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30日間の革命 #毎日小説32日目

 名称も決まり、6日に行う集会の準備を進めていった。坂本と手崎は集会の内容を考え、加賀、森下、馬場は当日の流れをや会場のセッティング、神原はホームページを制作していった。

 そうして準備を進め、集会前日を迎えた。最終的にちょうど30人が集会へ参加してくれることになった。会場は、第二視聴覚室で決まっていた。もちろん学校に”革命を起こすための集会をやる”なんてことは言えないので、加賀が事前に”文化祭に向けての在校生ヒアリング会”と学校側には生徒会として報告していた。そして、坂本たちは最終ミーティングをするため、第二視聴覚室へと集まっていた。

 「やっとできた!」

 声をあげたのは神原だった。制作していたホームページが完成したらしい。その声に、みんなが神原のもとへ駆け寄り、出来上がったホームページを見た。白の背景に、「白の会」と筆文字でデザインされた文字が描かれており、あとはシンプルにブログ機能や写真が掲載できるような構成だった。

 「うん。シンプルで私たちを表わすのにぴったりのデザインだわ。神原君ありがとう」

 坂本は納得した表情で、神原へと話しかけた。

 「いえいえ。本当にシンプルな構造なので、大したことではありません。あと、ついでにSNSも立ち上げておいたので、明日の集会の様子などを撮影したりして公開もできます」

 神原はホームページと共に、TwitterとFacebookで白の会のアカウントを作成していた。

 「いいじゃん! ならTwitterは俺に任せてよ。いいだろ小春?」

 加賀がノリノリで答えた。

 「ええいいわよ。私はSNS使ったことないから、セトにお任せするわ」

 「え? 小春SNS使ったことないの?」 

 「ええないわよ。私、まだこの携帯使っているから」

 そう言い、坂本がカバンから取り出したのは折り畳み式の赤いがらガラパゴス携帯だった。一瞬だけ教室内が静まった。

 「そ、そういえば、小春と連絡とるときはいつもメールだったな」

 加賀が思い出したようにつぶやいた。

 「そうだ、俺も坂本さんとの連絡はずーっとメールだったから、不思議に思ってたんだよね」

森下も続いた。

 「え、先輩はLINEもやっていないのですか?」

 馬場が坂本へ質問をした。

 「ええ、やってないわよ。今のところメールで十分事足りているから。そんなに珍しいかしら?」

 「いまどきLINEをやっていない人を見つけるほうが難しいですよ」

 神原が少し目を細めて答えた。

 「で、でも、なんか坂本先輩らしくて良いと思います。加賀先輩がSNSやっていないって言っても嘘に聞こえますが、坂本先輩なら何か納得できます」

 手崎も恐々と続いた。

 「おい、何で俺を引き合いにだすんだよ」

 「す、すいません。思ったことがつい口にでちゃって」

 加賀と手崎のやり取りに、一同が穏やかな笑いに包まれた。これが、このメンバーで笑いあった、最初で最後の出来事だった。

 「よし、これで明日の準備は大丈夫だね。いよいよ本格的に動き出すことになるから、明日からもみんなよろしくね」

 最後に坂本が皆へ声をかけ、解散した。

そして翌日、いよいよ最初の集会の日がやってきた。


▼30日間の革命 1日目~31日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

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