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30日間の革命 #毎日小説33日目

 集会当日の朝、準備のためメンバー全員は学校が開門する7時30分に学校へ集合した。

 「やべー。いつもならまだ余裕で寝てる時間だよ」

 加賀はまだ眠たそうに目をこすりながら話した。そんな加賀にお構いなしで、坂本はメンバーへ呼びかけた。

 「さあ、最終準備と流れの確認を行うわよ」

 第二視聴覚室にて、イスのセッティングや簡単なリハーサルなど、最終準備が行われた。会場のセッティングは前日までにほとんど終わらせていたので、時間のほとんどをリハーサルや流れの確認にあてることができた。そして、1時間ほどで集会に向けての全ての準備が整った。

 メンバーの頭からはいつしか革命という言葉が薄れ、本当に文化祭の準備のような気持になっていた。そんな雰囲気を察してか、坂本は最後にこう呼びかけた。

 「なら、授業が終わったらすぐにここに集合しましょう。そして、みんな改めて思い出してほしいけど、これからやろうとしていることは革命よ。成功しようが失敗しようが、どちらにせよもう”普通の高校生活”は送れないわ。退学だってあり得る。それだけのことをこれからやろうとしていることだけは、頭の中に入れておいてね」

 坂本の言葉が、メンバーの頭に再び革命という二文字の認識を重くさせた。革命と言葉で言っていても、実際に何をやるのか、そして何が起こるのかまでは想像もしてないメンバーも多かった。しかし、坂本の「普通の高校生活が送れない」という言葉が、これからやろうとしていることの重大さを感じさせた。

 そして、メンバーはいったん解散した。放課後までの間、各メンバーは自問自答せざるを得なかった。この活動に参加しても本当に大丈夫なのか。退学になったら親にどう説明しようか。大学への進学はできるのだろうか。そんな不安を抱えたまま、放課後までの時間はあっという間に過ぎていった。

 最後の授業の終わりを告げるチャイムがなり、メンバーは足早に第二視聴覚室へと向かった。そして、続々と集会への参加者も集まり、教室はあっという間に人で埋め尽くされた。集会に集まった学生たちは、主催者が、坂本や加賀、森下など、そうそうたる顔ぶれが揃っていることに、何か面白いことが起きるんじゃないかという期待で少しの盛り上がりを見せていた。

 30人とは言え、小さい教室にこれだけの人数が集まれば、メンバーの緊張感も高まった。特に神原や手崎はこれだけの人数で何かを行うことは授業以外なく、雰囲気に飲み込まれていた。

 時計の針が16:00を指したのを確認した坂本は教壇に立った。ざわざわしていた教室は静まり、視線が一気に坂本へと集まった。

 坂本は教壇から、ここにいる全員の顔をゆっくりと見渡した。その数秒間、教室は沈黙に包まれた。そして、その沈黙を坂本自ら破り、いつもと変わらない穏やかな口調で話し始めた。

 「今日は集まってくれてありがとう。私たちはこれからこの学校で革命を起こそうとしているの」


▼30日間の革命 1日目~32日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

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