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30日間の革命

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毎日小説をアップしていき、100日間で1つの作品を作り上げます。
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2020年5月の記事一覧

30日間の革命 #毎日小説32日目

30日間の革命 #毎日小説32日目

 名称も決まり、6日に行う集会の準備を進めていった。坂本と手崎は集会の内容を考え、加賀、森下、馬場は当日の流れをや会場のセッティング、神原はホームページを制作していった。

 そうして準備を進め、集会前日を迎えた。最終的にちょうど30人が集会へ参加してくれることになった。会場は、第二視聴覚室で決まっていた。もちろん学校に”革命を起こすための集会をやる”なんてことは言えないので、加賀が事前に”文化祭

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30日間の革命 #毎日小説33日目

30日間の革命 #毎日小説33日目

 集会当日の朝、準備のためメンバー全員は学校が開門する7時30分に学校へ集合した。

 「やべー。いつもならまだ余裕で寝てる時間だよ」

 加賀はまだ眠たそうに目をこすりながら話した。そんな加賀にお構いなしで、坂本はメンバーへ呼びかけた。

 「さあ、最終準備と流れの確認を行うわよ」

 第二視聴覚室にて、イスのセッティングや簡単なリハーサルなど、最終準備が行われた。会場のセッティングは前日までに

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30日間の革命 #毎日小説34日目

30日間の革命 #毎日小説34日目

 会場は少しざわめいた。そして、近くにいたメンバーたちも動揺を隠せなかった。いきなり”革命”と言われても、理解できるはずがない。一人ひとりに説明するならまだしも、30人の前では通じないのではないかと不安になった。事実、学生たちの中には、少し笑ってひそひそと話し合う姿も見られた。しかし、坂本はそんな状況を一切気にせず話を続けた。

 「まず始めにみんなに分かっておいてほしいのは、今言ったこと、そして

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30日間の革命 #毎日小説35日目

30日間の革命 #毎日小説35日目

 それから坂本は、革命の実行について少しだけ具体的な話をした。文化祭の日に、どのように何を行うつもりなのか。最初は少しざわついていた学生たちも、いつしか真剣に聞いていた。

 時折学生からの質問も受けながら、坂本は30分ほど話した。そして、最後に学生たちへこう呼びかけた。

 「私たちは”白の会”として、この活動を行っていきます。もし今日の話しを聞いて、興味を持ったら、このサイトにアクセスしてみて

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30日間の革命 #毎日小説36日目

30日間の革命 #毎日小説36日目

 日頃から、厳しい校則に不満を持っていた学生も多く、そして、坂本たちが立ち上げたということも話題となり、学生の間では白の会の噂が一気に広まっていた。数日が経つ頃には、

 「生徒会長とかが、学校でクーデターを起こすらしいよ」

 「先生たちに反抗するんだってさ」

 「学校乗っ取るつもりなんだって」

 などと言った、正確ではない噂まで出てきていた。

 「これはちょっとまずいんじゃないかな」

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30日間の革命 #毎日小説37日目

30日間の革命 #毎日小説37日目

 「次の集会は100人規模の大きなものを行います。そして、ここから白の会のメンバーも増やしていきます」

 坂本たちは、再び放課後に第二視聴覚室で集まり、ミーティングをしていた。革命を大きく動かすための、次なる集会の計画を立てているところだった。

 「100人規模となると、この教室じゃ人は入りきらないよね。体育館じゃないと無理かな」

 加賀が坂本へ問いかけた。

 「そうね。普通の教室じゃ10

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30日間の革命 #毎日小説38日目

30日間の革命 #毎日小説38日目

 次の集会は、白の会の活動にとって大きな試金石となる。そう坂本は思っていた。学校行事でもないので、自主的に学生たちに「参加したい」と思わせなければならないということ。そして、何よりこの集会を成功させなければ、革命自体も達成するのが難しくなるということ。100人の気持ちを動かすことも出来なければ、自分たちで学校を変えることなんて到底できることじゃない。そう坂本は思っていた。

 そこにきて、更に不安

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30日間の革命 #毎日小説39日目

30日間の革命 #毎日小説39日目

 翌日加賀は、またいつもよりも早めに登校した。目的は坂本と会うためである。加賀は、坂本に話があるときは決まって早めに登校し、その道すがら話しをすることにしていた。何せ、坂本はいつも全く同じ時間、全く同じ通学路で通っているため、見つけやすいのであった。そして、いつも通り、通学中の坂本を見つけることが出来た。

 「小春! おはよう」

 「あらセトおはよう。今日も早いってことは、何か相談でもあるの?

