーの画像みたいな状態になっている。

 こんなことじゃあいけないなあ、と思いつつ、エントロピーが気付けば増大してゆく日々だ。もはや散らかしていることに気がついていないといってい

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嘘偽りなく言いますと、「言葉なんてもうまっぴらだ!」と思ってしまうことはよくあります。

嘘偽りなく言いますと、「言葉なんてもうまっぴらだ!」と思ってしまうことはよくあります。

無気力さでいうたらわたしの右に出るもんおらんのちゃうか、と思わず考えてしまう程度には、結構な大波のなかにいた。

現実を見たくない。文章書きたくない。
家から出たくない。誰とも会いたくない。

素敵な言葉に心を動かされることなんて、まっぴらごめんだとすら思っていた。
というかやや現在進行形で、今もそう思ってしまうから大変だ。

言葉で心を動かしたいとか書きたいとか、散々言ってきたくせに死ぬほど矛盾

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そんなことやってる場合、なのです。

そんなことやってる場合、なのです。

「そんなことやってる場合か!」

国政からプライベートの些事にいたるまで。ひとまずそのことばを投げつけておけば、なにかを言った気になり、投げつけられれば「たしかにそうかも」と焦ってしまう。けっこう汎用性の高いキラーワードのような気がします。

たとえば、ぼくがこのブログを書いていることだって、「そんなことやってる場合か!」とお叱りを受けても仕方のないことだと思いますし、忙しいときにはごはんを食べる

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深澤直人さんの「デザインの輪郭」を読んで

深澤直人さんの「デザインの輪郭」を読んで

少し間が空いてしまいましたが深澤さんの本を読んだので感想をまとめました。この本を読んだきっかけは深澤さんの展示に行った際に、一体どのようなことを考えてデザインをしているのか気になったからです。

例によってこちらのフォーマットに則って感想をまとめています。

この本の概要をまとめると?深澤さんの感覚的で観念的な言葉の羅列を集めることで何かしらの固まりとなり輪郭が成すのではという前提のもと、深澤さん

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本を読むことについて.1

本を読むことについて.1

*友人の万葉ちゃん(@tgtg95)と二人で、人文学について−−小説や本を読むこと、哲学や映画やアートなど、テーマを決めて手紙交換したものを公開していくシリーズです。

マガジンについてはこちら:はじめに−−人文学っておもしろい?

さきちゃんへ

最近、電車の中で、外のベンチで、ベッドで寝転がりながら、暇を見つけては本を読んでいる。
いろんなものに押しつぶされそうになっても、また立ち上がって歩き

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「書こうとするな、翻訳せよ」について。

「書こうとするな、翻訳せよ」について。

古賀史健さんの「20歳の自分に受けさせたい文章講義」
文章術の本なんですが、共感するところが多いあまり感動したという話を、以前書きました。

「書くことは、考えること」について

「書こうとするな、翻訳せよ」2つ目の共感ポイントの話です。

言葉になる以前の頭の中にある”思い”や”感じ”、こられを古賀さんは「ぐるぐる」と名付けているようです。

頭の中の「ぐるぐる」を、伝わる言葉に”翻訳”したもの

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当たり前になる前に

当たり前になる前に

昨日、ヨガインストラクターの資格を取得した。

ヨガにハマり、
「そうだ、京都に行こう」
くらいのノリで
「そうだ、インストラクターの資格を取ろう」
と思い立って早6ヶ月。

仕事をしながら名古屋まで通うのは大変だった時もあったけれど、何とか試験に合格できた。
(私の住んでいるところから、名古屋まで1時間くらいかかる)

昨日の講義の最後に、1人ずつ前に出て一言はなしたのだけど、ある女性の言ってい

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面白いってなんだ?

面白いってなんだ?

1ヶ月以上、noteをおやすみしていました。ちょっとだけ仕事は増えましたが、それでも「大忙し!」というわけではなくて、では何をしていたかというと、おもに「面白いってなんだろう」ということを考えていました。

小説や漫画やドラマや映画、エッセイ、コラム、ゲーム、雑誌、WEB記事、広告、動画、言葉そのもの、それ以外にもいろいろたくさん。私の身のまわりには面白いものがあふれています。私はそれらを「面白い

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吉祥寺を吉祥寺たらしめるもの

吉祥寺を吉祥寺たらしめるもの

夕方6時、ちょっと暗くなりかけた秋の入り口。一年ぶりに、吉祥寺の街を一人でぶらぶら歩いた。
吉祥寺は犬が多い。子供を連れた人も多い。おばあちゃんも多い。なにが違うんだろう、と思ったらスーツのサラリーマンが少ないんだな。

スニーカーに白いTシャツにスカートという、およそOLには似つかわしくない格好で、わたしは仕事終わりだった。

お気に入りのお店を覗き、はらドーナツをひとつ買って食べ歩いた。はらド

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不安を感じるために生きているのかもしれない

不安を感じるために生きているのかもしれない、とたまに思う。

どういう事かというと、不安を感じている時ほど人間は生きているという実感があるんじゃないか、という事だ。

不安で落ち着かな、夜も眠れない、そんなときほど、生きている実感が感じられる。もちろん苦しいのだけれど、苦しさと生きている実感は別の縮尺にある。

もちろん嬉しさや幸せ感も生きている実感になるけれど、それは不安や苦しみがあってこその喜

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若く結婚したプリンセス眞子ちゃんより、地味で真面目風なのに爆速で将棋無関係な人まで礼儀正しく蹴散らしていく藤井四段に釘付け。なれるもんなら藤井四段になりたい。将棋しないけど。

網の目東京

網の目東京



東京はどこもかしこも網の目状で、人の噂は光の如し。目に見える網の目としては、電線なんかが良い例だ。あ、この木いいなと思っても、結構邪魔な電線が入ってくる。黒澤明監督が、あの家撮影で邪魔だからどけて、と言ったらしいが、その気持ちはわからないでもない。

しかし私は凡人なので、電線をどかすことは出来ない。逆に、この電線と緑が東京らしさとも言えよう。

東京にシュッとした印象をお持ちかもしれないが、

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