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30日間の革命 #毎日小説40日目

30日間の革命 #毎日小説40日目

 その日からメンバーは各班に分かれて、それぞれの役割に応じて行動を開始した。坂本と馬場は第二視聴覚室にて、集会の内容と今後の展開などを計画し、加賀、神原、手崎は集会への参加者を集めるべく、色々な学生へ声をかけていた。

 「しかし、100人集めるって結構大変だよな。3人で分担すると、単純計算でも1人33人くらいは集めなきゃいけないなんて割と無茶だよな」

 加賀は、神原と手崎と時折図書室に集まって

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30日間の革命 #毎日小説41日目

30日間の革命 #毎日小説41日目

 高校3年生の夏は、進路を決めるとても重要な時期となる。それは坂本や加賀たちも変わらない。進学するのか、それとも就職するのか。その選択を迫られていた。

 武蔵中央高校では、毎年6月中旬に三者面談が行われる。保護者が学校へ来て、担任との面談を行う。

 加賀家でも、この話しは避けて通れなかった。

 「ちょっとセト、あんた勉強とかしてるの? 進路とかどう考えてるのよ」

 最近、夕食のときには必ず

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30日間の革命 #毎日小説42日目

30日間の革命 #毎日小説42日目

 6月に入ってから、気温は急に上昇し始めていた。日中は30度を超す日もあり、夏服に衣替えした学生たちは、既にうちわなどを持ち寄る姿も見られていた。

 加賀は翌日、いつも通り始業ギリギリの時間に登校した。少し走ったため、既に少し汗ばんでおり、自分の席につくなりさっそくカバンからうちわを取り出しあおいだ。

 「あちー。まじでこのペースで暑くなったら、いよいよ日本も四季がなくなるな」

 すると、前

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30日間の革命 #毎日小説43日目

30日間の革命 #毎日小説43日目

 放課後、加賀は校門で母親の到着を待っていた。そして、待ち合わせの時間から5分ほど遅れて母親は小走りでやってきた。

 「ごめんごめん。仕事がちょっと長引いちゃって」

 「いいよ。なら、教室行こっか」

 そう言うと、加賀は母親を連れて教室へと向かった。教室へ向かう道中も母親から、

 「結局進路どうするか聞いてないけど、大丈夫なの? 先生にはちゃんと考えていること言うのよ」 

 と進路につい

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30日間の革命 #毎日小説44日目

30日間の革命 #毎日小説44日目

 面談の帰り道、加賀は母親と一緒に帰った。母親と肩を並べて歩くのは何年ぶりだろうか。だんだんと夜の色に染まっていく街を横目に見ながら、加賀たちは歩いていた。

 「なんか意外だったわ。あんたがあんなこと言うなんて」

 母親は、少し前を歩きながらそう呟いた。

 「何が?」

 「面談の延期のことよ。いつものあんたなら、上手くその場をごまかしたりして、のらりくらりかわすじゃない。延期にしたってこと

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30日間の革命 #毎日小説45日目

30日間の革命 #毎日小説45日目

 日常とは、何も変わらないようで確実に変化しているものである。白の会が発足してから、メンバーたちの生活も、少しずつではあるが、確実に変化していた。それは加賀のように、良い方向へ変化する場合もあるが、全員が必ず良い方向へ向かうとは限らない。

 手崎はもとより地味で目立たない存在だった。それに加えて、毎日一人で将棋を指していることで周囲からバカにされることも多かった。ただ、それくらいなら手崎も気にし

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